漢詩詞同人誌19年７　文化交流漢詩詞結社葛飾吟社

平成十九年七月号

　　　　　　　　　梅雨七題　　　　　　　　千葉県　中山逍雀
閑雅逸俗

　　　　　　曄歌・三　首

　　鬱陶心。小院生苔，又自斛。

　　石榴紅。路上傘陰，有学童。

　　亂蛙喧。窗前水田，水半渾。

男恋女愛

　　　　　　五絶・二　首

　　門巷分袂雨，放晴夕陽中。難忘煙柳緑，妬見石榴紅。

　　宿雨書窗下，想君懶出門。憂傷被嫌悪，執筆亦黄昏。

親朋純情

　　　　　　七絶・一　首

　　小齋六月満蚊香，竹馬偶然寄短章。窗石榴紅燕巣噪，晴天宿雨念故郷。

　　　　　　漢俳・三　首

　　閣閣水邊村。半夜寒燈聊自慰，開封想田園。

　　日日半塵泥。柳外風軽人亦懶，銜蟲稲秧畦。

　　貪睡雨読人。彩彩傘陰檐溜下，兒孫是青春。

陋巷雑詠

　　　　　　坤歌・三　首

　　除草忙。梅雨老妻，夜厭長。

　　梅雨期。湿気晒衣，万国旗。

　　花萼展。校門細雨，彩童傘。

山川覧勝

　　　　　　十六字令・一　首

　　潯。細雨池亭野水侵。雲散盡，高樹繞枝禽。

応　酬

　　　七絶　致中國友人楽農狂先生其二

　　村墟翫句半生痴，與君偸閑此一時。却好雲迷無客訪，小齋獨坐共題詩。

　　原玉立夏再致中山栄造
　　一衣帯水兩狂痴，道義融和韵入時。若使長房能縮地，相邀暢飲共敲詩。

遊戯放逸

　　　　　枯魚銜索

　　枯花任地雨絲絲，魚肉饒痾勝大醫。銜恤人生眞一夢，索求晩節奉親慈。

　　　　　　　　　　　　　　　　閑雅逸俗

詩詞

　　　　　　七絶・絵画館　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　回遊小径雨初収，粉壁洋楼照日幽。白馬枯林何処是，異郷景致爲君愁。
　　　　（註）東山魁夷〈白馬の森〉

　　　　　　七絶・芝山高校桜花　　　　千葉県　清水蕗山

　　校庭看歩満開桜，花片乗風遊棟甍。臥見紅雲催午睡，夢中処処学徒声。

　　　　　　七絶・春堤行　　　　　　　千葉県　清水蕗山

　　春風繞野誘鶯声，日満堤塘雨漸晴。両岸香雲倍酣宴，淡紅映水賀清明。

　　　　　七絶・一首　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　新緑重重夏木繁，鳩鳴草纏掩柴門。偶然午眠忘塵事，嫋嫋秧風出短垣。

　　　　　　五絶・吟情　二　首　　　　埼玉県　芋川冬扇

　　一叫梁間燕，仙遊和風趣。行人呼不答，家遠緑風吹。

　　雨後繙書巻，誦詩排積憂。嵯峨茫似夢，新樹緑陰稠。

　　　　　　五絶・梅雨書懐　　　　　　埼玉県　芋川冬扇　　

　　蛙鳴巣燕騒，冷透湿衣襟。何知梅療効，任泥厭俗深。

　　　　　　曲玉管・題良宵浮幻　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　雨洗炎塵，涼生院落，緑陰濃處夕烟淡。日落西峰，盈月東上青天，似銀盤。老骨無言，良宵有酒，明窗風爽拂朱臉。買醉題詩，乘興高聳吟肩，試新篇。
　　晩境多閑，少才分、頻耽浮幻。舒情托景游魂，化蝶振翅求仙，遶江山。醒茅庵醉夢，憶起花精翻袖，笑容妍美，忘我深更，走筆雲箋。

　　　　　　夜飛鵲・初夏吟游　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　流鶯送春囀，花散郊原，風穿緑蔭空閑。積年禄仕無功績，散官乞骨歸山。余生尚長遠，有庸才探韵，短筆求仙。餐霞游目，試題詩、欲聳吟肩。
　　隨歩暫調平仄，遙想羽人巣，峰頂棲杉。幽徑時逢魍魎，笑沽靈水，清涌黄泉。玉容献媚，勸傾杯、洗淨塵肝。看赤烏依岫，銀蟾上嶺，醉死無言。

　　短詩

　　　　　　曄歌・三　首　　　　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　紫陽紅。彩彩傘影，細雨中。

　　白薔薇。青春情熱，雲迷時。

　　雨成霖。白壁病床，濡衣襟。

　　　　　曄歌・三　首　　　　　　　　　　　東京都　石塚梨雲

　　紫陽紅。人心無限，七情中。

　　夕暉紅。柳外風軽，悟色空。

　　一閑人。専心到志，書巻親。

　　　　　　曄歌・四　首　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　眼前櫻。紅紅爛漫，幾許生。

　　君不見。紫白菖蒲，疎雨餘。

　　夜半庭。梅子落地，側耳聴。

　　池畔亭。風吹臥榻，暑易醒。

　　　　　　曄歌・五　首　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　暁風清。一架薔薇，憶君情。

　　痩土耕。燈火稀疎，銀漢横。

　　兩争妍。荷花苒苒，哭霊前。

　　聴檐鈴。悠然獨坐，夢亦醒。

　　烟外舟。白雲來征，櫓聲柔。

　　　　　曄歌・四首　轆轤體　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　山月明。短夢長愁，蜀魄鳴。

　　蜀魄鳴。夢長愁短，旧時情。

　　旧時情。長愁短夢，酒杯盈。

　　酒杯盈。愁短夢長，山月明。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　男戀女愛

詩詞

　　　　　　七絶・麗娟詞　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　満地残花月影垂，傾坏閑読麗娟詞。佳人薄倖何如此，悶悶半霜就枕遅。

　　　　　　南浦・聽西洋歌劇有情　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　白頭却老，戀明星、姿態似飛天，清唱哀情深切，傷感使人憐。曳杖買花堪贈，坐前排、瞻仰玉容妍。正游魂春夢，歸心魔境，生氣欲登仙。
　　共上江樓臨水，泛銀波、悦目月華闌。片刻傾杯取暖，酒境借朱顔。慢慢醉乘詩興，試搖唇放唱聳吟肩。有演完拍手，掌声驚耳破甘眠。

短詩

　　　　　　瀛歌・二　首　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　五湖游。俗情難棄，興未休。孤吟解寂，獨酌銷愁。
　　　　註；五湖；史記范蠡列伝；隠遁すること。

　　老自知。迷何怪何，兩相宜。一杯銷鬱，三杯詠詩。

　　　　　　偲歌・二　首　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　欲靠荘子，意猶未忘。春情難制，游酔郷。

　　花擬君貌，雲似君装。天恵地契，何可忘。

　　　　　　偲歌・一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　親朋久闊，小院懷舊，何恥執筆，雁書通。

　　　　　　漢俳・十首　梅　雨　　　　　　　　詩苑吟社　大村庸子　

　　梅熟緑成陰。竹馬友人思我否，不到亦自斛。

　　遷居小江潯。與君暫別樽有酒，閉門只孤斛。

　　江亭小舟通。憶君梳髪追約到，窗前數點紅。

　　天昏酒有功。恋恋墨痕私自羞，小斎一簾風。

　　残鶯何処啼。去君難忘遙寄句，檐下燕啄泥。

　　雲迷一尺泥。雨霽乳燕書窗下，衝風競高低。

　　無客掩柴門。黒甜枕頭残夢醒，江畔亂蛙喧。

　　破屋昼関門。未霽六情促詩興，五雨長竹孫。

　　窗前雨如絲。半霜竹馬一封信，几上開又疑。

　　雨霽月照帳。一紙舊情千里別，自羞憶君姿。

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　花貌侑觴陪。午夢白頭對山鬼，緑酒洗心灰。

　　　　　　　　　　　　　　　　親朋純情

詩詞

　　　　　　　七絶・梅　天　　　　　　　　　　東京都　門馬清明

　　霖雨小斎晝尚昏，窗前梅熟竹有孫。思君備酒無君到，欲訪雲迷懶出門。

　　　　　　五絶・念清沢満之老師　　　　　　　埼玉県　芋川冬扇

　　病魔無歴日，痩骨幾憂傷。仰天思君面，浜風吹頬涼。

　　　　六月十日在青山St.Grace大聖堂吉野瑪雅女士結婚宴被召開祝賀
　　　　　　　　　　　千葉県　今田莵庵

　　才媛曾遊葛社窗，研求漢語去漢邦。驚聞学友爲儔侶，来宴得心琴瑟雙。

　　　七月二日今田拓兄登仙同四日下奥州陪柩車向斎場
　　　　　　　　　　　千葉県　今田莵庵

　　一臥蘭摧遂不還，艮陵梅雨促潸潸。柩車惜別栖栖歩，弟者共従寂寂顔。
　　会館賛医臨廣瀬，学園講術接仙山。荼毘催刻蕭條奥，靄霧巡杉幽路関。
　　　　（注）　艮陵；東北。荼毘；火葬。廣瀬；広瀬川。仙山；仙山線。

　　　七月五日臨今田拓兄葬催于仙台齋苑。愛孫令姪帰来演奏巴赫作曲arioso是曾亡兄以大提琴屡奏　千葉県　今田莵庵

　　五人僧侶叩□鉦，医客俳賓致意精。令姪回弾従美国，愛孫到奏発中京。
　　徐鳴瑟瑟提琴曲，忽起娟娟巴赫声。往者大提弾此屡，吉人拭涙悼亡兄。
　　　　（註）□＝鼓＋卑。　巴赫＝J.S.Bach。提琴＝violin。大提＝大提琴，violin cello。

　　　　　　詠芦笋　　 　　　　　　　　　千葉県　田　旭翠
　　　　得北海道旧友甘笋 喜之咏之。

　　　　　　　其　一

　　風爽北溟玉笋肥，嫩芽三寸蓄朝暉。温柔君養口中福，按酒何妨望北帰。

　　　　　　　其　二

　　凌寒苦雪有神奇，春満緑茎勁直姿。風味漂盤婦高興，旨甘相賞酒醒遅。
　　　　　　　（注）　芦笋；ASUPARUS


　　　　訪長崎県川棚町"震洋特攻隊跡"有感　　詩苑吟社　河野海童

　　川棚海上旭旗飜，籌策震洋賭乾坤。勇士三千征不復，星移執筆弔忠魂。

　　　　　　五律・展墓有感　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　供花風樹歎，竹馬涙潸然。撫号情無限，読碑獨悵然。
　　墳塋悲永訣，考妣憶生前。山寺梵鐘響，偸安愧瓦全。

短詩

　　　　　　　瀛歌・二　首　　　　　　　　　　東京都　石塚梨雲

　　一星明。独領清風、懐旧盟。悲歓離合、正是人生。

　　思無邪。脉脉含情、寿色加。少年少女、発発嫩芽。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　社会生活

詩詞

　　　　　　七律・憶東京大空襲　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　木造住宅連綺窗，東京昌盛耐風霜。四年血戰持忠義，一夜空襲迫墨江。
　　累累死骸成火炭，煌煌旭旦放天光。美軍飛將立功績，日本授勲茲顯彰。

短詩

　　　　　　坤歌・二　首　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　春去夏。人禍頻頻，暗傷神。

　　電車中。當今少女，擦口紅。

　　　　　曄歌・ニ首　　　　　　　　　　　　埼玉県　芋川冬扇

　　阿母味。茶匙不用，梅花気。

　　仲秋晩。一件削除，連絡本。

　　　　　　坤歌・四　首　　　　　　　　　　埼玉県　芋川冬扇　　

　　珍味妙。羊頭狗肉，怒奇巧。

　　微狗蝨。吸血堪能，身外出。

　　健康法。効能不知，盛営業。

　　電波嵐。不識不覚，色相参。

　　　　　　坤歌･一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　稲田郷，多年刻苦，頌歌長。

　　　　　　曄歌聯作"武陵桃源詩"　　　　千葉県　田　旭翠

　　武陵春。賢者避世，更問津。

　　纔通人。伊人云逝，暗偸春。

　　烟霧蒙。来逕蕪廃，形影同。

　　憐老衷，荒路交通，萃淵叢。

　　自養神。草栄節和，百花新。

　　老風塵，木衰風�氏C歳月淪。

　　遇花精。怡然余楽，覚有情。

　　不問程，何労知慧，慰余生。

　　軽薄倫。淳薄異源，莫相嗔。

　　志未伸，旋復幽蔽，為勧醇。

　　酒有功，言躡軽風，仰蒼穹。

　　残夢中。挙尋吾契，気力充。

　　　（注）　詩中的四字句均取于陶潜"桃花源詩　併記"

　　　　　　俳句和漢俳伴曄歌　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　　　　　　　一

　　滴りの山となりけり銅の山

　　足尾旅情悲。往事渺茫舊銅山，緑漾歳月移。

　　舊銅山。往事渺茫，新緑鮮。

　　　　　　　　二

　　廃坑の入り口ふさぐ緑かな

　　清昼今無人，銅山入口緑陰繁。悠然郭外村。

　　舊鉱山。濃緑鬱鬱，閉坑關。

　　　　　　　　三

　　旅情千曲川。軍事拠点魚米郷。清流映山鮮。

　　千曲川。旅情千載，相映鮮。

　　　　　　坤歌・一　首　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　有孤狼。頭蒙霜降，化孤羊。

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　星霜日日新。往日無孫有母親，今日數雛孫。

　　　　　　　　　　寓意偶題


詩詞
　　　　　　紅鯉篇　　　　　　　　　千葉県　陳　興
　　　　　飛機上，成田往浦東途中作。

　　上海住嬌妻，乘風直往之。東京六月初，仍有春風吹。
　　春風吹大雁，天辺作独飛。海内有所念，天涯有所思。
　　雲中有客機，機身印東方。此中多客子，是日返家郷。
　　却有持筆者，臨窗詩興長。君詩思久涸，如何忽汪洋?
　　艙中望前壁，画有紅鯉魚。�K鯉伴左右，疑在深河居。
　　乘客或仰睡，乘客或読書。君望壁上画，望久取紙筆。
　　暗猜画者意，王者応紅鯉。想象鯉魚国，�K鯉魚無数。
　　水草不曾剪，水深不見路。領頭為紅鯉，無心躍龍門。
　　鯉国無紅鯉，応如人無魂。左右両�K鯉，貼身両侍衛。
　　一路随紅鯉，路長不知畏。紅鯉為鯉王，世人不得求。
　　只得画中見，不見水中游。前路水草密，身后鯉魚軍。
　　大軍河下移，河面水多紋。河上忽喧嘩，河上船漸多。
　　河上来漁人，河上起漁歌。紅鯉先聽得，豫知有漁網。
　　漁網紛紛下，魚軍何處往？傳聞有紅鯉，身大如猛獸。
　　今日得相見，水面正游走。漁人相傳呼，一時呼声乱。
　　收起已下網，直往紅鯉散。誰知水下軍，遠離漁舟□。　　□＝穴+串
　　可憐河中王，渝為舟中囚。河上陰雲密，哀愁滿魚眸。
　　紅鯉看不厭，千年難一見。漁人不忍烹，欲往皇宮献。
　　魚王見人王，驚嘆声滿殿。帝也不忍烹，遂放宮池間。
　　池中雖一日，池外已一年。池水深難測，疑通宮渠外。
　　一朝宮渠外，紅鯉游飛快。渠長直到河，河畔逢旧侍。
　　不復鯉魚国，紅鯉河畔涙。重建鯉魚国，紅鯉心中志。
　　旧侍喚旧侍，原来兩�K鯉。河中招旧部，紛紛歸故里。
　　鯉魚国已改，紅鯉魚已老。已久無遠遷，終日守水草。
　　河直流長江，長江向海流。可惜至今日，海無鯉魚游。

　　　　　六月十二日訪安藤忠雄設計的表参道丘新樓（旧同潤会跡）有感
　　　　　　千葉県　今田莵庵

　　沿道鬱蒼街樹繁，葉間燦燦彩樓存。町名呼称表参道，行人伸歩鳥居門。
　　神苑鬱鬱呼鴻志，明治廟宮鎮久魂。曾遇関東大震災，災招復興不燃抬。
　　公寓初図同潤会，已老図新再建開。深謀巨匠起工心，三層留樓宇内新。
　　暗構幽玄周店舗，螺旋導路地深伸。僅有傾斜自迎足，逍遙五体覗窗巡。
　　疑居天上居地底，瞻瞰茫茫閑処身。還我翻然踏電梯，不労出来門口西。
　　収発嬋妍妖送我，緑陰舗道已陽低。

　　　　　　夏至有感　　　　　　　　　　　　神奈川県　高橋子沖

　　　　　　　七絶・二見浦夏至祭

　　梅霖連日満農郊，村巷天昏湿瓦茅。歓喜旭光夫婦浦，白衣祝祭夢神交。　　
　 (註)　 二見浦是日本伊勢地名。
　夫婦浦是二見浦。白衣是神職的衣服

　　　　　　　七絶・夏至有感

　　池亭庭樹竹陰交，雨霽新蝉天地包。坐知乾坤陽道極，薫風初夏任吟嘲。

　　　　　　　五絶・夏季祭祀

　　草木魚禽活，南薫千里交。幽情梅雨霽，夏祭献新肴。

　　　　　　　五絶・縄文遺跡的夏至　　

　　遺跡屋編茅，陽光甲夜包。縄人天地従，協力布衣交。
　　　　　　(註)　縄文遺跡是石器時代遺跡。縄人是石器人

　　　　　　七律・浅草八景　　　　　　　　　　千葉県　清水蕗山

　　吉原大門妓楼城，　一葉書翰幽思情。言問橋頭楠大樹，　隅田河畔堤紅桜。
　　城東煙火争星彩，　三社神輿虜衆生。待乳古今甍不語，　帝京名勝愉吟行。

　　　　　　七絶・"逗子葉山棚田"　　　 　　　神奈川県　山田鈍耕

　　画人相携向棚田，天子巡幸便成縁。温暖風景優雅里，破壁寒燈故郷県。

　　　　　　七絶・二欣會画展　　　　　　　　　神奈川県　山田鈍耕

"金旺沙龍"集画人，女男老若愛閑身。百花斎放聊違俗，展示会場入至眞。
　　　註；金旺沙龍；金旺Salon

　　　　　　七律・江畔納涼　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　夕陽江畔夏雲収，渡水微風氣似秋。對岸蛍光明又滅，老人老狗共悠悠。

　　　　　　七律・對飲與閻王　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　閻王發問世如何？騒客答疑風趣多。春晝櫻雲涌郊野，夏天鵑語領山河。
　　秋虫鳴月催詩興，冬雪滿頭隣酒魔。朱臉眼前流血涙，黄泉長住未謳歌。

　　　　　　［双調］胡十八・偶　成　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　蜀魄鳴，愁人醒，看月鏡，算旅程。散官邊土趁浮名，尽誠，臥病，傷客情，遠家境。

短詩

　　　　　　曄歌・一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　夏雲収，蛍光明滅，氣似秋。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　恨難窮，憶君庭院，寄詩筒，無際懐君，雲樹神飛。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花　　　　　

　　一簾風。窗紫陽花，咫尺中。細雨如絲，七変紫紅。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　景依然。誰家少女，漕鞦韆。紅裔翩翩，彩映坤乾。　

　　　　　　短歌與瀛歌　　　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　斑點の　あざやかな皮　脱ぎ落とし　笋（たかんな）は伸ぶ　竹にならむと
　　濃紫斑。漸次落皮，新笋然。向天葱葱，欲成竹娟。

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　白首坐香台。風吹山鬼抱琴来，夢裡墨花開。

　　　　　　回文曄歌・一　首　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　鳴鳥凡。清風午睡酣，翠嵐山。
倒讀
　　山嵐翠，酣睡午風清。凡鳥鳴。

　　　　　　　　　　　　　山川覧勝


詩詞

　　　　　連続名城・城址（用新韵）　　　　　　東京都　池田耕堂

　　　　　　勝浦城址　　（千葉県勝浦市）　古詩

　　温和上総百花繁，環瀛断崖風景鮮。往古堅城遭敗沒，近年遺址作公園。
　　"美姫"逃避落城際，奉仕"家康"産ニ男。誰想児孫為領主，数奇運命自推難。
　　　　　　美姫；城主の娘。後に家康の側室お万の方

　　　　　　佐倉城址　　（千葉県佐倉市）

　　"佐倉"山上緑陰稠，"鹿島"清川繞郭流。望櫓壊捐為広苑，"曲輪"改築建高楼。
　　江城幾度遭侵略，領主□繁替塞頭。春至桜花満村里，市民挙世楽園游。
　　　　　　（注）□；足+頁

　　　　　　平塚城址　　（北区西ケ原）　古詩

　　"義家"凱陣逗"西原"，深謝歓迎贈鎧還。領主以斯為鎮守，造祠築塚祈平安。
　　旧堂物換成神社，古塚依稀草木繁。往日風光何処在，多車駐道有餘歎。

　　　　　　片倉城址　　（八王子市片倉）

　　晩秋連嶂最鮮妍，落葉舞風山欲燃。故塁無形更草野，断崖屹立入雲端。
　　"桑都"諸塞空衰廃，"絹道"農村尚壮観。文献皆無都未詳，市民登頂共清歓。
　　　　　　（注）桑都；八王子　絹道；横浜街道

　　　　　　里見城址　　（市川市国府台）

　　蒼丘城址有哀憐，悲惨攻防千載伝。"里見"遺骸横緑野，"北條"鮮血作紅川。
　　曽為廃塁荒墟寂，今済林園風物妍。春至桜花覆山上，昔時追憶思無端。

　　　　　　七絶・山　行　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　羊腸林徑曳疲辛，俯仰峰巒似有神。爽爽清風堪鎖暑，登臨一吟再逢春。

　　　　　　五俳・挿秧的家族　于雲南省昆明　　東京都　田村星舟

　　光風昆明午，下車一刻遊。蝶飛或狹徑，鳥語和�C流。
　　童女搬秧稻，男兒馳田疇。家君屈體拮，祖母笑顔優。
　　回顧幼時景，却懷郷國丘。�ﾘ嵐漂意泰，遠近四山幽。

　　　　　　七絶・桂林暮景　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　殷賑市街掠面風，忽來夏雨衆聲籠。路商古老關閉店，顔色模糊殘暮中。

　　　　　　七絶・旅遊越中高岡（勝興寺）　　　東京都　田村星舟

　　萬葉探訪"二上山"，鐘聲緩緩暮雲還。再來孤佇國廰跡，莊重唐門積翠間。

短詩

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　飛機迎海月。西窗富士山巓雪，夕照流鮮血。

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　香台蜀魄啼。石磴緑陰篩午日，白水洗山溪。

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　深院燕双飛。風掠黄昏朱臉醉，緑陰紫藤埀。

　　　　　　　　　　　　漢俳について（私見）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中山逍雀

　漢俳の名称が私の耳に入ってから既に２０年近くになる。
　私は漢詩詞講座を開くに当たって、漢俳だけは除いた。其れは、漢俳は漢字で書くが、漢詩詞ではないという認識があったからだ。　私は漢詩詞を語るのに、自分で作れること、他人様には、誰にでも出来る簡便な方法を教えられること。この２点が揃わなければ、知っているとは云わないことにしている。
　私が漢俳を除外したのは、誰にでも出来る簡便な方法を会得できなかったからである。
　このたび私は、原点に立ち返って漢俳を考察した。漢俳には
Ａ−漢語のリズムと漢詩詞法で成り立つ漢俳
Ｂ−漢語のリズムと俳句詩法で成り立つ漢俳
の二通りがある。
　Ａの漢俳は漢詩詞詩法の範疇なので、創作に何らの支障はない。
　Ｂの漢俳は漢詩詞詩法ではないので、漢詩詩詞法と日本俳句詩法と、両者を縦横に扱える者でないと、対応できない。
　漢俳発祥と漢俳学会設立の経緯を辿れば、多くの民衆に受け入れられることがその前提にある。因って当面はＡの漢俳によって、中日文化交流の役目を果たすであろう。
　Ｂの漢俳は現状では、大衆化と云う前提に合致しない。当面、Ｂの漢俳は数少ない熟達者の研究に委ねられる。何れの日か、熟達者の研究によって、誰にでも出来る簡便な詩法が開発されたとき、Ａに取って代わり、漢俳の主流と成るであろう。

　Ａの漢俳について、更に考察を試みよう。
　Ａの漢俳は、そのままでは、幾多の漢詩詞定型に紛れて、その存在意義が埋没する。
　埋没を避けるためには、名称に俳句から由来する「俳」の文字に呼応して、叙事内容を日本俳句の「俳味」に限定するのである。

　私は漢俳を以下の如くに定義する。
　漢語を用い、日本俳句の音韻に倣い、叙事を俳味に限定する漢語詩歌である。

　これならば、私にも漢俳は知っている、と言える。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2007年6月20日


余談　何故漢俳学会を設立したのか

　漢俳の名を耳にしてから既に二十余年余りになる。私がSubDomainで漢俳のWavePageを開いてから２年後の２００５年３月に、中国北京で中国漢俳学会が成立した。今年はその二年後の２００７年である。
　大勢の中国詩人は、２００５年３月に北京で、中国漢俳学会の成立の時、日本の俳句四団体を招いて、漢俳による文化交流を謳い、盛大な慶祝祝賀の宴を開いた。その事を中国側が日本の俳句四団体に手を差し伸べた事と見ている様である。
　中国詩人は、私が日本俳壇に関わりのない人物であることは承知しているが、たまには愚痴もでる。
　話題は１年後の昨年あたりから出始め、今年の３月で、既に２年が経過した。私は学者でもなければ詩人でもない。ただ見過することはあまり好きではない。仲良しになることが好きなだけの凡夫である。
　私としては個人的にでは有るが、既に漢俳の定義を得ていたので、漢俳を語ることは出来る。因って時宜を得たので、今年５月に漢俳の詩壇を立ち上げることを決意した。
　葛飾吟社同人に話したのは、５月定例会飲食余談散会直前のことである。既に決意はしていたので、同席の方々に決意を表明しただけである。

余談の余談
　自分で団体を立ち上げ、自分で勝手に会長に納まった。一年は会長に留まりたい。それ以上は余り留まりたくない。

　　2007年6月20日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中山逍雀　頓首

漢詩詞同人誌19年８　文化交流漢詩詞結社葛飾吟社

平成十九年八月

　　　　　　　　酷暑七題

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　千葉県　中山逍雀


閑雅逸俗

　　　　　　曄歌・三　首

　　火雲張。妻去隣家，我傾觴。

　　聚凉來。黒雲傾盆，家怕頽。

　　我是仙。有無欲望，昼枕眠。


山川覧勝

　　　　　　十六字令

　　風，酷暑凉生竹樹中。灯影耿，開信此歓同。


社会生活

　　　　　　坤歌三首

　　酷暑時。袖手詭弁，民衆靡。

　　明朝飯。民衆惑憂，忘明晩。

　　野千鳴。巧言令色，民歓迎。


男恋女愛

　　　　　　五絶・二　首

　　一雨微風起，兩日隔世塵。三旬君情恨，四面更清新。

　　千里想君久，凭欄老漸羞。十年思我否，執筆更深憂。


親朋純情

　　　　　　七絶・一首

　　新居軒下水蓮香，君栽葵花依舊黄。砂上楼閣是貧病，絶無塵處羨田郎。

　　　　　　漢俳・三首

　　竹馬萬里情。移簾矮屋消辱暑，開封憶舊盟。

　　矮屋納涼台。門無車馬音信絶，生雲白雨來。

　　拭汗老農勤。晩餐囲坐思孫酒，掌合祷神聞。


応　酬

　　　　　　臨江仙

　　我是夢騰郷下叟，垢面華髪童顔。壷中弄詩便成縁。梅花導君陌，開信會羣賢。
　　長城富士同惆悵，陰雲慚愧悲烟。昨夜夢里被情牽。枕涙懐往事，亦読弔魂篇。

　原玉　湖南省唐湘麟先生詞臨江仙
　　夢里依稀曽携手，想來華髪童顔。一衣帯水結文縁。櫻花迷紫陌，佳句仰高賢。
　　富士長城同掬泪，何堪戦火狼烟。茫茫東海兩情牽。相逢如有日，把酒賦新篇。


遊戯放逸

　　伏魔殿栖政商，専私欲貪怠慢。

　　操巧言煽民衆，朝飯餌奪晩飯。

　　謂公平枉公道，聚利権恣特権。

　　二世公子小姐，無恥無智蔑縁。

　　填稲田築高楼，刺父母買鋼鞍。

　　衣食足輕仁徳，強欲吝嗇惰眠。

　　令人可嘆的世道！！


漢俳

　　　　　　六月　五首　　　　　　　　　　　　千葉県　中山逍雀

　　壷中酔君家。滴滴簷溜到五更，雨艶紫陽花。

　　褪色窗薄紗。枯枝垂地母遺留，雪白紫陽花。

　　雨餘老若聲。稲田一張毎植的，誕生新緑風。

　　忙碌與喜歓。兒孫和青苗塗泥，寂農夫晩餐。

　　農夫自留地。大楼峡谷無燕飛，査明農業歴。

　　　　　　　　　　　　　閑雅逸俗

詩詞

　　　　　　七絶・君知否？　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　連日迷雲昼尚昏，焚香茶室暫開門。風流有罪君知否？端坐不能傾緑樽。

　　　　　　七絶・詩人夢　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　窗暗苔生一草堂，紫花垂棚午風涼。誰知陋巷詩人嘆，縷縷塵縁忘可忘。

　　　　　　五律・中秋對月　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　千里天如水，執毫共占秋。玲瓏輝曜曜，逸韻響啾啾。
　　緬想村村晩，徒知歩歩愁。光陰如夢去，随分縦清遊。

　　　　　　七絶・消夏雜詠　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　炎威七月借山荘，痩骨枕頭蝉語長。遮断黄塵風籟爽，山中無夏是仙郷。

　　　　　　七絶・消夏雜詠　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　緑樹高枝鳴亂蝉，山中無夏坐檐前。枯腸養拙無人到，獨領清風氣若仙。

　　　　　　七律・醉　夢　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　蓬頭詩客游仙界，垢面羽人陪酒筵。朱臉如花春尽美，蒼穹映水景含烟。
　　餐霞流目乘吟興，求句成章聳痩肩。天用菲才揮短筆，諧調平仄染雲箋。

　　　　　　五律・消夏浮舟　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　風涼釣艇輕，長竿打潮声。翠湖秋已近，白晝酒堪傾。
　　人小江山好，天高午景清。閑看魚影過，游目暮烟生。

　　　　　　五律・江亭納涼　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　午睡閑窗短，雷声殘夢多。�K雲飛電影，白雨洗山河。
　　消夏天如水，浮光波似羅。江流繞客舎，涼意伴嫦娥。

　　　　　　五律・偶　成　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　空想跨靈犀，詩人翻羽衣。放吟嘲玉帝，酣飲誘禪尼。
　　紫電飛塵世，紅炎燃酒旗。天嗔驚醉夢，午睡醒山栖。

　　　　　　七絶・秋　　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　頑童易老坐秋湖，尽日埀綸作釣徒。白髪鬆鬆無一事，抽烟但看片雲孤。

　　　　　　五絶・驚　雷　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　老骨多閑暇，枕肱眠緑陰。夢聞雷鼓伴，龍女巧彈琴。

　　　　　　閑中好・午　睡　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　閑中好，獨坐緑陰濃。又曲肱堪枕，游魂午夢中。

　　　　　　閑中好・夏日坐緑陰　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　閑中好，午影伴輕風。童子炎天下，老殘涼蔭中。

　　　　　　閑中好・避暑山行　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　閑中好，緑蔭夏衣輕。風爽松濤涌，山行忘宦情。

　　　　　　［仙呂］游四門・秋有杯　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　清秋天兎轉輪飛，蛩雨使人悲。賣書買酒寒齋醉，杯，堪擧洗心灰。

　　　　　　［双調］沽美酒・一　首　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　金秋隣醉鬼，緑酒洗心灰。院落通宵蛩雨悲，嫦娥尽美，醉魂飛，夢魔媚。

　　　　　　秋風清・秋　夢　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　蛩語悲，月輪飛。緑酒洗心肺，白頭夢水隈。游魂戀慕花狐媚，陪人淺笑展蛾眉。

　　　　　　秋風清・秋　夢　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　人擧杯，月如眉。連日抱壺醉，游魂多感悲。清秋蛩雨濡衣被，冷牀蝶夢怕寒威。

短詩

　　　　　　曄歌・二首　　　　　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　燦兩眸。蒼波銹橋，江上游。

　　共日長。舟行七月，損明粧。

　　　　　　曄歌・一　首　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　蝉語長。挂鐘停止，是仙郷。

　　　　　　曄歌・三　首　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　一點螢。池邊草中，隕如星。

　　酒一瓶。新螢明滅，映簾��。

　　一時奢。一枕�C風，月映紗。

　　　　　　偲歌・一　首　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　虚舟搖搖，朧月自優。小秋江畔，足消憂。

　　　　　　漢俳・避暑游磯　　　　　　　　　埼玉県　芋川冬扇

　　新潮避暑游。断続長風何処起，漁火去難留。

　　　　　　曄歌・一　首　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　春醉酣。夏眠秋夢，忍冬寒。

　　　　　　添字曄歌・一　首　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　酒盈杯。靈液如山水，洗心灰。

　　　　　　漢俳・苦　熱　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　炎熱焦山鬼。善哉疾雨伴奔雷，枯骨嚼甘水。

　　　　　　漢俳・夕　霽　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　雨止子規啼。有人無事數檐滴，又看燕飛低。

-7-
　　　　　　漢俳・午　夢　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　午睡閉柴扉。夢魂北里傾醇酒，南柯逢貴妃。

　　　　　　和風漢俳・花　火　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　河岸花幾多，納涼花火高砂屋。界隈皆空家。
　　カガンはなイクタ，ノウリョウはなびたかさごや。カイワイみなあきや。

　　　　　　和風漢俳・嵐山花見　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　春櫻滿嵐山。京都美人涼子讃，微笑献佳餐。
　　シュンオウマンランザン。キョウトビジンリョウコさん，ビショウケンカサン。

　　　　　　漢俳・伴短歌一首　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　風涼波似羅。人歩海村秋氣近，晩浦夕陽多。
　　涼風に波は羅に似て海村に秋は近かり晩浦に夕陽

　　　　　　漢俳・買馬券　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　詩人買馬券。推敲好夢如雲散，無言食柳麺。

　　　　　　添字漢俳・驚　雷　二　首　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　雷声響，電影飛。草舎白頭喜天變，�K雨洗炎威。

　　雲如涌，雷欲鳴。�K雨傾盆喧似瀑，洗塵涼伴晴。

　　　　　　短歌・一　首　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　詩魔侑酒陪，光頭春晝花間醉，秋宵月下輝。天用短才求韵味，人揮長筆舞山隈。

　　　　　　　　　男戀女愛

詩詞
　　　　　　七絶・桃子売的年軽夫婦　　　　　千葉県　高橋香雪

　　炎塵陋巷火雲生，夫喊妻陳帯笑迎。顧客試餐還不買，終于老婦寸心傾。

　　　　　　七律・醉夢隣明月　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　山鬼化人含笑妖，矜誇肉體乳房高。玉唇禽語陪詩骨，春晝秋波惑酒豪。
　　乘興聳肩探清韵，餐霞吟句醒良宵。寒齋白首隣明月，殘夢餘情戀柳腰。

　　　　　　五律・閨　怨　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　麗人無粉態，明月照愁眉。去思凭闌黙，清風拂面吹。
　　情田留落穂，蛩雨繞孤閨。欲洗傷心事，暫傾玉酒杯。

　　　　　　七絶・故　事　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　秋夜迎君房裡陪，月光入我子宮輝。覺得陣痛如雷鼓，生了男孩號泣悲。

　　　　　　桂殿秋・金秋對酌　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　壺酒美，晩風微，嫦娥慰問老殘悲。端容冷艷良宵醉，夢裡悠然侑玉杯。

　　　　　　柘枝引・夢逢仙女　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　夢逢仙女誘紅閨，侑酒滿金杯。將騙詩翁醉，游魂自忘此生歸。

　　　　　　［越調］凭闌人・弄月思麗人　　　東京都　石倉鮟鱇

　　日落青山留暮暉，月照白頭思柳眉。詩魔陪酒杯，禿毫描貴妃。

短詩


　　　　　　曄歌・二　首　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　月色斜。暗香和褥，合歓花。

　　落花香。情有歓楽，有悲傷。

　　　　　　偲歌・二　首　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　老躯無跪，落花有情。衰多思慮，楽餘生。

　　老懐寂夜，思君餘生。一宵詩酒，養舊情。

　　　　　　瀛歌・二　首　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　楊柳眉。恨別何早，逢何遅。梳頭丹臉，月入羅緯。

　　禽語喧。貪睡晩起，陽黄渾。半醒半睡，迷否臧源。

　　　　　　偲歌・傷　心　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　欲問傷心，又醒亦疑。高楼暁欄，月如眉。

　　　　　　偲歌・一　首　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　日暮追涼，和君捕螢。二八音書，約偶耕。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　合歓情。隔地相思，月獨明。久闊交娯，君問我纓。

　　　　　　漢俳・月夜思意中人　　　　　　　埼玉県　芋川冬扇

　　吟灯月三更。月白風悲草青青，青思向君傾。

　　　　　　漢俳・故　事　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　髑髏描畫皮。人間一夢跨靈犀，千秋戀雪肌。

　　　　　　　　　親朋純情

詩詞


　　　　　　七絶・慰病夫　　　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　鳴蛙閣閣小池中，陋巷蜻蛉散午風。白髪養痾臨水坐，近隣子女慰衰翁。

　　　　　五絶・送別　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　水亭灯火靜，離宴酒杯寒。秋月空明處，多情涙不乾。

　　風帆無萬里，離宴有三畳。共唱陽關曲，通宵惜久別。

　　才人世路難，失意酒杯寒。明旦孤帆去，今宵爲勸餐。

　　鵬程無萬里，酒宴有離觴。醉送悲歌起，月明天一方。

　　老殘留驛舎，君去北風吹。不忍離別涙，白頭冠雪悲。

　　與君何日会？離宴可傷悲。不忍男児涙，淙淙滿酒杯。

短詩

　　　　　　曄歌・五首　友人死　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　告別時。薔薇花落，雨如絲。

　　硯委埃。缺詩獨夜，聴遙雷。

　　暮山蒼。檐馬丁東，天地涼。

　　夜眠遅。天漢如流，又入詩。

　　浄六根。雨過如拭，爽吟魂。

　　　　　　瀛歌・二首　　　　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　歳月流。相逢想昔，暮色浮。茶館窗外，東京塔楼。

　　百日紅。繁華巷中，一径通。洋車男女，兩眸虚空。

　　　　　　漢俳・下一盤囲棋　　　　　　　埼玉県　芋川冬扇

　　迎友酒一瓶。有涙閑談対碁坐，無常語風鈴。

　　　　　　漢俳・三　首　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　友情含宿因。与君昨夢醉青春，今日競雛孫。

　　歡談感更新。鴎鷺依稀詩盟好，勝于兄弟親。

　　佳人淡淡粧。茅庵病骨無紅友，瓶梅有暗香。

　　　　　　　　陋巷雑詠・時事諧謔

詩詞

　　　　　"新潟県中越沖地震"　　　　　　　　神奈川県　山田鈍耕 　

　　突然激震港街衢，倒壊人家倩誰扶。慰霊盂蘭舞"盆踊"，復興祈念自鞭駑。
　　　註；2007年7月16日10時13分M6.8 新潟県中越沖地震発生
　　　註；爲祖先和災難犧牲者祈冥福、做盂蘭盆會的時候進行民衆的舞

　　　　　　股東総会　　　　　　　　　　　　　神奈川県　山田鈍耕

　　業績順風股東欣，外資画策有妖氛。肝銘居治不忘亂，粉骨砕身王道勤。

　　　　　　七絶・中越沖地震　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　激震忽來驚庶人，舊家倒壞死生頒。百姓衆吏何無策，地割潰崩行路艱。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（通韻）

　　　　　　七律・世　情　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　戰後美風歸昨夢，王孫宿志化妖魔？忠臣無子憂國涙，偏欲留名勤改革。
　　賢者賣書乘興酒，自堪求句競吟哦。應歡閑適游魂處，浮幻驚人市虎多。

　　　　　　七律・時　局　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　美辞麗句率尸官，宰相口才揚錦帆。不得信任説新憲，輕視民生破債權。
　　天有雷公看世上，人無敗將少虚言。電光閃閃山將裂，政務兢兢業業酸。
又
　　宰相夢魂空想浮，高説改憲弄鵬圖。顯官妄語飛白晝，僻土群心歸緑蕪。
　　國策傷貧反民意，刑天舞斧拓前途。本邦萬里聞雷鼓，上帝如瞋電閃初。

　　　七律・聞道日本俳句是世界最短詩的，有感而作一首詩
　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　浮譽誑人迷韵事，俳魔誘客入春山。櫻雲涌處如仙境，鶯語飛時展錦箋。
　　名字堪銘埀百世，句碑被刻聳千年。埋頭景勝揮禿筆，傳統短吟流水邊。

　　　　　　七絶・偶　成　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　人世無人無祖父，有人無子棲官府。時憂文教壞強兵，祭奠英靈守國土。

　　　　　　七絶・偶　成　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　隻眼仰看天快晴，宛如發問爲何生。春泥塗臉青年死，有恨国家損泰平。

短詩

　　　　　　坤歌・一　首　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　向誰傳。懶公務員，三伏天。

　　　　　　坤歌・三　首　　　　　　　　　　　神奈川県　萩原艸禾

　　麻疹流行。嘗小学、今大学。

　　未幼児。生小寳寳，誰父母？

　　八十翁。希望錦楓，栽幼苗。

　　　　　　坤歌・一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　庶民憂。豚牛肉饅，滿村秋。

　　　　　　坤歌・三　首　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　福祉貧。雨氣朦朦，城市空。

　　氣融融。熟蚕吐絲，可盡工。

　　有激震。鬼神跳梁，魚米郷。

　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花　

　　蝉鳴くやからっぽの交番電話鳴る
　　蝉鳴火雲張。交番几上電話機，電鈴喚何長。
　　　　註；交番；派出所

　　　　　　坤歌・一　首　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　人健脚。一路不歸，千里別。

　　　　　　漢俳・海潮變　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　時流變海潮。政客卮言買怒號，隱遁羽人巣。

　　　　　　漢俳・時事偶題　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　天意喜和平？雖有男孫嗣遺志，改憲尚難成。

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　結婚賣汽車。頻游海外不驅車，都心不需車。

　　　　　　漢俳・時　局　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　人説和憲誤。田園随處已荒蕪，有誰應領悟？
　　今の世は憲法こそがよからぬと説かば荒れゆく里山の秋

　　　　　　　　　　　　寓意偶題

詩詞

　　　　　　七絶・享受壷中　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　敬慕陶令楽天詩，乗興狂吟欲倣之。莫笑才華不能似，自称獨愉誰得知。

　　　　　　七絶・陀　螺　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　敬慕陶令楽天詩，興遣一弦轉轉移。諫諍轗軻何事好，思詩友古誰得知。

　　　　　　七絶・大賀蓮　其一　　　　　　　　神奈川県　高橋子沖

　　緑陰千葉弁天池、聞道荷開古代帷。佳客陶然人各歩、妖精明媚想容姿。


　　　　　　五律・大賀蓮　其二　　　　　　　　神奈川県　高橋子沖

　　訪來公苑裏，足跡小径充。気穏渓声哽，日永松影豊。
　　荷花消白日，傘葉引清風。古代浪漫蘇，幽香亦夢中。

　　　　　　七絶・睡　蓮　　　　　　　　　　　神奈川県　高橋子沖

　　林間散策老鶯谺，山峡小池斜径涯。未刻睡蓮妖水上，花英粋白思容華。

　　　　　　五律・七夕偶成　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　春醉花間夢，秋游伴月娥。金杯盈緑酒，白首渡銀河。
　　船上鳴琴好，嚢中佳句多。試題稱美貌，含笑喜横波。

短詩

　　　　　　漢俳・一　首　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　どくだみや花に似合わぬ名前なり
　　茎赤解毒草。花是淡淡名堂堂，三寸誇葯効。

　　　　　　短歌與瀛歌帶五言絶句・重要的事物不來到表面
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京都　田村星舟
短歌
　　地のなかを　めぐる管あり　汚るるも　淨きも水の　さみしき流れ

瀛歌
　　地中幽。管道蜿蜿，無限周。淨水也濁，共滾滾流。

五言絶句
　　城市生命要，蜿蜿管水長。家家凭管道，重任不誇張。

　　　　　　曄歌・大　学　三首　　　　　　　　東京都　陳　興

　　如何話，大学時代，五個夏。

　　欲重遊，大学風景，幾座楼。

　　識我否，大学教授，或已走。

　　　　　　漢俳・和魂生櫻雲　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　志士朽丘墳。遺留此地大和魂，春日涌櫻雲。

　　　　　　漢俳・金錢減處白髪増　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　對鏡老殘愁。復數黄金減錢袋，白銀増我頭。

　　　　　　　　　　山川覧勝

詩詞

　　　　　　七絶・起航夕陰重慶埠頭　　　　　　東京都　田村星舟

　　滾滾江河萬里連，行人渡棧上樓船。今方離岸遡千歳，遠景難探欄檻前。

　　　　　　七絶・下長江　　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　秋霖漸霽弄濤船，騷客應看聳漢巓。順逆思迷奔浪上，高揚一枕不能眠。

　　　　　　七絶・二首　多斯加納（伊太利亜）写生旅行
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　神奈川県　萩原艸禾
　　　　　　　　其一　海畔街頭

　　高閣画楼倚断崖，翠窓彩壁作妍街。偶然停歩筆尖下，忽有警声障招牌！

　　　　　　　　其二　田園夕景

　　城外連連丘亦丘，農郊整整疇與疇。白雨洗塵三十里，斜陽既淡画中収。

　　　（注）上記二首は、イタリアトスカーナ・スケッチツアーの旅日記。

　　　　　　七絶・題郡上踊　　　　　　　　　　千葉県　田旭翠

　　　　　　　　其　一

　　風爽花燈形影揺，郷歌高唱薄衫飄。太平酬響明時鼓，老若披襟楽徹宵。

　　　　　　　　其　二

　　今宵人約已三年，去歳歓娯独自憐。昨夢空留歌吹夜，夜深風韻到那辺。

　　　　　　七律・重遊方廣寺　　　　　　　　　福岡県　羊春秋

　　寺爲南岳最幽之佳境，四周修竹茂密，流水潺湲，鳥鳴?，花香陣陣，置身其間，恍如生活在衆香國里，俗慮全消。寺側在"二賢祠"，蓋紀念南宋朱熹，張弑兩先哲也。瞻仰遺址，不勝景行之至。中間兩聯，皆一時紀實之語，非泛言也。

　　扶杖重遊方廣巓，不堪回首話前縁。恨無才気如三傑，那有風流継二賢？
　　荒寺一僧談劫數，清泉十里響潺湲。曳裾不向権門去，自展蛮牋写?川。

　　　　　　七律・波斯波利斯（ペルセポリス）　東京都　池田耕堂

　　"慈悲山"麓迥相望，千古栄華夢一場。佳麗王門半崩壊，豪奢客殿転荒涼。
　　"英雄"奮戟驕兵撃，"皇帝"難支大国亡。可惜諸堂悉炎上，優都絶滅断人腸。
　　　　　　　慈悲山：ラフマト山。英雄：アレキサンダー。皇帝：ダイオレス三世

　　　　　　七律・上高地（長野県南安曇郡）　　東京都　池田耕堂

　　羊長坂路向高原，険阻山崖迫眼前。"梓川"清流迎客子，"穂高"連嶂隔人間。
　　昔時倶友弄休暇，今日携妻愉靜閑。"大正池"辺聊変貌，"河童橋"畔尚依然。

　　　　　　七律・乗鞍高原畳平（岐阜県大野郡）東京都　池田耕堂

　　越谷登高爽気生，群峰囲繞興無窮。可憐"雷鳥"稀山上，清楚"一華"充眼中。
　　現在愛斯多訪客，古来祀社不容登。旦昏情景感銘久，未使人忘遥"畳平"。

　　　　　　七律・薬師温泉（茅葺民家郷。群馬県吾妻郡）　　　　　東京都　池田耕堂

　　陽春山野転澄鮮，梅影桜花更闘妍。踏草逍遥真総会，葺茅民屋自幽閑。
　　囲炉食事方歓楽，望瀑温泉亦適然。鳥語??無限興，仙郷探勝忘塵煩。

　　　　　　旧古河園（北区西ヶ原）　　　　　　東京都　池田耕堂

　　大正名園新緑滋，台丘渓谷各争奇。豪奢高館呈清影，優美前庭満妙姿。
　　和様林泉"京匠"造，洋風邸宅異人施。東西文化巧融合，貴重芳荘近世稀。

　　　　　連続名城・城址（用新韵）　　　　　　東京都　池田耕堂

　　　　　　　千葉城　　　（千葉市亥鼻）

　　旧曽"千葉"極繁栄，乱世因争支配終。要害居城化瓦礫，象徴"天守"在林中。
　　紅雲桜樹被山上，白亜高楼聳絶峰。往古風情雖不見，公園粋美賞心同。

　　　　　　　久留里城　　（千葉市君津市）

　　古来要害転傷悲，侵略奪還無尽時。絶壁囲城斜径険，秀峰添谷樹林滋。
　　層楼新設展資料，高櫓再興誇玉姿。今日"君津"為僻地，基盤産業最新奇。

　　　　　　　赤塚城址　　（板橋区赤塚）

　　山城守備竟難支，"赤塚"将兵咸曝屍。峻峭高台緑林遶，幽佳広苑素花滋。
　　桜雲春至娯游客，梅子夏来歓小児。唯見石碑残塁下，哀傷遺跡少人知。

　　　　　　　大多喜城　　（千葉県大喜多町）

　　"総南"盆地山河麗，"岡部"丘陵樹葉濃。聞説堅城無比類，惜令災火滅威容。
　　再興高櫓聳山頂，往古正門残旧庭。領主屡更迎近世，依然旧跡賞心傾。

　　　　　　　石浜城址　　（荒川区南千住）

　　"石浜"要地易枯栄，曽屡臨河有戦攻。神社遷移鎮依旧，廃墟消滅未分明。
　　高楼如筍建街巷，都鳥作群游遠空。昔日風光今不見，新春殷賑使人驚。

漢詩詞同人誌19年９　文化交流漢詩詞結社葛飾吟社

平成十九年九月号

　酷暑二題
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　千葉県　中山逍雀

閑雅逸俗

　　　　　　曄歌・三首組詩

　　炎熱中。老叟門前，百日紅。
　　百日紅。軒下吹頬，一陣風。
　　一陣風。嫩紅散地，炎熱中。


男恋女愛

　　　　　　五絶二首組詩

　　赤裸無人識，橙香二八年。黄昏吹急雨，緑葉倍鮮鮮。

　　青絲思君處，藍結寄恋書。紫蘭萎炎気，白雨満枯渠。

　　　　　　　　　閑雅逸俗

詩詞


　　　　　　五律・暑日午睡　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　紅楓圖畫裏，喞喞送秋聲。稲穂田園趣，丘墟��氣清。
　　汗流無扇面，日照落書棚。午睡邯鄲夢，幽人吟屐輕。　　

　　　　　　七絶・酷暑杞憂　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　炎威未去杞人憂，薄暮追涼露漸稠。更覺草蟲知節序，風檐梧葉告新秋。

　　　　　　七絶・觀月小集　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　金風萬里盡秋聲，照出清光露底鳴。緬憶兒孫良夜興，訛音暫曳共交盟。

　　　　　　七絶・苦烈暑　　　　　　　　　　埼玉県　塚越杉水

　　旱雲片片舞炎空，下午驕陽燎屋中。繙讀汗珠留不得，唯望霹靂喚長虹。

　　　　　　七絶・札幌球場看棒球比賽　　　　埼玉県　塚越杉水

　　俄生雲氣雨羊蹄，激水豐平攪亂泥。只任白球忘俗事，満堂声援意斉斉。

　　　　　　七絶・聽民間的故事旅寓　　　　　東京都　田村星舟

　　山村入夜半輪明，舊屋静和妖女聲。騷客縦横遊萬古，暗燈肅肅照梁楹。

　　　　　　七絶・夏日郷村　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　四山翠色淡烟遮，日午村墟幽萬家。亦識眼前風至處，翩翩胡蝶舞葵花。

　　　　　　七律・夏日賞白蓮　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　人賞白蓮求好句，鳥棲緑蔭怕奔雷。火雲突兀峰巓隱，天鼓轟然電影飛。
　　荷葉如卮盆雨濺，詩魔撒尿露華輝。夕晴仍旧虹橋挂，月照光頭曳杖歸。

　　　　　　七律・驚　雷　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　吟行十里對山容，野店午休拂面風。緑酒芳醇洗塵肚，白雲突兀涌靈峰。
　　遙雷撃鼓驚天下，閃電如刀斬老松。詩叟吃驚晝如夜，茫然呆立雨濛濛。

　　　　　　七絶・驚　雷　二首　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　夢醒緑陰仰暗雲，滿山白雨洗黄昏。飛仙何處彈琴隱，電閃人聽雷鼓頻。
又
　　三杯美酒清秋興，一枕清風美睡時。可恨驚雷破香夢，傾盆暮雨使人馳。

　　　　　　望海潮・驚　雷　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　碧湖無夏，白頭有酒，秋風已到山間。埀釣納涼，傾杯洗肚，看過魚影醺然。仍舊枕肱眠，暫化蝶鼓翅，飄舞青天。笑對嫦娥，共航銀漢避塵縁。
　　瓊姿悦目嬋娟，擅濃粧玉貌，巧弄花言。乘興撫琴，飛声尚古，擬唐高聳吟肩。韵事不須錢，用菲才揮筆，散士通仙。夢醒人驚雷鼓，盆雨洗朱顔。

　　　　　　凭闌人・消夏午枕　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　玄牝生雷閃電飛，白雨傾盆別酒悲。思君傾玉杯，傷心洗死灰。

　　　　　　七絶・消夏雜詠　八首　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　方牀裸體喜涼風，暫忘炎塵半睡中。晩境多閑無一事，夢蝶因此樂浮生。

　　人喜納涼花炮天，坐舟依舊一樽前。傾杯暫忘塵寰熱，乘興求詩題瓦全。

　　緑蔭風涼蝉語盛，碧天蝶舞火雲多。案詩閑曲肱堪枕，瞑目游魂交睡魔。

　　緑陰詩就午涼催，白首枕肱蝶夢飛。振翅飄然風有影，醒来蝉語送夕暉。

　　昨夜螢飛遶草堂，牽牛花綻映朝陽。炎威漸減清風足，亭午閑聞蝉語長。

　　門無車馬有松蔭，天有秋情無火雲。閑坐草堂涼氣足，善哉看到碧花新。

　　峰頂有雲無午熱，山中無夏有詩人。聳肩游目清風裡，吟句競蝉斜日隣。

　　風入草堂人似仙，消閑最好枕書眠。游魂香夢消長夏，午睡醒来夕日前。

　　　　　　五律・新　秋　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　雨洗炎塵後，風吹涼意盈。山巓彩虹挂，湖上早秋生。
　　遙望夕陽落，隣聞蟋蟀鳴。眼前無墨畫，心裡涌吟情。

　　　　　　五律・秋　游　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　散官無一事，塵外有閑情。埀釣浮湖上，抱壺隔帝城。
　　金秋山骨聳，碧水午風輕。尽日無言坐，心頭陰與晴。

　　　　　　五律・秋　情　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　日落西郊景，月明東嶺秋。山村晩涼早，草舎夜窗幽。
　　蛩語寒如雨，人情頻引愁。傾杯無酒友，獨飲撫光頭。

　　　　　　五律・秋　愁　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　清秋仰明月，晩境奈愁何？好事如風去，醉魂留恨多。
　　頻求消悶句，空唱斷腸歌。黄髪堆霜雪，朱顔嘆轗軻。

　　　　　　七律・秋　夢　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　雨洗新涼涼似水，天高明月月如杯。人揮北斗斟銀漢，蝶舞南柯逢黛眉。
　　笑對夢魔傾美酒，醉求韵事入深閨。秋宵枕冷醒来處，半夜只聞蛩語悲。

　　　　　　七絶・聯環體　對酌嫦娥　五首　　東京都　石倉鮟鱇

　　白頭玩月染紅箋，仍舊求詩不用錢。得意曲肱堪夢枕，游魂振翅舞秋天。

　　游魂振翅舞秋天，蝶夢乘風月兎邊。目下瓊林圍桂殿，廣寒宮裡見嬋娟。

　　廣寒宮裡見嬋娟，含笑招吾結酒縁。玉樹氷花堪賞處，兩人醉作酒中仙。

　　兩人醉作酒中仙，乘興競才吟聳肩。噴嚔無情香夢醒，悲哉忘句弄秋妍。

　　悲哉忘句弄秋妍，翻閲韵書押字泉。重振精神執禿筆，白頭玩月染紅箋。

短詩

　　　　　　曄歌・一　首　　　　　　　　　　埼玉県　塚越杉水

　　碧雲中。安臥熟睡，夢周公。

　　　　　　曄歌・一　首　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　銀漢流。趣在草蟲，告新秋。

　　　　　　曄歌・二　首　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　月依稀。邯鄲人生，何是非。

　　月色奇。風流有罪，笑我癡。

　　　　　　曄歌・暑　日　三首　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　百日紅。家人午睡，暑炎風。

　　火雲天。"高校棒球"，誰及肩。

　　夜熱催。郁悶枕上，一聲雷。

　　　　　　曄歌・三　首　　　　　　　　　　東京都　石塚梨雲

　　日如年。緑陰深処，乱暮蝉。

　　噪残蝉。午風扇暑，入酔眠。

　　賞心傾。悦目瓊姿，歌舞清。

　　　　　　曄歌・新　涼　七首　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　立秋風。疎簾揺動，将碧穹。

　　涼透肌。牽牛花萎，月如眉。

　　獨點頭。嫦娥照竹，将中秋。

　　月正円。晩餐獨坐，擬李筵。

　　一味禅。焚香黙誦，坐窗前。

　　月照林。明暗景物，有微音。

　　拙自知。羞與満意，句成遅。

　　　　　　曄歌・五　首　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　王瓜花。白色可憐，帶暮烟。

　　爛晩霞。寄情荷花，池水涯。

　　蘆荻汀。一螢掠夜，促詩情。

　　一小亭。村巷一夕，葛衣輕。

　　尚天涯。水鳥横飛，積翠池。

　　　　　　瀛歌・二　首　　　　　　　　　　東京都　石塚梨雲

　　向誰伝。可愛眼前，花影鮮。忘暑清晨，題詩一篇。

　　意気伸。賞心悦目，保天心。雨洗残炎，一花新新。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　惜花人。老躬猶抱，少年眞。心閑会面，詩嚢興新。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　往事空。新陰雲影，昼自幽。燕子歸來，飛咫尺中。


　　　　　　俳句と漢俳・二　首　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　早起きの先ず確かむる牽牛花
　　慈愛牽牛花。早覚醒先見君面，只放下了心。

　　改札をするりぬけ来る涼新た
　　駅頭暑如焼。検票口匆忙人人。一陣新涼風。

　　　　　　漢俳・二　首　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　壁間蟋蟀鳴。窗前桐葉知節序，孤枕月三更。

　　蟲聲夜寂寥。一雨跳珠濡蕉葉，空院坐深宵。

　　　　　　漢俳・讀一茶之發句作一首　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　無言賞月輝。良夜山妻不責備，野翁傾酒杯。
　　一茶句：小言いふ相手もあらばけふの月

　　　　　　漢俳・讀一茶之發句作一首　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　醉玩月嬋娟。開始傾杯十六歳，飲酒六十年。　　
　　一茶句：十五から酒を呑出てけふの月

　　　　　　漢俳・消夏行舟　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　帶酒坐浮舟。風爽青山浮碧水，朱臉冠白頭。

　　　　　　漢俳・吟　行　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　風流伴韵書。莫笑詩翁猶健脚，探勝易迷途。

　　　　　　漢俳・新　秋　十三首　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　樹蔭早秋生。涼台老骨枕肱睡，殘蝉尽日鳴。

　　日落秋風定。梧桐樹下一虫鳴，月中三徑靜。

　　風爽孟秋天。人仰無言山頂月，傾酒夜窗前。

　　清秋月半天。人賣藏書買醇酒，覓句聳吟肩。

　　客亭素秋老。迎月三杯村酒催，一片詩情好。

　　雲散一天秋。山暮蝉鳴涼似水，人仰月如鉤。

　　良夜醉涼台。風吹朱臉晨鷄醒，碧花棚底開。

　　秋風颯有声。涼台夜夜月光清，悲悲蟋蟀鳴。

　　客亭素秋老。迎月三杯村酒催，一片詩情好。

　　日落秋風老。茅齋灯火可親明，古詩堪味好。

　　明月挂竹林。虫声滿地秋堪味，使人詩試吟。

　　清秋月半天。游子心頭有詩思，客舎聳吟肩。

　　幽居先入秋。涼盈山氣清於水，蛩雨漫牽愁。

　　　　　　　　　　　　　男戀女愛

詩詞


　　　　　　七律・清秋空想　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　金秋白首奈相思？拂面風輕涼動時。傾酒良宵排鬱悶，游魂空想伴清姿。
　　花間携手逃塵外，月下無言對鏡池。佳勝自催吟志巧，麗人含笑讚新詩。

　　　　　　七絶・飛問嫦娥　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　西風拂面夜窗前，醉夢化蝶山月圓。振翅飄飄飛萬里，廣寒宮裡問嬋娟。

短詩


　　　　　　曄歌・一　首　　　　　　　　　　　埼玉県　塚越杉水

　　暗雲垂，織女悶絶，渡河時。

　　　　　　偲歌・二　首　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　機心已熄，老躯堪乗。思託詩巻，説良朋。

　　道荘兼老，詩白與天。午窗眠足，自飄然。

　　　　　　偲歌・一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　密藏郷情。音書欲寄，竹馬懐君，羞老生。

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　我與君。悠揚短笛，白練裙。托雁寄書，宿昔青雲。

　　　　　　　　　親朋純情

詩詞

　　　　　　七絶・和詩題東渡扶桑一小舟　　　　千葉県　陳　興

　　会乗東風西到秦，古城門外喜花新。南来大雁臨高塔，北望長城万里春。

　　　　　　十六字令・一　首　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　姿。疊疊紫薇影上衣。�C宵月，送君掩柴扉。

短詩

　　　　　　瀛歌・一　首　　　　　　　　　　　千葉県　秋山北魚

　　憶君時。欄干明月，好照誰。香留錦帳，思結高枝。

　　　　　曄歌・二　首　　　　　　　　　　　埼玉県　塚越杉水

　　蝉響盛。酌一斗酒， 識君情。

　　苦雨時，父子投合， 興象棋。

　　　　　　漢俳・送　別　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　送君思萬端。傾杯未解離情切，嘆嗟分袂難。

　　　　　　漢俳・再　会　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　君歸酒方闌。感在去年皆涕涙，今夜共交歡。

　　　　　　　社会生活・時事諧謔


詩詞

　　　　　　七絶・時　局　三首　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　　　　　　　　　　　一

　　有人無子欲埀名，欲改美風親泰平。巧放流言爲市虎，青年侠義作強兵。

　　　　　　　　　　　　二

　　古来敗將愧旌旄，干脆辞職脱戰袍。今日天龍贏市虎，王孫四面楚歌高。

　　　　　　　　　　　　三

　　日本爲何爲美國，刪除戰敗再高歌？井蛙得意誇誑語，但買寰球嘲罵多。

短詩

　　　　　　短歌與瀛歌　　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　しばらくは　公轉自轉　休みます。じわじわと　壊死を深むる地球
　　我�告ｯ。壊死崩壊，漸漸到。自轉公轉，暫時休停。

又五言絶句
　　疲勞公自轉，凡擲幾時休。空寂星河裏，煩惱侵全球。

　　　　　　坤歌・二　首　　　　　　　　　　埼玉県　塚越杉水

　　北極溶。全球変暖，探元凶。

　　地震繁。塗炭之苦，轟乾坤。

　　　　　　坤歌・一　首　　　　　　　　　　山口県　藤井登龍

　　選挙危。巧言令色，常有悔。

　　　　　　漢俳・牛飲馬食　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　晩餐涼意加。牛飲馬食牛飲馬，烟火作天花。

　　　　　　　　寓意偶題

詩詞

　　　　　　七絶・日光一筆龍　　　　　　　　　千葉県　高橋香雪

　　毫芒千錬幾星霜，神龍百家異墨香。追憶十年渾如夢，今宵一架自輝光。

　　　　　　五律・壁間虎與我　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　未燈影自照，猛虎在玻璃。壮壮何由現，啾啾只似悲。
　　机前獨對酒，窗下又吟詩。却惑非吾事？澄心消爾姿。

　　　　　　十六字令・二　首　　　　　　　　　東京都　田村星舟　　　　　　

　　慈。塘岸風吹睡猫兒。何難去，赫赫落暉時。

　　緋。雲片蕭條淡秋暉。孤徨岸，風起引羅衣。

　　　　　　七絶・煩　悩　　　　　　　　　　　埼玉県　松本杏花

　　煩悩満身無尽蔵，残蝉吸露樹蒼蒼。詩情尽日向誰語，煩悩一生愁緒長。

　　　　　　七絶・詩　会　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　白水涌泉堪煮茶，八人圍火鬪才華。題詩各自揮毫後，燒掉紅箋醉酒家。

短詩

　　　　　　短歌與瀛歌　　　　　　　　　　　　東京都　田村星舟

　　まどろめば　めぐりに海の水満ちて　身のしなやかに　われは魚となる
　　白日夢。四邊蒼蒼，海水盈。一身化魚，游泳萬程。

　　　　又五絶
　　一枕午餘夢，四邊潮水充。化魚愉随意，游泳海中濛。

　　　　　　漢俳・苦　熱　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　不忍氣温高。此時炎帝揮刀�ｰ，雷公撃鼓逃。

　　　　　　　　　山川覽勝

詩詞

　　　　　七絶・訪田谷瑜伽洞窟　　　　　　　　神奈川県　高橋子沖　

　　　　　　　　一.　

　　鎌倉西北隔郷関，緑樹丘陵小蓋山。地下伽藍田谷洞，長天幽界是仙寰。　　

　　　　　　　　二.　

　　縄文横穴拡高僧，暗窟歩行携燭灯。驚憚朧浮彫仏像，重層奥院俗心冰。
　　　　(注)　田谷是日本鎌倉市内地名。小蓋山是丘陵山名。縄文横穴日本古代住居。

　　　　　　伊太利旅情・前編（用現代韻）　　　東京都　池田耕堂

　　　　　　　古都米蘭（ミラノ）

　　雅都從古極繁榮，文化爛漫開市中。佳麗聖堂聳街巷，堅牢城塔映清穹。
　　天才壁畫感無限，巨匠遺彫懐不窮。瀟洒流行自期發，行人商店好風情。

　　　　　　　悲恋舞台・維羅納（ベローナ）

　　中世風情今尚持，河邊比屋轉清奇。沙翁戯曲知人遍，名作舞台尋客稀。
　　"王子"恋心無限歎，"美姫"自害不堪悲。兩家対立漸消滅，和解成功眞可怡。
　　　　　　（注）沙翁戯曲；ロミオとジュリエット

　　　　　　　花都・佛羅倫薩（フィレンツェ）

　　圍丘都会恣繁榮，文芸復興從此生。壮麗聖堂看不尽，豪奢宮殿賞無窮。
　　名工彫像咸稱讚，畫聖絵圖深感銘。"華贍一家"耽美術，卓然遺産使人驚。
　　　　（注）名工；ミケランジェロ　畫聖；ボッチチェルリ　華贍一家；メディチ家

　　　　　　　美港・那波利（ナポリ）

　　靈峰淡淡映朝陽，島影悠悠浮大洋。"聖女"海濱波響緩，"新城"城塔眺望長。
　　佳人明朗歌謡巧，料理高名風味芳。共説見斯而可死，雖然形象在諸邦。
　　　　（注）霊峰；ﾍﾞｽﾋﾞｵ火山　島影；カプリ島　聖女；ｻﾝﾀ･ﾙﾁｱ　新城；ﾇｫｰｳﾞｫ城

　　　　　　　梵蒂岡城國（バチカン市國）

　　梵城樓閣隔塵縁，悠久廣場驚整然。天主伽藍極莊重，法王拝殿冠群妍。
　　使徒墓所感銘覺，美術堂樓別興牽。殉教精神傳各國，至高聖境客懷寛。
　　　　（注）法王拝殿；ｼｽﾃｨｰﾅ礼拝堂　使徒；聖ﾍﾟﾃﾛ

　　　　　　　　　　　遊戯放逸


　　　　　　　秋風曳杖曲　　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　杖を曳き傘をさしゆく身にあれば頭に積もる夏の白雪
　　などと口ずさみつつ
　　雨の渋谷に
　　職を捜し
　　食を求め
　　田翁倚杖立街頭，偶見亡霊説百憂。国破同胞醉民主，和魂頽廃弊風稠。
　　　　　
　　子の無き人が強兵を説けば
　　孫ある者が選挙に行く
　　投票用紙に落書あり
　　貧しきがうち倒すのが革命で痛められるを改革といふ

　　部下が切られ
　　社長が居残る世にあれば
　　午夢は詩書を枕とし
　　忠臣迷世途。一将無功万骨枯，傷心坐茅盧。

　　蝉が鳴き
　　余生の空しきを知れば
　　なんぞ恨まん
　　浮生の一夢

　　あさがおや天が尿(しと)せる玉の露

（注）短い定型詩体を組んで一篇の詩とするものを元人、「曲」と呼べり。
　　蕪村に「春風馬堤曲」あり。これを世人「俳詩」と呼ぶは、真に蕪村の命名によるや。
　　拙作は、短歌・七絶・漢俳・俳句・散体を組んで「曲」とせり。

　　　　　　　秋風玉堤曲　　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　年経りて身は牛のごと肥りゆき花火を見るに歩みものろし
　　　　　トテ　玉堤ニ立タバ
　　月半天。破鏡張弦，?日邊。
　　　　　ト一句ヲ得
　　去歳与君，今夜単身。仰瞻烟火，似花唇。
　　　　　ト更ニ吟ズ
　　　　　花火ノアトニハ煙ガ棚引キ
　　焔火生花留淡烟，疑是銀河横九天。求詩無錦箋，凭闌有酒仙。
　　天界も花火のあとか天の川
　　　　　トテ　銀河ノ岸ニ居ル人ヲ思フ　目ヲ遊バセバ
　　青年携手連江畔， 白首無言立孟秋。月寡人鰥間天地， 相思萬歳起長愁。
　　　　　玉堤ナオ花火ノ名残リアリテ
　　明月や馬の隣で牛が飲む

　　　　　　四字成語成漢俳　　　　　　　　　東京都　石倉鮟鱇

　　隨處爲主：　　東風嫋嫋巡。花心隨處翻紅袖，爲主擅青春。

　　蘭摧玉折：　　偸生依酒卮。醉吟白首蘭摧志，朱顔玉折詩。

　　落花流水：　　佳吟似鳥声。才女落花無宿志，流水有春情。

　　錦心繍口：　　買酒醉仙源。玉女錦心無語病，繍口有花言。

　　南船北馬：　　胡姫玉貌妍。笑坐南船買香夢，北馬賣花言。

　　東奔西走：　　晩春堪作詩。游子東奔賞櫻後，西走擧杯時。

　　和光同塵：　　琴詩隣幻花。才媛和光陪老骨，同塵醉酒家。

　　閑話休題：　　壯語領山河。古来閑話隣情趣，休題呼睡魔。