平成２１年７月號
漢詩詞創作講座 基本姿勢
中山逍雀
何をどんな思いで綴るのか？此を詩想という。詩想には二つの要件がある。
対象の大小と記載内容の多少である。
対象の大きさとは、大宇宙から米粒までの、見た目の大きさである。記述内容の多少とは、情報量の多少である。
依って情報量が少なくとも、対象は大宇宙から米粒まで扱えるが、記載内容を多くは出来ない。依って内容は極處を扱うこととなる。
情報量が多ければ、対象は大宇宙から米粒まで扱え、記載内容は多く、あらゆる物事を対象とすることが可能で、内容は深く繊細にすることが出来る。
漢詩詞は僅か十字の曄歌から七言古詩まで、白楽天が詠む長恨歌は百二十句で、楚辞に於ける離騒や天問などは三百七十五句に及んでいる。依って漢詩詞は極處を扱う詩想から、広汎を扱う詩想まで、萬般に対応できる。
訴えようとする思いと定型は、内容物と器の関係にある。器を選んでから内容物を入れるのではない！内容物に合う器を選ぶのである。
心の一隅、小さな襞を述べるには、小さい器の曄歌が選ばれるし、人生の襞を述べるのなら、鶯啼序も良かろう。または古詩で心の赴くままに構成するのも良かろう。
気の利いたことを述べたかったら、楹聯も良かろう。軽い気持ちで人情の機微を詠うには、口語詩も良かろう。程ほどの事柄を体裁良く述べるのだったら、絶句も律詩も良かろう。
人には述べたいことが沢山ある。事柄も千差万別ある。器も各種必要で、
詰め方にも技巧が必要なことは、当然の理である。
次に、漢詩詞は作品題・序文・作品・注の四っに依って構成される。作品題とは、作品の概要を述べることが、その役割である。依ってその作品に相応しい語彙が配される。
作品の本旨は作者の情で有るが、その情を顕す手段として概ね、叙景題・抒情題・叙事題・詠物題の四つが有る。
作品題は、作品の概略を述べる、作品の入り口に当たる部分である。読者は作品題を読み、作品の幾つかの語彙を読めば、作品の大凡の趣旨は読み取れるのである。依って作品題は作品にとって重要な要素である。
依って「無題」と記された作品であっても、題がないのではなくて、無題と謂う作品の趣旨で有ると理解すべきである。
作品題は内容に繋がり、内容は「韵に」繋がり、詩法句法にも繋がりを持つ。心の響きである聲に対して、韵書での取り扱いは、声を構成する
聲母・韵頭・韵腹・韵尾・聲調の中、概ね韵腹・韵尾・聲調の要素を対照として、個々の韵目を設けて分類している。
漢詩詞の構成は曄歌の三句から「離騒」や「天問」などは三百七十五句の作品まで、初句から末句まで首尾一貫していて、読み進めば作品内容が読み取れる仕組みである。これは漢詩詞の根幹を為し基本構成で、構成には四っの要件があり、叙事法・定型・句法・對法
の四っで有る。
分かり易いように、料理に置き換えてみると、次のようになる。
香の物などの小皿単品は曄坤偲瀛：丼物は漢俳：一汁三菜は絶句：幕内弁当は律詩：その時時の母さんの都合で変わる家庭料理は古詩：来客時の料理は填詞或いは古詩の場合もある。
最も小さい定型に、曄坤偲瀛歌、或いは竹詞がある。小さいことを述べるのに大きな器は要らない。ただ器が小さいので、大きな事は入らない。心の襞の様な、小さいことが専門で、心底の情を写すには最適である。
程ほどに腹を満たすには丼物がある。丼物は限られた容積だから、どれも此も入れると謂う訳には行かない。食材は三品ぐらいで、其れが巧く組み合わさって、料理の態を為している。ただ丼物はどんなに頑張っても、丼以上には成らない。漢俳や十六字令は此に属す。
一汁三菜は質素ながらも一通りの要件は満たしている。だが此も毎日では物足りないし、飽きてくる。一汁三菜でも工夫次第で、どんな料理でも出来るかと言えば、そうは成らない。一汁三菜は、どんなに食材を選び、調理方を工夫しても、一汁三菜以上には成らない。自ずと限度がある。絶句はこの類に属す。
幕の内弁当は構成が実に巧くできている。弁当箱の仕切りが程ほどにあって、食材の数も程ほどに入れられる。幕の内弁当の利点は、一つ一つの調理は、それ程上手でなくとも、仕切り升に詰め込むと、誰が作っても、程ほどの幕の内弁当が出来る。これは律詩の特徴である。
見方を代えて、家庭料理は母さんの愛情が最も重要である。愛情に乏しいと、フフアミレスやコンビニの総菜を皿に並べただけとなる。
見た目は程ほどだが、美味くもなく不味くもなく、家庭料理としては落第である。作者の思想に関わりなく宛がわれる課題詩が此にあたる。作者の意思に関わりないから、耳障りの良い詩語を類型に倣って並べる。此は練習法ではあるが、作品ではない。
料理は、母さんの愛情が有るか無いかで、美味い不味いが決まる。愛情がなければ、既に母さんの料理ではない。下手な料理でも愛情が溢れていれば、其れはとても美味しい。その愛情が料理の善し悪しを決める。
次に創作者には自己意思、即ち個性が必要である。自分の人生観、人となりを意識している必要がある。長年に亘って培われた人生観があるからこそ、詩詞創作によって、自己の思いを何方かに訴えようとす事が出来る。
詩想を導き出すにはその前段階として、題材の何処を掴むか、どう扱うかと謂う問題がある。掴み方を類例化すれば、類例は限りなく有るが、本稿では、七つの題材に対して七つの舒法を類例化し四十九の類型がある。次のWave
Sightを参照されたい。http://741.jp/kouza08/kou-08C07.htm
何をどんな心がけで綴るのか？其れは、自分の考えを人様に聞いて貰う事である。読者の側から言えば、語りかけてくる作品を謂う。
馬鹿馬鹿しく思えるかも知れないが、此が解らないと作品は出来ない。自分の考えを綴ると言うことは、人様に聴いて貰いたいと言う前提での、自分の考えである。
人様に聴いて貰うとは、自分勝手に言うのではない。相手が一緒に聴いてくれる！聴いて貰えると言うことがなければならない。
これは作品の心髄で、作者の訴えようとする意欲が最も重要な要件である。漢詩詞の創作には先ず訴えたいという意志と、訴えたい相手と、それを綴るための詩法が必要で、其れには、客観視の能力が必要である。
私意を訴える対象には、友人や親族、或いは社会や国家、或いは、相手が自分で差し支えない。
相手が自分の場合は、客観的立場に立っている必要がある。客観的立場に立った創作者が、現実社会に居る自分に対し、詩詞創作という手段を使って思いを述べるのだ。自分が己に宛てて思いを述べる点では、独白体にも、似てはいるが、漢民族詩歌では、独り言の作品は滅多に見かけない。
創作者の中には「私は読んで貰うことを前提にはしていない！自分の思いを漢詩にしているだけだ！」と言う人が居るが、作ることは勝手だが、この様な作品は海外詩詞壇では評価されない。
漢詩詞創作に当たって笑えない現実！が有る。作品は相手に読まれて、或いは聴かれて、作者の意図が理解されてこそ、作品として成り立ち、日本人が作る漢詩詞作品も、日本人だけではなく、漢民族に通じ、理解されて、初めて作品として成り立つのである。
もし、漢民族には読めない！或いは耳で聴いても解らない！のであれば、其れは作品としては成り立たない。読んでくれるのは、歴史上の漢民族ではなく、現代の漢民族、言い方を変えれば、現代社会の中国人である。
文法に適ってさえいれば、中国人にも読める！語彙が正しければ読める！とは限らない。日本人にも謂えることだが、中国人も普段は複雑な構文も、古典文法も、古典語彙も古典漢語も、総てを識っているわけではない。
日本の漢詩愛好者の幾人かは、この現実を考慮せずに、作品を作る。その結果、日本国内では評価されても、中国国内では評価されない。実を謂えば、評価されないのではなくて、中国人には読めない！或いは作者の意図と同様に読み取って呉れているとは限らないのである！
漢詩詞作品は、中国人に読めて、趣旨が理解されて、初めて作品として成り立つ。此は作品の巧拙以前の、笑えない現実である。
もう一点、日本の漢和辞典に書かれている説明と、中国の辞典に書かれている説明と、必ずしも一致しているとは限らない。依って余りゴテゴテ述べると、日本側の趣旨と、中国側の趣旨が離れてしまう事もある。この弊害を避けるには、簡潔に述べなければならない。
此の愚を避けるためには、簡単な構文で、簡単な語彙で、簡潔に述べる事を忘れてはならない。
日本で何気なく用いられている沢山の動詞や副詞は、その幾つかは既に「古漢語」として扱われている場合がある。日本人は何気なく使っても、中国人には古漢語辞典を検索しなければ読めないのである。
この様な現状に鑑み、詩句は簡単明瞭に綴らねば成らない。記載内容は文化によってその認識が異なるので、その弊を少なくするためにも、明瞭に述べる事に勤めなければならない。
漢民族詩歌の依拠するところは、過去に於いても現代に於いても、生活に密着している。生活とは、個人を取り巻くあらゆる事象、即ち国際情勢・国内情勢・地域情勢・政治・官民・近隣・親朋・夫婦・親子・自分自身・・・等である。依って故意に作らぬ限り、現実から離れた作品は作らない。
日本人の作品に対し中国人の評は、「形式は整っているが、内容に乏しい。書物の入っていない豪華な文箱である」謂う。
中国人の漢詩詞創作の基本は、先ずは中身であり、詩想の趣旨であり、これが書物にあたる。次にその組み立ての詩法句法は、文箱にあたる。
だから、美しかった！美味かった！面白かった！悲しかった！嬉しかった！感激した！・・・・等は、自分自身のことで、相手への情熱が、いま一歩不足で、中華詩詞壇では、評価される作品には成らない。
漢詩詞は漢民族の詩歌、即ち外国語の詩歌である。日本に漢語が伝来したのは相当に古い時代である。それから今日まで焚書坑儒の様な文化的に過酷な時代を経ていないので、古い時代の文化情報が継承され温存されている。
それに引き替え、中国では近年の共産党革命、文化大革命などの焚書坑儒に依って、文化人の被害は甚大を極めた。殺戮と混乱の文化大革命も1977に収束し、その10年後、僅かに生き延びた文化人によって、1987年に、中華詩詞学会が設立され、1994年に会報第一号が出版された。僅かに生き延びた文化人によって、文化の復興が模索され、現在はその途次である。
依って日本で謂うところの漢詩詞と、中華人民共和国の漢詩詞とは、あながち同じとは謂えない。中国詩詞壇誌に依ると、漢詩詞を綴るには、まず、口語を不可とし、書面語を基本にして、古典作品の詩語を適宜用いること、と謂う程度で、日本で謂うほどの厳格さは謂われていない。
社会生活・時事風刺
詩詞
暁鴉問答 神奈川県 萩原艸禾
塵垢汽車未到来，狼藉残飯横鴉災。不聴非難啼声答，松上巣中黄嘴開。
月 千葉県 今田莵庵
竹林爽気散銀珠，自古圓缺諭禍福。何故億劫蘭質好，偏惆科技暴石窟。
題大風車 千葉県 今田莵庵
衝天三葉大風車，緩転細伸俯萬家。水火無縁生電力，点灯随意人間嘉。
題春燕 千葉県 今田莵庵
舊舗亦封百葉門，商街已失客人恩。帰来双燕巣雛育，禽族繋縁足有軒。
（注）百葉門；shutter
横浜開港百五十年 神奈川県 高橋子沖
山下公園花艶艶，公民散策話声柔。海辺韻娠高楼影，港内波静客船充。
世界文明随水交，国内貨物介知流。現今貿易隆盛讃，昔日寒村回想窮。
嗣子挙行"地鎮祭" 埼玉県 松本杏花
天地神霊逼碧空，石榴花發緑陰中。安寧眷属多年志，建築新居一代功。
滿江紅・純吏歸山 東京都 石倉鮟鱇
千里官游，人已老、滿頭霜雪。乞骸骨，歸山仰看，紫穹明月。野鶩上京爲羽扇，家鷄下蛋資農業。太平世、美酒洗賢愚，無優劣。
騎鸞鶴，嘲燕雀，揮詩筆，乘仙樂。擅銀盤風韵，金言俳謔。回憶半生傷感嘆，聳肩吟句飛聲切。空殉義，純吏諫言多，流青血。
醉妝詞・展 墓 東京都 石倉鮟鱇
那邊老，這邊老，堪嘆光陰太早。這邊了，那邊了，多墓眞難清掃。
醉妝詞・對飲妖狐 東京都 石倉鮟鱇
那邊睡，這邊睡，對飲佳人有尾。這邊醉，那邊醉，夢裡妖狐婉美。
短詩
坤歌・三首 夫婦 神奈川県 萩原艸禾
一言句。 妻女過多, 夫不附。
抱怨聲。 妻女過多, 夫不聴。
老伴不在, 妻女歓。 懦夫嘆。
坤歌・一 首 山口県 藤井登龍
望郷心。魂飛千里，情不禁。
灣俳・俳 魚 東京都 石倉鮟鱇
風平浪靜，俳魚游泳辞瀛淨。 ベタ凪の辞海を泳ぐ俳魚かな
偲歌・小蝶難舞 東京都 石倉鮟鱇
蕉風停處，小蝶難舞。一億同声，五七五。
蕉風やんで小蝶は舞えず一億の声ごーななご
漢俳・月下花前 東京都 石倉鮟鱇
風氣入襟懷。兩人月下約婚礼，花前叱壞孩。
漢俳・君子頻豹變 東京都 石倉鮟鱇
子規啼月邊。臨機君子頻豹變，孟母更三遷。
漢俳・風流韻事 東京都 石倉鮟鱇
老師俳句悲：光陰如箭隙駒飛。門徒建墓碑。
灣俳伴短歌 六 首 東京都 石倉鮟鱇
作育人材，豪商有志散家財。
人材を作育せんと豪商や志あり家財を散ず
作善降祥，樗散精勤得酒觴。
善作さば降りくるべし祥は 樗散精勤 得たるは酒觴
鶴長鳧短，詩人禿筆酒徒盞。
鶴長く鳧（かも）は短かし詩人には禿筆ありて酒徒に盞
鶴短鳧長，老殘携手與姑娘。
鶴は短かし鳧（かも）長し老殘が手を携えて若き娘と
一億人求句，不見電灯迷世路。
一億の人ら句をば求むるも電灯みえず世路に迷へり
愛慕情絲
詩詞
農家夫婦 山口県 藤井登龍
岸邊千萬草，水鳥獨回頭。酷熱火雲濶，炎蒸農事憂。
傷夫爲感謝，老婦不能休。幼稲讃功業，溢粮泣歸牛。
不違期百歳，鶴髪做同游。
祝"秋葉夏恵"令堂米寿 埼玉県 秋葉暁風
秋娘祝宴拝恩光，葉緑家昌壽満堂。夏屋紅榴齎百福，恵臨眷属喜呈祥。
看 病 千葉県 冨樫貞華
一枕空徂花映軒，淡濃緑緑刻移暄。誰憐痩骨経三月，羨見窗前鯉織飜。
寄病床之丈夫三首 千葉県 冨樫貞華
曄 歌
蝶空迷。人生七十，亦爲妻。
注：蝶空迷；荘子；斉物論第二
五言絶句
燕語侵窗入，陽光透紗遊。勿悲違宿志，見我更何憂。
七言律詩
明窗白壁杏林花，雨后枝頭吐嫩芽。往事情恣才學足，多年執筆畫圖誇。
都説病榻孤莫悩，我道老躯共治痲。追懐丈夫情愛厚，此思題句亦何加。
作言造語 東京都 石倉鮟鱇
時有老殘佯犬儒，作言造語冩情書。嫦娥憐憫如答應，清照光頭坐草廬。
暗渡陳倉 東京都 石倉鮟鱇
詩魔有意巧彈琴，白首目前花動心。暗渡陳倉交緑蔭，黄昏夢醒晩鶯吟。
暗度金針 東京都 石倉鮟鱇
翠娥青眼看情書，白面詩魔出酒壺。暗度金針傳好意，花心夜動玉唇朱。
三伏午醉夢天宮 東京都 石倉鮟鱇
野店姑娘説酒功，三伏午飲坐山東。緑陰白首傾金盞，蝶夢乘風到月宮。
朱夏黄昏對青女，霞漿有效洗塵胸。心心相印雲情涌，雷鼓轟轟雨意濃。
（隔句対）
点絳脣・鰥夫弄月 東京都 石倉鮟鱇
月照光頭，鰥夫久慕嫦娥寡。眉山堪畫，玉貌誇天下。
藏在雲中，何處歡情話？氷肌跨，長嘶風馬，却老馳炎夏。
一七令・廣寒宮裡逢嫦娥 東京都 石倉鮟鱇
山。
月寡，人鰥，
傾金盞，仰青天。
相思萬里，長慕千年。
尾生猶抱柱，頭頂已無冠。
醉叟游魂振羽，胡蝶入夢爲仙。
凌寒宮裡逢花貌，多感閨中笑目前。
憶江南・金秋夢渡銀河 東京都 石倉鮟鱇
金秋好，韻事伴詩魔。陪酒花言誑野叟，埀涎朱臉戀仙娥。浮舸渡銀河。
洞仙歌・髑髏化蝶春游 東京都 石倉鮟鱇
髑髏求句，起寒村孤冢，獨入櫻雲滿山涌。暖風吹閑徑、拂面習習，才七歩，何不聳肩吟詠？
酣春詩易就，冩景抒情，酬和春鶯樹顛哢。片刻忘黄泉，無酒游魂，餐霞處、蝶飛仙洞。見青女、翻袖羽衣輕，陪旧鬼、流涎醉耽香夢。
八聲甘州・月中心上秋 東京都 石倉鮟鱇
仰紫穹銀鏡映青娥，妝點艷情多。惑酒徒求句，詩人傾盞，志士憂國，獨坐広寒宮裡，却老雪肌輝，含笑朱顏醉，久領山河。
月寡人鰥風冷，憶鬼妻泉下，昨夢東坡。踏酣春景勝，攜手望烟波。賞櫻雲、輕浮江水，競鶯聲、信口暫高歌。人腸斷、四圍蛩雨，難洗心窩。
水調歌頭・月寡人鰥 東京都 石倉鮟鱇
人老何時了，把酒問寒蝉。地中嘗胆沈黙，今夕聳吟肩。回憶生涯暗澹，憾恨才能淺短，題試月嬋娟。清照光頭俯，揮筆走雲箋。
排聲病，擅詩韻，念天仙。嫦娥正寡，田翁悲嘆晩年鰥。蝶夢乘風却老，房事通宵愛宝，破曉醒黄泉。處處聞啼鳥，枯骨在春眠。
短詩
灣俳・秋 東京都 石倉鮟鱇
秋風入絳閨，鏡中愁色使人悲。
灣俳・一 首 東京都 石倉鮟鱇
白頭中酒毒，青女朱唇嘲老骨。
看護丈夫 千葉県 冨樫貞華
櫻花盛開的2009年3月17日、丈夫突然因脳疾病倒下、乗救急車被医院搬運。從那箇時候我的看護活動開始。
曄歌・六 首
救急車。疾駛櫻道，夫婦隔。
櫻花下。按摩手脚，因爲嫁。
麗櫻花。一日千秋，煮薬茶。
櫻散地。撫病床枕，想代替。
緑桃李。妻的愛情，推輪椅。
新緑鮮。鍛錬兩腿，暖與暖。
楹聯・五 闕
愛情輪椅；感謝笑顔。
医生薬餌；患者耐心。
香塵納画；鳥語通窗。
柔和護士；揺動思惟。
當前鍛錬；來月離床。
親朋純情
詩詞
望月想鴎鷺 千葉県 今田莵庵
海外騒人民庶契，離情恰当河梁別。隔天再会舊詩盟，今夜相看同一月。
丈夫同級会同行記 千葉県 高橋香雪
故山萬緑是家郷，往事少年髪正霜。皺皺童顔泉館夜，駅頭握手莫相忘。
悼故友 東京都 田村星舟
十歳交遊多所思，訃聞竟到涙雙垂。常勵摘句誠心卓，庭上幽花知不知？
短詩
偲歌・一 首 山口県 藤井登龍
閣閣蛙児，隠几題詩，音書寄友，紫陽紅。
瀛歌・一 首 山口県 藤井登龍
夢難通，寄君芒種，今古同，問安寄信，憶君庭院。
閑雅逸俗
詩詞
春日訪琵琶湖畔宿 神奈川県 高橋子沖
初春訪問湖畔宿，千里一望錦繍中。残雪留寒輝北岳，朝陽弄色朧南宮。
杜鵑啼処森林中，燕子飛時沃野穹。酌酒風清宵已半，吟詩五更意融融。
賞南国紗珈覧花 神奈川県 高橋子沖
南国渡来紗珈覧，路傍仰視紫花稠。幾時誰植徘徊路，屋外周辺昼自幽。
(注) 紗珈覧是南国渡来植物
坐小舟從"深川"到"千住"做疑似体験
"奥之細道三百二十年以前之旅" 埼玉県 松本杏花
岸邉新樹向人明，船客誦吟模聖情。冥府芭蕉何苦笑？故居一歩絶浮世。
殘春徘徊 東京都 田村星舟
楊柳絲絲芳草路，林風習習落花邊。漸漸歳月令人老，獨立凄然斜照前。
十六字令・三首 東京都 田村星舟
雄。眼下春湖霽曙光。鵠三五，恰恰北歸行。
紅。幾拂春衣水岸風。雲飛盡，夕日燎長空。
隆。開曙水邊滿袖風。人黙佇，荷綻色香豊。
嘲風玩月 東京都 石倉鮟鱇
白首多閑回醉眸，金風拂面過江樓。月光浮影杯中酒，蛩雨有情心上秋。
古墨堪磨人案句，新聲難就夢爲鴎。圖南張翼飛千里，走筆紅箋詩思悠。
髑髏一睡吟千載 東京都 石倉鮟鱇
晴耕多苦雨堪斟，浮想霞漿洗素襟。南陌無人朱夏熱，北窗有枕緑陰深。
白頭蝶夢游仙洞，金髪詩魔撫玉琴。求句千年眠冢墓，髑髏一睡醉竹林。
作浪興風 東京都 石倉鮟鱇
人揮禿筆走詩箋，作浪興風張片帆。吟志洋洋航萬里，飛聲四海戴長天。
八仙過海 東京都 石倉鮟鱇
八仙載酒航辞海，萬里乘風破月波。傾盞飛聲耽韵事，一心合體作歌魔。
十六字令・風流韻事 東京都 石倉鮟鱇
人，弄月嘲風愛醉吟。天年尽，刻句墓碑新。
［中呂］醉高歌帶過喜春来・春 吟 東京都 石倉鮟鱇
櫻雲盛涌春天，老骨頻傾酒盞。花間醉夢隣浮幻，欲競黄鶯百囀。
游魂隨處脱圏檻，求句及時爲野猿。不関聲病聳吟肩，佯酒仙，放唱喜歸山。
［中呂］醉高歌帶過紅綉鞋・秋 游 東京都 石倉鮟鱇
朱顏閑坐金秋，銀月輕浮緑酒。獨聽蛩雨交紅友，夢想詩魂不朽。
暗欲長生延壽，抱壺常醉高樓。繆斯花貌勸白頭，擧杯乘感興，揮筆擅風流，染箋成對偶。
短詩
曄歌・一 首 山口県 藤井登龍
緑陰村，蛍光明滅，情味温。
曄歌・四 首 東京都 田村星舟
亦快哉。蠶兒吃葉，聲似雨。
送春時。鯉魚一尾，躍小池。
夜雨時。小亭六月，獨爲詩。
夢裡家。颯颯晩風，吹稻花。
曄歌・二 首 東京都 田村星舟
夕照微。蹤跡殘天，岩燕飛。 岩燕蹤跡空に残しけり
雨餘途。黏液晶晶，蛞蝓爬。 雲母色の粘液。蛞蝓這ふ
曄歌・五 首 東京都 石塚梨雲
荷気香。消閑最好，又何防。
六月天。鳥声一路，問詩禅。
榴火紅。一庭新緑，気沖融。
愛弾琴。謖謖松風，妙通神。
文字縁。津津有味，入新篇。
曄歌・十 首 埼玉県 松本杏花
緑四囲。薫風動簾，染吟衣。
五月天。繞山訪寺，我無縁。
一碗茶。舒暢眼睛，牡丹花。
抱膝吟。薫風漾緑，迷詩心。
茶一杯。爐頭獨坐，隔塵埃。
作詩難。一片愁心，醉牡丹。
何処鳩。書窗無客，午院幽。
擬華胥。可憾昼夢，陋巷居。
鎖疎垣。僻巷深居，雨更昏。
夜三更。獨誦詩編，襟邉冷。
回文瀛歌・詩作興 東京都 石倉鮟鱇
墨古香 清韻風中 詩作興 酣春探句 吟月飛声
倒読
声飛月 吟句探春 酣興作 詩中風韻 清香古墨
回文添字瀛歌・詩作興 東京都 石倉鮟鱇
師老頭光 天半月明 詩作興 情多酒美 傷感飛声
倒読
声飛感傷 美酒多情 興作詩 明月半天 光頭老師
添字瀛歌・白頭作詩 東京都 石倉鮟鱇
朱夏夕暮，白頭作詩：緑酒香。金杯醉夢，青女閨房。
シュカセキボ ハクトウサクシ リョクシュコウ キンパイスイム セイジョケイボウ
（音読三十一字）
灣俳伴短歌 東京都 石倉鮟鱇
雨泣雲愁，詩客閑居緑蔭稠。
雨に泣き雲に愁ふる詩客をり閑居いたして緑蔭稠し
雨散雲飛去，老翁夢醒懐巫女。
雨は散り雲は飛び去り老翁は夢から醒めて巫女をば懐う
雨宿風餐，俳人求句入青山。
雨に宿り風を喰らい俳人が句を求めつつ青山に入る
雨收雲散，夢醒寒齋消玉盞。
雨収まり雲散るや夢醒めて寒斎に消ゆ玉の盞
雨踪雲迹，巫女歸餘昨夢奇。
雨の踪 雲の迹なり巫女帰り余す昨夢は奇（めずら）しきかな
雨順風調，篤農詩客仰山高。
雨は順 風調ひて篤農の詩客は仰ぐ山の高きを
杏雨梨雲，俳人画筆舞花春。
杏は雨 梨は雲よと 俳人の画筆は舞へり花の春には
藤花散處，月照光頭醉迷路。
藤の花散りたるところ照る月や光頭醉ひて路（みち）に迷へり
夢醉獨聽雨，彈琴青女爲詩侶。
夢に酔いひとり雨をば聴きをれば琴弾く青女が詩侶となりぬる
灣俳・才 東京都 石倉鮟鱇
才氣無雙，人有詩嚢如酒觴。
才華横溢，頻傾玉盞斟靈液。
才德兼備，發財請客勸金杯。
才華超衆，鷄群孤鶴知高詠。
宏才大略，將問嫦娥化夢蝶。
偏愛詩文，秀才不入酒家門。
灣俳・紙 魚 東京都 石倉鮟鱇
眞可愛，紙魚游字海。 可愛いね紙魚が字海を泳いでる
灣俳・東差西誤 東京都 石倉鮟鱇
東差西誤，詩才七歩穿園圃。 間違えて詩才七歩に畑行く
漢俳・一 首 東京都 石倉鮟鱇
愁客又無眠。西窗月落山冠雪，烏啼霜滿天。
漢俳・待兎殘株 東京都 石倉鮟鱇
清韵何難數！俳人待兎坐殘株，低吟五七五。
時調・春 游 東京都 石倉鮟鱇
櫻林好，風暖香飄，伴花貌，蓮歩搖腰。
聽春鳥，對飲醇醪，得句早，忽作詩豪。
酒功妙，兎角長龜毛。筆尖古調，美人消。
寓意偶題
詩詞
月照老殘 十 首 東京都 石倉鮟鱇
有人待兎守殘株，求句生涯輕世途。月照光頭無鶴髪，髑髏齟齬似詩徒。
金秋蛩雨洗胸懷，不忍客愁傾酒杯。月照光頭化朱臉，將迎天女抱琴来。
金風一陣暮愁深，蛩雨蕭蕭洗客心。千里官游老邊境，但看明月入幽襟。
老骨歸山作蠹魚，回游辞海入詩書。青春賣酒金秋醉，求句殘年共月居。
金秋待月伴無聊，午酒堪傾詩侶邀。海上嫦娥陪韻事，吟懷乘興擅良宵。
風軟陽台酒可酬，青天月照兩光頭。競誇朱臉求詩句，共擧罰杯消百愁。
夢裡詩魔拔宝刀，月娥被斬上天號。玉唇噴血飛銀漢，猶唱悲歌落海濤。
蕭蕭蛩雨遶茅廬，月照光頭雪滿鬚。美酒無功洗長恨，嫦娥守寡却鰥夫。
夢醒遙聞雁語酸，中宵月印紙窗寒。宦游千里到邊土，霜雪滿頭行路難。
人愛金秋詩酒歡，風琴錦瑟兩堪彈。宴中花貌巧酬和，正是繆斯吟夜闌。
短詩
曄歌・三 首 千葉県 高橋香雪
紫陽花。僧房石磴，競競誇。
紫陽花。紅青白紫，雨斜斜。
紫陽花。懶出蝸虫，水之涯。
山川覽勝
詩詞
訪横須賀菖蒲園 神奈川県 高橋子沖
一
菖蒲盈広苑，一望感無涯。菅笠無声女，嬌容採枯花。
二
緑草南風美，松陰園里融。池亭消永日，野水引清風。
鳥囀菖蒲浄，蛙鳴竹子豊。徘徊心気爽，閑坐夕陽中。
三
山村園裏開花満，緑樹微風映陽光。盛時賞花一日足，枯花採取月間忙。
漫漫歩歩嘆賞楽，急足暫停摂影翔。忘暑涼生歌一曲，幽情不絶在仙境。
夜叉池伝説 神奈川県 高橋子沖
一
夜叉龍神夢破時，美濃平野雨糸糸。伝承説話幽玄極，池畔雲垂欲寄詩。
(注) 夜叉池是在美濃越前山境
二
美濃西北遭旱魃，安八郡司対策追。三女美人昇揖水，龍神山境迎静池。
積雲初起暗茅屋，降雨満田喜色坡。渓谷尋来途十里。伝承故事説向誰。
(注) 美濃、安八是地域名称 揖水是揖斐川
遊舞岡里 神奈川県 高橋子沖
丘陵山果熟，緑草路傍香。燕子南風舞，蛙児夏日昌。
鳥声成荏苒，人語落蒼茫。園裏忘塵俗，行雲麗夕陽。
(注) 舞岡公園是在横浜市内
連続江戸名所 古詩・新韵 東京都 池田耕堂
大山不動尊・阿夫利神社 神奈川県伊勢原市
古来"講中"絡白衣，大山参詣連袖之。鬱蒼雲林庇神殿，山頂本社留旧姿。
崇高不動鎮中腹，無量功徳千載知。猪鍋豆腐特佳味，温泉景勝随処宜。
（注）講中：信者団体
大宮八幡宮 杉並区大宮
千年大社緑林深，幽邃境内無俗塵。杜花絢爛彩参路，荘厳神殿清且昏。
幾多武将厚崇敬，屡遭戦乱都度新。大宮崖下澗渓続，緑道探且聊瘉心。
芭蕉稲荷（深川芭蕉庵跡） 江東区常盤
墨田川畔柳花濃，万年端上望霊峰。薄冥境内客無尽，素朴祠宇殊有情。
芭蕉為号以庭木，看蛙跳池名句成。生来好旅辿奥路，臥痾不得還草□。 □＝戸＋向
大國魂神社 府中市宮町
老欅街樹正摩天，旧道風物随処看。武州六所鎮深奥，神聖本殿無俗塵。
古来武将特尊信，旧時"伝統"情緒牽。著名"奇祭"尚存続，上古総社稀比肩。
（注）伝統：流鏑馬。奇祭：暗闇祭。李子祭。
将門塚 千代田区大手町
都心古塚大楼間，商社街裡唯一閑。将門挙兵希創國，衆寡不敵空此眠。
鬱蒼塋樹擁墓所，古朴石塔幽興繁。昔年均地欲営厦，事故頻発霊地残。
神田神社創建地，"天下祭"礼民衆然。
（注）天下祭：日本三大祭礼の一。神輿は江戸城に入り将軍上覧
北京観光 古体五首 東京都 池田耕堂
我花甲的年，對我和妻子，家族給祝福海外旅行。到那時候，因爲我妻子一起、被工作播弄，海外旅行等，想象也没有。
我們夫婦因爲對海外旅行不能行、從書的照片和報道，享受海外的風物。可是當時是我和妻子、家族的好意一邊感謝，作爲躍躍，成爲了飛機上的人。
初次海外旅行，是中国旅游。万里長城和故宮接触的時候，不能止住感激的眼泪。
故 宮
天安門外自儼然，紫禁城中樓閣連。正殿豪奢看不盡，内廷絢爛思無邉。
官人十萬常順逆，美女幾千悉娟妍。皇帝権威眞絶大，旅客排隊玉堂前。
萬里長城
傳聞西在金字塔，萬里長城正對東。塁壁延延盡天際，望楼整整聳晴空。
要塞建設極残酷，労働工人倒痩躬。幾多悲惨荒塁下，幾千里程任朔風。
明十三陵
磨石神路獣像連，遠峰寂歴籠淡煙。行宮碑亭在随所，清楚花影充墓園。
荘厳明楼聳丘上，幽玄地宮祀古魂。榮枯盛衰文與武，北狄防衛百弊源。
天壇公園
公園縹渺百花香，老柏蒼然自清涼。豪華正殿冠天下，優美園丘聚斗牛。
到冬丘上催"露祭"，夏至樓上祈豊穣。往事皇帝祈神處，現在民衆娯楽場。
頤和園
林泉明媚擁瓊楼，水畔長廊興偏幽。萬壽山中高閣聳，昆明湖上玉船浮。
豪華館内親京劇，広壮林間楽勝游。一木一草吃骨肉，勿忘列強侵略憂。
平成２１年８月號
寓意偶題
詩詞
草珊瑚（せんりょう） 自由詩 千葉県 中山逍雀
松杉下，身高僅有三寸三。
矮木影，細竹間。
不識初陽燦，無憂凍雨寒。
草珊瑚。
豊豊小果，粒粒鮮朱。
啄朝雀，掉暮烏。
微雨如糸花落季。
薫風換景水暖時。
櫟樹香塵下，四四嫩芽幾百，嫩芽両三枝。
春夏秋冬両三遷。
身高已有三寸三。
粒粒丹丹。
（注）自由詩創作の資料として掲載しました。
（ http://www.741.jp/kanshi/kansiF.htm ）
題皆既日食 千葉県 高橋香雪
無太陽。
海外同時意気揚。
皆既日食，金環照出。
幾多旅客壮心在，稀少村人百事忙。
風巻雨吹，突然変異。
乾坤一擲不尋常，電視傍観入醉郷。
看硫黄島上空的皆既日蝕電視、回想泰日蝕觀望行。
東京都 田村星舟
天空遽暮鳥歸忙，蜻蜒亂飛複眼張。仰見黑陽瞬間蝕，光冠皎皎迫心腸。
（注）泰皆既日蝕；１９９５・１０・２４。
皆既時間；１分５４秒。光冠：コロナ
回顧篆刻 千葉県 冨樫貞華
拈句繙書方寸穹，凝眸握鑿一心攻。何嗤徹夜渾身技，白白紅紅児戯同。
思露華 埼玉県 秋葉暁風
窗前翠葉露華光，我怖夜間雨不常。勿笑雷神脅死活，今朝一滴明朝煌。
海的埃及展 神奈川県 高橋子沖
一
尼羅流域恵文明，古代王朝万古栄。亜歴山台都海岸。豪華宮殿永年城，
(注) 尼羅：ナイル河。亜歴山台：アレキサンドリア。
二
地中海上霸難成，興廃風雲幾変更。慨撒克楼巴特拉，雄図可惜嘆盛名。
(注) 慨撒：カイザル(シーザー)。克楼巴特拉：クレオパトラ
三
地震悲哀大地傾，尊容神像海深横。砂泥堆積傷魂状，星落時移長恨生。
四
近代海洋探索振，捜査遺跡鬼神驚。壮観至宝無声蘇，展示会堂感動轟。
山川覽勝
詩詞
加祖丘陵（Cotswolds）村村写生旅行五首 神奈川県 萩原艸禾
其一 七絶 バイブリー（Bibury）
詩人嘗賞英格蘭第一美邑
細流浮翠草叢辺, 戸戸排甍已幾年。堪羨前庭百花乱,
黄赤信手意悠然。
其二 七絶 ロウアー・スローター（Lower Slaughter）
許観光汽車依草原歩径（Foot path）入村
草茵三里絶千憂，始現浅清辺邑流。可愛鮮花彩石壁，家家映水報吾遊。
其三 七律 ボートン・オン・ザ・ウオーター
（Bourton- on -the -ｗater） 時称小威尼斯（Venice）
遊客集来豊野郷, 水都殷賑日方長。浅流三丈才涵脛,
垂柳千枝已生涼。
石壁相和蜂蜜色,
浴鳬倶競羽毛装。未能写尽清郊景，傾刻横毫憩草塘。
其四 七絶 カッスル・クーム（Castle combe）
小村有石亭是往事市場跡
通行徒歩五分村, 連屋景中清雅存。嘗賑市場交易跡,
暫時欲写石牀温。
其五 七絶 加祖丘陵回遊
萋萋夏草緑氈岡，一片孤雲帯夕陽。牧野連天人不見,
蒼茫十里世塵忘。
自由体 加祖丘陵（Cotswolds）回遊写生旅行一首
神奈川県 萩原艸禾
緑氈岡、日方長。
牧野人不見, 連天世塵忘。
草茵三里, 始現辺邑流。
浅清涵脛, 水畔報吾遊。
嘗賑市場跡, 甍甍已幾年。
今賑水都岸, 戸戸百花鮮。
石壁蜂蜜色, 清雅存。
翠鳬羽衣浴、水自喧。
遊客集来豊野郷, 垂柳已生涼。
未能写尽清郊景、傾刻憩草塘。
連続江戸名所 古詩新韵 東京都 池田耕堂
氷川神社（武蔵一の宮） 埼玉県大宮市
清涼一宮望無窮，連衍参堂蒼翠重。神橋楼門極華麗，舞台正殿殊有情。
歴朝武家厚崇敬，古来屡次為造営。四時花影滿神領，"武蔵"風致今尚濃。
称名寺 横浜市金沢区
桃櫻片片散春陽，"浄土庭園"幽興長。優美朱橋映池水，荘厳金殿泛晴光。
"北條"墓所深林裡，"金沢文庫"寺宝香。後背霊山眺望秀，昔時八景在何郷。
（注）浄土庭園：鎌倉時代の寺院庭園形式。
平林禅寺 埼玉県新座市
関東名刹晩秋尋，山内滿目紅葉林。三門堂閣悉茅葺，往時風物延賞心。
"松平"廟所極壮重，野火止水遣至今。幽玄泉石廃墟飾，禅学境地情緒深。
（注）松平：松平信綱一門
国宝・白水阿弥陀堂 福島県磐城市
磐城浄土擁連峰，"徳姫"倣父創梵宮。千秋方堂耐風雪，"平安"仏像尊無窮。
庭園優美如極楽，蓮池清雅殊有情。紅楓濡雨真鮮媚，辺郷古朴風物清。
（注）徳姫：中尊寺を建てた藤原清衡の娘。平安：平安時代
白子次郎和妻正子的"武相莊" 埼玉県 松本杏花
竹径柴門百尺心，閑庭處處碧苔侵。夫妻正是與琴瑟，一過涼風托意深。
武夷山的茶樹"大紅袍" 埼玉県 松本杏花
烟靄纏山樹尚榮，突天茶木緑盈盈。多年育育清涼界，咫尺奇巌翠滴聲。
憶江南・回顧京都 埼玉県 松本杏花
京都好，旅興不能諳。枕上花顔燈下涙，天邉淡月縷金籃。私慕染雲藍。
短詩
曄歌・夏之海 五首 埼玉県 松本杏花
避暑人。忘吾終日，養金鱗。
島影長。海風吹暑，嗅潮香。
水接天。白鴎飛去，只碧穹。
數花香。人没朽碑，古戦場。
天未明。涼風撃岸，聴濤聲。
漢俳 夏之海 埼玉県 松本杏花
遙望国境線，千里潮風洗暑氛。首夏萬重雲。
社会生活・時事風刺
詩詞
農時偶成 東京都 田村星舟
世間無果報，僅喜雨餘天。梅子已黄熟，柳條愈緑烟。
方知農事遽，忽覺鳥吟専。老婦穫靑菜，政治憑俊賢。
戦時育児 千葉県 今田莵庵
育成戦下四男童，糧筥常貧阿母窮。往歳回頭三老耄，売衣獲食毎宵終。
一七七一令 山海之救済 千葉県 今田莵庵
山
伐木 荒源
散葉減 養滋難
村耕脆弱 海漁辛酸
人興植林策 眼醒蓬島仙
干涸泥中貯水 浅春雨降漂烟
霽開春光稜線近 高啼鳥禽百花鮮
～～～～～～～～～～～～～～～
世界温暖歳歳高 洋上気象年年改
廃品放擲流浪 嶼国沈潜滌漑
賢人培汀樹 島民昂期待
白日悠揚 青波澎湃
荻蘆生 涼気快
躍魚 除害
海
相州海岸禁烟令是非論 千葉県 今田莵庵
其一是論
浴潮洋上触乾坤，一片屑塵不停痕。莫投烟塵無辜地，水空無限続渾渾。
其二非論
浴潮洋上触乾坤，一息紫烟甚養源。休道海浜浄化令。水空無限続渾渾。
題吸烟 千葉県 今田莵庵
吸烟元是島蛮風，探検携帰流俗窮。王族貴賓頒嗜好，文人墨客喜雷同。
今人認識健康害，公衆猜嫌室内濛。喫者寸時逃業務，放吹仰見狭蒼穹。
八哥啼 東京都 石倉鮟鱇
綺語季題何處尋？八哥啼尽入山林。俳人曳杖追飛影，好句忽成堪放吟。
急功近利 東京都 石倉鮟鱇
樗散無私隱市中，寒齋有筆眼頻紅。急功近利害才分，聲病難排愁意濃。
憶余杭・權官酩酊 東京都 石倉鮟鱇
誰喜平成，到處哀鴻鳴世路，無職乏櫃害精神，紅女送青春。
大臣中酒招國難，儒將極言擅虚誕。殉情違憲擧杯頻，笑受退休金。
念奴嬌・醉生夢死 東京都 石倉鮟鱇
酒魔誑我，坐花底、回憶生涯迷路。出仕官衙，知毀譽、汗馬功勞朴素。晝夜忠勤，春秋貢献，碧血流腸肚。天恩全治，庶民深謝先祖。
戰後堪喜平成，萬家鳴百鳥，精神酸腐。飼養青蛙，棲井裡，不顧城中狐鼠。老作俳人，周游求短句，未知龍虎。黄鶯清囀，醉生夢死無度。
人月圓・厭世人傾酒 東京都 石倉鮟鱇
平成麟子無職業，老骨有詩魂。哀鴻滿路，豎官傾盞，明月開輪。
光頭輝耀，金人峙立，白首微醺。公園寂寞，棲烏沈黙，哲婦私奔。
短詩
曄歌・二 首 東京都 田村星舟
黑太陽。願望實現，喚聲揚。
又災禍。老人之家，泥流襲。
俳句與漢俳 埼玉県 塚越杉水
エアコンの一度をあげる決意かな
炎天空調開 上升一度擁環境 正是決心哉
漢俳・各自守封疆 東京都 石倉鮟鱇
俳人求句忙。一意專心横短槍，各自守封疆。
漢俳・功 東京都 石倉鮟鱇
櫻雲滿目春。秀才功遂歸鄕土，身退作詩人。
碑文濡雨露。好漢功成死戰爭，名遂眠墳墓。
詩魔把朱筆。帶酒評功數首級，擇好稱奇癖。
風人擅醉歌。詩客功名輕世路，利禄在山河。
愛慕情絲
詩詞
生査子・小女出世十天賦詞一首 千葉県 陳 興
夜深猶哭啼，妻抱懐中睡。未満月嬰児，却解飢時涙。
高楼夜語聞，数犬遥相吠。若夏有微涼，応在風中醉。
懐剪草坪 千葉県 冨樫貞華
去年與丈夫一起做了小庭園剪草。但是今年春日丈夫罹病，因爲今年我一個人做了剪草。雑草中有"捻花"，可憐的草。
五月晴天剪草時，夫聲優響亦吾知。得摸捻蕊紅紅白，也摘今年歩自遅。
長姉迎八十歳 東京都 石塚梨雲
人生八十數多年，回憶頻頻思入玄。四海安寧翠波静，書楼迎友煮茶烟。
太平時・夢中逢野狐 東京都 石倉鮟鱇
先賣藏書買酒樽，樂清貧。枕肱横臥醉醺醺，睡昏昏。
仍舊夢逢仙女笑，妖狐老。月中花底點朱唇，講青春。
浣溪沙・戀慕朱唇作詩客 東京都 石倉鮟鱇
月照光頭戀絳唇，酒流腸肚洗紅塵。醉来乘興作詩人。
空案情書求好句，獨傾玉盞醉酣春。曲肱堪枕夢昏昏。
霜天曉角・醉 夢 東京都 石倉鮟鱇
月照詩人，鼾眠留酒痕。夢裡胡蝶振翅，醉山氣、喜花春。
游魂，逢絳唇，天仙乘片雲。共渡鏡湖清浪，求錦字、避風塵。
醜奴子・早上公司 東京都 石倉鮟鱇
白頭朱臉傾金盞，對飲丹唇。酣醉游魂，比翼高翔穿火雲。
生涯如此耽空想，酒洗風塵。夢醒鷄群，早上公司就后勤。
短詩
灣俳・烟雲過眼 東京都 石倉鮟鱇
烟雲過眼，佳人一笑去青天。
煙雲の眼を過ぎるなり佳き人がひとたび笑ひ青天に去る
親朋純情
詩詞
長岡高校二十六同期会 神奈川県 山田鈍耕
水明山紫弄温泉，地震地崩花欲然。故友相逢懐往事，童顔白髪不期年。
留学生對我給做了結婚的報告 埼玉県 松本杏花
才貌桃夭是宿縁，聡明佳婚此開筵。仙顔相並長生殿，昌運一門豈偶然。
閑雅逸俗
詩詞
梅 雨 神奈川県 高橋子沖
五言絶句
一
細雨故山家，農村視界霞。鳩鳴心悶々，路白百合花。
二
陽花霞路傍，稲苗満田園。小院無人訪，沙羅落裏垣。
五言律詩
一
下雨冥冥裡，層雲北去涼。稲苗伸水地，柚果色山岡。
□蝶薫風至，蜻○畏日長。柴門無客訪，十里落斜陽。 □＝虫＋夾 ○＝虫＋延
二
暗冥霖雨止，田地見涼生。麦熟孤城靄，梅黄邸舎明。
草香帰鳥影，山黒乱蛙声。野水池萍動，茅亭万古情。
七言絶句
糸糸梅霖鬱陶心，小院青苔柳色深。室内陽台花享楽，無声老妻独閑吟。
七言律詩
郊村六月天空曇，
細雨糸如寂寞充。漠漠水田無長物，陰蔭夏木有清風。
梅黄麦熟平原表，
花落鳩啼山稜中。首夏不遠心気爽，池頭黙坐夕暉紅。
梅雨偶成 東京都 田村星舟
其 一
六月閒天地，村墟一徑通。應看烟雨裏，留客石榴紅。
其 二
霖雨無人訪，窗前簾不搖。麹生有眞味，獨醒世外逃。
其 三
昨夜絲絲雨，胡瓜肥菜園。難忘親母背，耕地犬鷄尊。
嘲老寿二首 千葉県 田 旭翠
其一
老年安得長老年，老病頻来衆目憐。秉燭夜遊人不識，懶情塵意酒家前。
（註） 李長吉詩曰 少年安得長少年，海波尚変為桑田。
其二
群蛙鼓吹已知安，彩蝶狂飛暫尽歓。結夢紅塵身未老，不妨亭午酔顔丹。
七絶・一聲幽鳥到窗前 東京都 石倉鮟鱇
百歳散人説夢話，一聲幽鳥到窗前。閑暇如此多風趣，老骨化蝶游下泉。
（注）禅林句集有句；一聲幽鳥到窗前
七絶・夏日即興 東京都 石倉鮟鱇
俯傾壺酒逃塵外，仰看月娥思地球。環境問題難解處，老殘無力只閑愁。
長相思・夏日寓懷 東京都 石倉鮟鱇
火雲衝，碧天空。人坐涼陰試一聲，求詩題草虫。
有野翁，依酒功。獨聳吟肩醉臉紅，竹林白髪鬆。
太平時・夏日寓懷 東京都 石倉鮟鱇
人坐涼陰喜午風，望蒼穹。火雲突兀繞中峰，緑層層。
回憶生涯無興趣，傷心緒。感懷成句作詩翁，髪鬆鬆。
風光好・夏日勝游 東京都 石倉鮟鱇
有風人，仰層雲。游目湖光伴醉魂，抱金樽。
緑陰山氣穿閑徑，通形勝。禿筆堪揮句有，景無塵。
一七令・雲 東京都 石倉鮟鱇
雲，
山涌，風奔，
如天女，曳羅裙。
秦樓緑酒，楚館朱唇，
老翁耽妄想，幽鳥入吟魂。
酒洗枯腸厭舊，聲飛高處憐新。
詩成蝶夢到霞洞，月照光頭對羽人。
一七令・杯 東京都 石倉鮟鱇
長肱堪枕昏昏睡，短日將沈赫赫埀。
眼底詩魔含笑，樽前花貌伸眉。
月下光頭醉，花間蝶夢飛。
別離有悔，再会生輝。
斷腸肚，濕心灰。
酒美，人悲，
杯。
憶王孫・求句十年 東京都 石倉鮟鱇
王孫到處樂酣春，俳句隨時促短吟。曳杖櫻林花似雲，伴吟魂，將競黄鶯驚鬼神。
［南呂］金字経・求句十年 東京都 石倉鮟鱇
月照光頭醉，酒濃鴻志衰。求句十年嘆短才。哀，傾壺坐冷齋，聽蛩雨，傷心難觝排。
酒泉子・醉 夢 東京都 石倉鮟鱇
月照金樽。白首醉誇朱臉，念嫦娥，傾酒盞，試詩魂。
夢蝶飄舞太平村。吟句不關聲病，擅光風，尋仙境，臥香雲。
訴衷情・無業游民 東京都 石倉鮟鱇
白頭曳杖入櫻雲，飲酒作詩人。滿目雪花飛處，鶯囀擅吟魂。
求錦字，醉青春，抱金樽。老耽空想，壟斷風流，將列游民。
愁倚闌令・關人飲酒 東京都 石倉鮟鱇
風拂面，月開輪，酒傷神。千里宦游無譽望，有關人。
只有靈泉邊境村，釀成美禄芳醇。暫競啼猿吟午夜，動梁塵。
烏夜啼・夢裡佳詩易忘 東京都 石倉鮟鱇
月落烏啼處，白頭厭舊憐新。擬唐案句磨香墨，揮筆到清晨。
醉夢醒來茅舎，凡才忘却詩魂。紅箋錦字歸灰燼，洗臉一閑人。
夏初臨・行 吟 東京都 石倉鮟鱇
雨洗塵懷，人求俳句，蝉聲清滲蒼巖。十里登高，幸逢山鬼嬋娟，巧沽季語新鮮。買層雲、盛涌衝天。隨風白髪，追涼緑蔭，走筆紅箋。
游魂探勝，信口舒情，風光堪賞，韻事足耽。西霞落日，東峰望月團團。曳杖歸途，見酒旗、野店非凡。野狐前、醉對花容，笑臉如仙。
雨中花慢・老骨有閑吟 東京都 石倉鮟鱇
鴻志千尋，官游萬里，光頭老到山村。恨大材小用，短處長存。偏愛古風高韻，幽棲草舎清貧。擅青灯黄巻，醉生夢死，夕雨朝雲。
酒錢猶剩，霞漿堪飲，良宵傾盞游魂。逢玉女、華妝碧黛，青眼朱唇。巧弄花言誑誘，樗散暫作詩人。月生靈感，喉無聲病，夢醒霜晨。
玉胡蝶慢・游魂四時 東京都 石倉鮟鱇
時世平成無恙，詩龍求句，酒虎傾樽。老骨歸山，聽取清韻頻頻。曉鷄鳴、田園靜穩，老鶯囀、櫻雪繽紛。有閑人，聳肩高唱，耽溺花春。
白雲，夏天突兀，碧湖埀釣，目下銀鱗。午睡涼陰，烏飛兎走到秋分。夢蝶舞、金風振翅，嫦娥醉，朱臉游魂。擅微醺，廣寒宮裡，冬月開輪。
十六字令・醉 夢 東京都 石倉鮟鱇
閑，醉骨魂游夢上天。泉涌酒，紅顏美尽歡。
倒讀
歡，尽美顏紅酒涌泉。天上夢，游魂骨醉閑。
十六字令・夏 東京都 石倉鮟鱇
雲，錦地風光使散人，揮詩筆，含靈掃世塵。
雷，震動江湖閃電飛。青娥抱，白首轉伸眉。
龍，却老學詩吐大風。驚檐馬，放吟依酒功。
蚊，恰似風中巻暗雲。唇槍鋭，口劍惱將軍。
星，堪賞烟花散縱横。人攜手，涼爽擅閑情。
灯，一穂清輝夜四更。人鼾睡，蠹虫吃聖經。
舟，湖上風涼月一鉤。得凡句，菲才心上秋。
短詩
曄歌・涼 三首 千葉県 高橋香雪
熱帯魚。水中蕩蕩，涼有余。
火雲収。映水煙花，消夏遊。
手中杯。楚楚碧花，為君開。
曄歌・四 首 東京都 田村星舟
聚飛蚊。日暮無風，暑如焚。
樹影間。涼風入袖，午自閑。
柳色漓。幽園緩歩，共論詩。
雨聲虚。牀上一燈，獨抄書。
俳句與曄歌 東京都 田村星舟
昼湯浴みして湯のゆたか蝉時雨
噪新蝉。午餘沐浴，心緒全。
酸漿が赤らむ風の過ぎるたび
一庭風。酸漿搖搖，愈添紅。
曄歌 五 首 東京都 石塚梨雲
火雲張。七月山居，入睡郷。
夕陽紅。散歩海村，感慨中。
月如盆。渺渺銀河，是夜雲。
白雲郷。忘暑危峰，快意長。
筆有神。悠々自走，擅天真。
灣俳・空 拳 東京都 石倉鮟鱇
莫嘆無金盞，空拳掬取酒泉甘。
嘆く莫れ金盞なくば空拳で掬い取るべし甘き酒泉は。
灣俳・臍 東京都 石倉鮟鱇
臍有言，生涯無一栓。 臍言うに生涯に栓なしと
（何もせずにただ腹にある臍である）
漢俳・借禅林句集之句作五首 東京都 石倉鮟鱇
酒醒游仙枕。一段風光畫不成，雲影將歸盡。
白頭落酒觴。悟得春色無高下，花枝自短長。
四時山氣清。日照春来游寺客，花落閉門僧。
詩人飛酒觴。一聲霹靂驚天地，朗唱巻風霜。
老骨多休暇。一聲幽鳥到窗前，閑人説夢話。
（注）太字；禅林句集から句を借りている
漢俳・消夏閑居 東京都 石倉鮟鱇
山居一散人。亭午消閑竹影隣，避暑淨無塵。
山居涼可親。林下清陰隔世塵，蝉聲不足珍。
朱夏汗如漿。午來避暑寄山莊，消閑入睡郷。
白日水中央。人坐池亭傾一觴，可愛藕花香。
一雨午風輕。山莊消遣和蝉聲，涼台詩思清。
山莊忘宦情。北窗一枕午風輕，盡日只蝉聲。
山人高枕眠。風鈴幽趣似琴絃，無夏避塵縁。
鳴鴻渡海
詩詞
七言絶句・無題 吉林省伊通満州族自治縣 劉萍 先生
門前垂柳蕩清風，不覚離愁暗恨生。月上柳梢別幾日，時常夢裡又相逢。
巳丑春日謝中山栄造先生 湖南省安化縣 廖巨源 先生
東來紫気擁西楼，寄語殷殷徳藝優。屡讀《梨雲》増勝慨，識荊無計也風流。
詞 浙江省海鹽縣 王留芳 先生
紀念沈祖○先生百年誕辰用心培兄韵 ○；芬＋木
梅萼氷痕，雲根雨脚，百年幾困風煙。辟墨排楊，吟懐大義微言。霊均李杜韋周業，伴小山、韵自心煎。易安詞、沈鬱頗輸，餘矩同源。
浪波承涙波曽漲，洽、江河不廢，古粋今連。危苦其間，非惟紆抑煩寃。従来洙泗弦歌地，對星霜、固本行端。渉江才、啓鑰抽關，垂後光前。
大聖楽
戌子季春辛丑讀光明日報《捐腎出一箇大愛・漢族女孩王燕○（女＋那）無償給雄吾爾族男孩捐腎的故事》熱涙難禁，以今四聲記之
惻隠天然，吐語平常；我想救也。正、病危夕旦，誰分親故：男孩小也，生命同呀。阿父支持，良医兼濟，少艾無償捐腎嘉。慈雲下，把、腹心之愛，日夜昇華。
堪誇，姐弟風發，五十六民族是一家。願、天山不老，大河永進；崇賢昭善，蕩穢祓瑕。左右和光，民胞物與，綻放人心盡錦葩。聴窗外，有、幾聲雨脚，礙否庭花。
詩
湖南省 唐湘麟 先生
悼潭千秋烈士
鐵臂如山擁幼雛，愕天一震彩雲鋪。胸懐大愛垂青史，巴蜀揚名偉丈夫！
賀姪女潔潔新婚大喜
金盞銀盤細細風，芙蓉小院夜深沈。呉郎瀟洒尋芳径，潔女飄揺下月宮。
碧海有情雲作証，玉楼何幸風偕龍。瑶臺今日春潮涌，喜慶花開奪目紅。
紀念"知識青年上山下郷四十周年"回茶陵嚴塘
○水歓騰米酒香，牛筋青菜活家常。 ○；mi3 湖南省の地名
嚴塘四十年間事，執手相看鬢已霜。
詩 湖南省 關 一 先生
冷水参天
古木含烟入眼幽，傍崖一片緑油油。蝶撩林海瓊花浪，樹淋驕陽嵐気収。
壮干撃天排偉岸，濃隠覆地數風流。只縁建造質堅靱，走似経銷亜美欧。
蟠龍含宝
不居雷域不潜津，巨蟄環村遠俗塵。昴首千年含瑰宝，拂雲萬里拍天鈞。
點晴静待劉郎筆，隔岸長観黄嶺春。神物霊奇蟠嶺木，隴西枝干葉蓁蓁。
雄獅咆哮
生就○猊気勢雄，吼聲時作震長空。 ○；犬＋夋衍
綣躯永抱千秋月，○嘴常噴萬丈虹。 ○；口＋列
海内傳情迎暁日，渓東得韵舞春風。経天五彩祥雲繞，仁里融融世代隆。
駿馬奔騰
龍文虎背四蹄開，駿驥疑從塞北來。自有雄心酬伯楽，何辞剛鬣慰徐臺。
明霞萬縷晴川托，好雨千絲霽色催。塋地鐘霊欣作穴，孫枝繁衍盡英才。
長虹飲澗
蘆花飛絮入詩箋，弄影江風水底燃。弦月出雲横緑渚，長虹飲澗臥青烟。
千車馳過千山笑，九径交通九地連。楚楚才人頻亮彩，同心奔向小康天。
夾水観洪
双洪滾滾匯成蛟，呑吐冥淵唱大韶。拍岸愕濤抛玉遠，沖天白鶴夾渓高。
幾回北水連南水，一望前嶢引后嶢。最是奇観旋砥柱，扶揺直上九重霄。
筆架文峰
凌空筆架沐朝陽，七采雲箋鋪地芳。藝案層層皆○麗，文峰座座倶堂皇。
毛錐脱穎生花夢，翰墨添香綉口章。爲有名山陶雅士，風流天下世○長。
○；靑＋見。○；示＋兆。
家園虎踞
從風出谷認斑奴，蹲踞村頭旭日初。気震山河身影剪，聲同霹靂目光殊。
駆他瘴霧人頤壽，佑我家園地献珠。代代相承鐘毓秀，文韜武略展宏圖。
飛山畳翠
畳畳雲山看不休，林濤掠燕暁風柔。松邀翠竹紅飛樹，石嗽清泉碧蕩秋。
山不老，水常流，留痕鴻爪字銀鉤。梅魂歩月芳亭上，遠矚高瞻展壮献。
念奴嬌・荷花 湖南省 碧玉簫 先生
紅情緑意，歩凌波、占盡湖中風月。芍薬牡丹都謝了。只許湘蓮嬌絶。粉臉含顰，銀珠惹恨，萬種柔腸別。鴎盟難諦，断魂流水空闊。
夢醒西子湖邉，雨収雲斂，天與花相貼。葉底鴛鴦成對浴，消去許多煩熱。照影滄浪，相思舊約輾轉愁千結。霓裳新譜，美人狂舞如蝶。
詩 湖南省 李煥黄 先生
贊湘郷東山学校（一）
昔日東山小学堂，而今寫出大文章。開來継往程無限，示范高中美誉揚。
（二）
東山精舎育精英，華夏豐碑鑄美名。代代新人承子任，八方桃李頌園丁。
贈劉偉庚校長
對 聯
偉力來源于群衆；
庚星耀彩在長空。
七言絶句
偉業扎根大衆中，庚輝燦燦耀星空。人居黙黙無聲處，杰出心裁総向東。
五律・秋景 貴州省 萬裕屏 先生
四季炎寒易，枯栄造化功。落葉乗風舞，征鴻破霧飛。
涸塘○○痩，沃壌菊花肥。莫道春光美，金秋景亦瑰。
○；函＋艸：○；艸＋臼
五律・秋色
東方升赤日，萬類染金風。擧目観山彩，埋頭賞葉紅。
褐坪鳴舞鼓，赭寺響祈鐘。菊桂相争艶，秋翁笑靨○。 ○；丹＋彡
五律・秋風（舊聲韵）
軽払難聞響，去来無影踪。翩翩飛落葉，苒苒舞飄蓬。
伴我辞三厦，陪君迎九冬。清涼双節至，萬戸楽融融。
短詩
偲歌 五 首 四川省 江渭川 先生
徐福東渡，植根沃土。聯枝并蔕，融水乳。
漢贈金印，福岡出土。邦交源遠，傳千古。
卑弥呼王，遣使洛陽。銅鏡百面，贈女王。
鑑真晃衡，浮○東海。佛學雕塑，傳不懈。 ○；木＋孚
聖徳太子，革新圖治。小野妹子，"遣隋使"。
瀛歌 四 首 四川省 江渭川 先生
裴世清，隋遣使節。廣交流，吉備真備，称英傑。
《行歴紀》，平安"三筆"。工書法，空海園通，文輝燦燦。
朱学顕，陽明突起。朱舜水，埋骨東瀛，"尊皇攘夷"。
《山海経》，瑰麗奇神。解迷津，伊藤清司，入蜀求眞。
聯・玉屏縣○郷風雨橋廊 貴州省 趙西林 先生
○；人＋同
一
此水常聞簫笛弄；斯橋僅演鳳凰縁。
二
風遨雨約情初定；水引橋連愛久長。
三
游龍逢彩鳳，風情萬種；激浪別花橋，慨嘆千端。
聯 貴州省 黄潤蓬 先生
旅游景観
錦綉神州，山水多姿呈異彩；
文明華夏，園林秀麗顕婀娜。
游百花湖
簇列幾孫，座座峰巒収眼底；
○翔鶴鷺，行行詩句涌心頭。
贊林城
青史千年，湖山涵甲秀；
雲霞萬里，洞壑隠麒麟。
山村即景
風吹陣陣，山間萬樹婆裟舞；
鶯唱聲聲，河谷千渓珠玉弾。
天星橋
洞鎖烟霞，危峰神育仙人掌；
谷鳴瀑布，峭壁天生美女榕。
默霊古松
雨露飽経，濤声霍霍龍盤踞；
風霜久浸，鱗甲層層蟻轉旋。
林城美
甲秀楼頭，南河細泛鱗鱗浪；
翠微園外，嫩柳軽揺淡淡風。
漢詩詞創作講座 詩詞の定型
中山 逍雀
漢詩詞作品には定型と非定型と有る。非定型には口語詩・自由詩が有る。半定型には古詩が有る。定型には律絶と填詞がある。詩詞ではないが、曲がある。聯には定型と半定型がある。
作品は作者の詩想が主体である。詩想は千差万別有る。詩想を容れる既製品の器が定型である。既製で収まらない場合は自分で作ればよい。自作の詩型を用いたからと謂って、世間から非難されることはない。作品の評価はあくまで作品の巧拙である。
然し現実には、既製の器、即ち定型の数は、既に有るものでも百余にも及ぶから、定型の選択に困ることは殆ど無い。
漢詩作品には見た目の大きさと、情報量の多少の、二つの要件がある。定型選択要件の殆どは、収容情報量の多少に依る。少しの情報量ならば、曄歌や漢俳や小令が選ばれ、情報量が多ければ、古詩や長調が選ばれ、中位ならば、短詩や中調が選ばれる。
心の襞のような小さな事を詠いたかったら曄歌や漢俳が良かろう。小さいことを観念的に詠いたかったら五言絶句や五言律詩が良かろう。堅い中にも情緒を容れたかったら七言絶句や七言律詩が良かろう。
人情味を詠いたかったら填詞が良かろう。気の利いた、すっきりとした事を述べたかったら、楹聯が良かろう。
ポンと机を叩くような面白いことを言いたかったら、羊角對も良かろう。律蒙對韵や笠翁對韵も良かろう。
以下は一般に謂われている詩詞定型の一部を提示したが、此が全部ではない。詞の定型は二千余有ると謂われているが、詩詞壇誌に屡々登場する詞は概ね100定型（押韵律體符号・俗称詞譜）ある。このほかに楽曲として戯曲や散曲がある。なお漢詩詞講座で解説されている定型は、このほかにも講を異にして沢山掲載されているので、定型の一部と理解されたい。
１-韵と平仄 ２-曄歌 ３-坤歌 ４-偲歌 ５-瀛歌 ６-漢俳
７-承轉合 ８-句の構成 ９-五言絶句 10-漢歌 11-六言絶句
12-填詞慶宣和 13-楹聯 14-填詞章臺柳 15-填詞三臺令
16-填詞江南春 17-填詞南歌子 18-律詩 19-五言律詩 20-五言排律
21-五古一韵 22-五古換韵 23-七言絶句 24-填詞歸字謡 25-七言律詩
26-七古一韵 27-七古換韵 28-填詞望海潮 29-填詞沁園春
30-填詞八聲甘州 31-填詞桂枝香 32-填詞解連環 33句數字数
34-自由漢詩詞 35-賦 36-律絶古絶 37-五七律 38-填詞竹枝
39-漢詩の奇句詩 40-笠翁對韵 41-羊角對 42-十六字令 43-元曲
44-元曲曲名
収容情報量によって詩の定型を分ければ、超短詩として曄歌から十九字までを謂い、五言絶句から五十六字の七言律詩までを短詩と謂う。五十七字以上を長詩と謂う。詩の最小は曄歌の十字、最大は楚辞に於ける「離騒」や「天問」などは三百七十五句がある。
同様に填詞は一闕五十八字以内を小令と謂い、九十字までを中調と謂い、九十一字以上を長調と謂う。填詞の最小は竹枝の十四字で最大は鶯啼序の二百四十字がある。
對聯の殆どは無定型であるが、定型として羊角對があり、清代李魚著に律蒙對韵と笠翁對韵の記載がある。
日本でも中国でも、律詩は平韵の定型だけである。ただ絶句の場合は、日本では平韵の定型だけだが、漢民族では五言も七言も、平韵の定型と仄韵の定型がある。
排律とは、律詩の八句より句数の多い定型で、五言排律は、日中共に定型として謂われ、作品もある。七言排律は、日本では、定型は無いと謂われ、作品は見かけない。然し中国の詩壇では、定型としても存在し作品もある。
超短詩は一寸した極めて小さい詩想には用足りるが、もう少し大きな、例えば友情とか兄弟愛とかでは、情報の収容能力が足りない。
絶句と律詩は短詩で、定型としては情報収容能力の少ない方だから、簡単な景物描写や、友情や兄弟愛の表面描写が限度である。
社会などを詠いたかったら、短詩ではとても用が足りない。絶句や律詩で社会を詠っている作品は見かけるが、表向き社会を詠っているが、中身の粗雑さが目立つ作品しか作れない。
友情や兄弟愛、夫婦や家族など、簡単に見える作品でも、中身の充実した作品を作るには、短詩では対応できない。
詞に比べて詩そのものが幾分硬派であるが、句の文字数にも硬軟の特徴がある。五言以下は硬調で、以上は軟調である。
六句構成の三韵詩が有る。一二五六句は散句で、三四句が對仗である。六句三意三章構成である。この三韵詩を、硬調五言句と軟調七言句の特徴を、巧く組み合わせた、三聯五七律と謂う定型がある。
三聯五七律は絶句と律詩の混合で、對仗を散句に夾み、而も五言句と七言句の組み合わせて、硬軟を巧く配合している。短詩を作る者にとっては利用価値の高い定型である。
而も、三四句だけは對仗を為す事の規定だけで、五言句と七言句の組み合わせは自由で、硬くも軟らかくも出来る使いやすい定型である。
多様な情報を収容する作品を作るには、句数の制限がない排律や古詩が適している。古詩は五言、七言、五七混用と様々の作品がある。
殆どの詩は出句と落句の二句一意一章構成であるが、一句一意一章、或いは三句一意一章の構成もある。而してこの様な句の構成では、全体として奇数句の作品となる。
唐詩選では杜甫の"落日洛城謁玄元皇帝廟"「豪韵」が五言排律で２８句の作品がある。白居易作琵琶行七言八十八句がある。
七言古詩では白楽天が詠む"長恨歌"は１２０句で、楚辞離騒は３７５句
が有り、非定型或いは半定型ならば文字数に制限はない。
また押韵の方法に、作品全部を一つの韵で統一する、一韵到底格と、内容毎に韵を平韵仄韵と交互に変更する、換韵格がある。
短詩の定型に絶句と律詩があり、五言句と七言句がある。律詩と絶句は押韵と平仄が厳しく言われている。
日本での説は、七言句の初句は、○○●●●○◎ と句末押韵と謂われ、五言句の初句は、●●○○● と句末無押韵と言われている。
中国での説は、七言句の初句は、○○●●●○◎ と句末押韵と謂われ、日本の説と同じだが、五言句の初句も、●●●○◎ と七言と同じく句末押韵と言われている。
中国での説は、新体古体に拘わらず五言でも七言でも、初句押韵は原則である。ただ五言初句に押韵が為されないのは、無押韵の作品が多いと言うだけで、定型としては無押韵ではない。単なる作品の傾向と言うべきである。
○○●●●○◎，●●○○●●◎。
●●○○○●●，○○●●●○◎。
此は平起式七言絶句の平仄配置図で有る。
第一句が平から始まるので平起式という。
●●●○◎，○○●●◎。
○○○●●，●●●○◎。
此は平起式五言絶句の平仄配置図である。
第一句が仄から始まるのに平起式という。
漢詩は大から小、多から少へと派生推移してきた歴史があり、この事は、五言絶句が七言絶句から派生した定型であることを証拠付ける残渣である。
詞に十六字令が有る。この押韵律體符号は
◎韵 ▲●○○逗 ●●◎韵
○●●句 ▲●逗 ●○◎韵
で有る。此を七言絶句の平仄配置図と比べると、文字が減っただけで殆ど同じである。この事この詞が偸聲と云われる所以でもある。なおこの他にも、詩と似通った定型は、深院月など、捜せば多数有る。
詩には詩の得意とする詩想が有り、詞には詞の得意とする詞想がある。詩は如何に句数を多くしても、硬派で有ることには変わりがない。情緒的に作ろうとしても自ずから限度がある。
詞は填詞と言われるとおり、既に元歌が有って、元歌に擬えて文字を填めた作品であり、所謂填詞である。もともと歌唱から派生した文化であるから、情緒的な作品が多いのは当然である。
情緒的な思いがあったら、填詞を選ぶのが理に適っている。詞は詩とは比較にならぬほどのパターンが有って、全部合わせれば二千余有ると言われているが、詩詞壇誌に掲載される定型は概ね百定型である。
詞の定型名称を押韵律體符号と言い、俗称では詞譜と言われている。詞は詞想の受け入れ幅が広いので、対応できない詞想は殆ど無いと言っても過言ではない。
このほかに楽曲として元曲が謂われ、元曲には戯曲と散曲が有る。元曲とは蒙古族占領下の漢民族の曲で、口語を主体とする。元曲は楽曲のｸﾞﾙｰﾌﾟで詩詞とは趣を異にする。ただ漢俳は、口語詩の愛好者も古典詩の愛好者も、何れも創作する定型である。
詩には口語詩と古典詩がある。口語詩と古典詩とでは、活動する詩壇を異にしていて、両方を嗜む人は少ない。此処で言う無定型とは、古典詩の自由詩である。詩法や句法は古典詩とほぼ同じである。大きな違いは句の大きさと句の配置だけである。
詩詞の定型は、固定的な物事ではない。消滅する定型もあれば誕生する定型もある。変化する定型もある。定型が生き残れるか消滅するかは、民衆に受け入れられるか、受け入れられないかの何れかに由る。
填詞の定型が二千余体有ると言われていても、現在通用しているのは、百余りである。其の余は押韵律體符号だけが残るものから、名称だけが残るものまである。
詩の定格も同じ様な情況である。学習の途次、中国の国文学専門家から、幾つかの定型名称は聞いたが、既に其の残渣さえも無いものが多々あった。
定型の誕生も希なことではない。ただ誕生しても、民衆の期待に適って成長出来るものは少ない。
（7月号補追 聲調の要素）
天 t i a n -（陰平）
聲母 韵頭 韵腹 韵尾 聲調
平成２１年９月號
閑雅逸俗
詩詞
小烟舗 古体 千葉県 髙橋香雪
蒼蒼碧葉緑陰遮，夏深高樹蝉語嘩。老婆繁忙憐白髪，丈夫曳杖頼医家。
吸烟終日貧士楽，到友閑談濃椀茶。閉戸横臥燈影淡，小酌何幸惜年華。
七律・看館山蛍火 埼玉県 秋葉暁風
雨去風無辱暑張，蛙声鳴止發蛍光。飛燈点点千千耿，舞態漂漂萬萬競。
吾傷雪窗明仄仄，君懐登路照昌昌。夏中風土資生物，一泊他郷楽夜涼。
七絶・看蛍火 埼玉県 秋葉暁風
"館山"初夏水田郷，点点飛燈萬千競。誰解青春歸一夢，呼呼感動二三光。
七絶・回遊秘湯 神奈川県 山田鈍耕
回遊秘湯緑渓中，温泉点在曲径終。痩身入浴圓月下，相慶喜寿興無窮。
七絶・夕暮聽蝉 東京都 田村星舟
白雨沛然驅暑行，天晴迎夕一蝉鳴。惜生十日孜孜唱，怠惰如箴君有情。
七絶・"金谷港"晩景
東京都 田村星舟
水天合處夕陽紅，離岸航行領好風。回首東山新月白，不圖佳景惹吟眸。
五絶・夏日偶題 埼玉県 塚越杉水
一
祝融呼白雨，動地払紅塵。傷別独呑酒，醒来坐憶人。
二
蝉鳴秋七月，昼永響丁東。何故懐竹馬？奔雷雨後虹。
五絶・囲 棋 埼玉県 芋川冬扇
広海生棋子，深林産木盤。雁行開黒白，一局似邯鄲。
憶江南・"茶 道" 埼玉県 松本杏花
茶道好，精神萬世傳。客人喝茶席正坐，心頭滅却気如仙。粗壁断塵縁。
五絶・閑中好 東京都 石倉鮟鱇
閑中枕肱好，峰頂碧雲長。緑蔭秋蝉乱，黄昏山氣涼。
七絶・東張西望 東京都 石倉鮟鱇
詩客東張迷大海，俳人西望上高山。風流到處損人命，韻事臨機亦應天。
七絶・挨餓受寒 東京都 石倉鮟鱇
散士無功老官署，晩節有意作俳人。餐霞挨餓游佳勝，飲露受寒擅高吟。
七律・錦心綉口 東京都 石倉鮟鱇
詩魔侑酒誘桃源，人借朱顔如老猿。鳳髓龍肝満蝉腹，錦心綉口擅花言。
共乘酣興求風韵，競聳吟肩立草原。氣冷清晨香夢醒，金秋露宿在荒園。
十六字令・雷 東京都 石倉鮟鱇
雷，洗尽涼臺驟雨飛。人浮想，靈液滿空杯。
凭闌人・耽風流韻事 東京都 石倉鮟鱇
白首花間抱酒樽，朱臉月中交鬼魂。青春清晝醺，金秋良夜吟。
一点春・悲 秋 東京都 石倉鮟鱇
閨怨三杯酒，花容一點春。金秋切切聞蛩雨，霜髪斑斑似鬼魂。
［南呂］罵玉郎・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
白頭弄月佯濳隱，傾盞擅吟魂。詩魔陪酒教清韵，使散人，驚鬼神，排愁悶。
［中呂］迎仙客・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
見夕陽，照詩人，揮筆金秋題大椿。想寒蝉，戀彩雲，半夢游魂，知雪埋悲憤。
［仙呂］鵲踏枝・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
月光侵，晩蛩吟，老骨傾杯，秋夜傷心。磨香墨、題詩有恨，嘆菲才、枕肘游魂。
江月晃重山・繆斯酬拙句 東京都 石倉鮟鱇
月照光頭傾盞，風拂醉臉游魂。幽庭蛩雨洗塵心，乘酣興，有意作愁人。
麗藻沈詩任筆，鴻才厭舊憐新。繆斯陪我巧彈琴，酬拙句，朗朗蕩朱唇。
芳草渡・春吟秋死 東京都 石倉鮟鱇
朝寒雨，夕歸雲，花破蕾，月開輪。白頭裁賦擅酣春，乘風趣，無聲病，喜清貧。 山堪隱，肱耐枕，夢裡抱壺沈飲。逢青女，蕩朱唇，論神品，排愁悶，誘秋墳。
短詩
曄歌・五 首 埼玉県 松本杏花
夕陽収。涼風吹袂，迫人幽。
月如鉤。梧桐露滴，故郷愁。
流白雲。柿熟蟲鳴，倍思君。
幾朝昏。盂蘭盆会，亦來孫。
曝炎陽。選挙遊説，盡虎狼。
曄歌・二 首 埼玉県 秋葉暁風
金気清。新蛩鳴響，意自如。
白夜月，満満笑微，我影射。
曄歌・四 首 東京都 田村星舟
霖雨斜。交配未進，散稻花。
兩袖風。幽鳥呼人，竹樹叢。
懷舊吟。疎星孤月，秋夜深。
有誰知。深夜月光，占淸池。
俳句與曄歌 東京都 田村星舟
樹木みな息とめてをり炎天下
烈日下，萬樹森閑。深綠園。
あかあかやあした畑に蕃茄もぐ
風靜晨。熟透蕃茄，穫菜園。
漢俳・一 首 埼玉県 塚越杉水
新涼をここぞとばかり奪う犬
新秋朝夕涼 狗子此時只気昂 白天復臥床
漢俳・德薄才疏 東京都 石倉鮟鱇
白頭賣韵書。認識德薄擱詩筆，才疏作酒徒。
漢俳・新秋即事 東京都 石倉鮟鱇
書窗月一鉤。涼動西郊先入秋，詩味漫牽愁。
涼動入新秋。殘蝉盡日漫牽愁，西郊月一鉤。
涼動午風清。晴空一碧日西傾，籬落草虫鳴。
人坐夜窗幽。碧天如水月如鉤，涼生心上秋。
幽窗情緒牽。殘蝉鳴罷夜蒼然，有味月明天。
騷客酒相酬。明鏡一輪千里秋，揮筆古風流。
騷客月前樓。清光千里夜悠悠，詩魂翰墨遊。
幽亭月色流。人坐清光詩酒遊，迎朋回醉眸。
氷鏡照詩愁。風物何堪志未酬，蛩雨正中秋。
切切乱蛩音。人坐三更惜寸陰，詩思去来今。
日暮客愁深。虫聲切切夜沈沈，明窗月影臨。
四壁亂蛩音。痩骨逢秋獨苦吟，懷友坐更深。
(注) 以上，呂山太刀掛重男著『誰にでもできる漢詩の作り方』
の詩語による（P72～p84）
親朋純情
詩詞
七絶・題旧制高校寮歌宴 千葉県 今田莵庵
弊衣破帽叫如何？打鼓振旗躍影多。老耄酔尽一碗夢，依依継息是寮歌。
七律・隔了両年拝訪國學院大學北海道短期大学部（在滝川市）
埼玉県 塚越杉水
迎来建校廿七年，盛夏"道央"爽碧天。物換南流石狩水，星移西向空知川。
食堂学徒話清縁，教舎老師講秀篇。旧友為吾開佳宴，傷春高論酔中眠。
七絶・祝"天頂"発刊十周年
埼玉県 塚越杉水
秀吟燦々百余篇，祝賀発刊已十年。両地論交鴻儒士，日中俳句頂蒼天。
七絶・斟酒重温舊交 東京都 田村星舟
滿山翠色隔黄塵，池畔叢中蛙鼓頻。契濶友朋同白髪，晩來斟酒一堂親。
短詩
灣俳・東征西怨 東京都 石倉鮟鱇
酒虎東征久，詩龍西怨無紅友。
社会生活・時事風刺
詩詞
八月七日我自賀八十歳誕生日。此月曾被爆原子弾，
六日于廣島，九日于長崎。 千葉県 今田莵庵
蝉声呷暑入秋慳，八十馬齢曝汗顔。曾撃双都原子弾，何迎誕日両憂間。
五絶・照片 長崎浦上天主堂 埼玉県 芋川冬扇
転瞬高堂上，大火白亜焼。廃墟鱗砌裏，遊戯少年跳。
七律・喜報到茅庵 東京都 石倉鮟鱇
愚生戰後六十年，好久無功選擧權！老將逸言輕歴史，大臣酒癖似瘋癲。
耕牛汗馬嘗塗炭，政鼠財狐擅庫錢。何不干杯與君醉，今宵喜報欲移山。
七絶・挨罵受罰 東京都 石倉鮟鱇
散官有意到邊城，師事詩魔飛鳳聲。挨罵受罰折短筆，歸山愛酒擅長生。
七絶・春蚓秋蛇 東京都 石倉鮟鱇
春蚓四行難解讀，秋蛇一首有蛇足。七絶癈話連篇處，妻子作俳題酒毒。
七絶・東走西撞 東京都 石倉鮟鱇
酒龍東走揮詩筆，詩虎西撞倒酒樽。世上哀鴻翕翼處，迂儒信口講花春。
七絶・東觀西望 東京都 石倉鮟鱇
塞北鳳雛張翼天，東觀西望此圖南。精勤官府求功譽，白髪鬆鬆歸故山。
七絶・東零西落 東京都 石倉鮟鱇
賈客東零到滄海，詩徒西落抱金樽。白頭如此感秋處，妻子無言打庫蚊。
七絶・東遷西徙 東京都 石倉鮟鱇
酒客東遷傾緑酒，詩徒西徙作金鷄。月中花底啄香餌，夢醒寒齋拂曉啼。
短詩
偲歌・后人乘凉 東京都 石倉鮟鱇
前人植樹，后人乘凉。良賈愚孫擅酒觴。
灣俳・人才出衆凉 東京都 石倉鮟鱇
人才出衆，殉義碑文重丘冢。
灣俳・人才濟濟凉 東京都 石倉鮟鱇
人才濟濟，百家俳句紛條理。
灣俳・秀才造反 三首 東京都 石倉鮟鱇
秀才造反，下野清貧忍蔬飯。
秀才造反，在野高説買噴飯。
秀才造反，老買詩書作瘋漢。
愛慕情絲
詩詞
七絶・"金婚式" 神奈川県 山田鈍耕
颱風急襲伊勢淵，新婚行路乱雑天。糟糠之妻双棲好，相憐一夢五十年。
七絶・金秋春夢 東京都 石倉鮟鱇
牛頭羅漢入孀閨，暗撫乳房高聳悲。月照氷膚喜蛇蛻，跨馬搖腰去忘歸。
七律・世態炎涼 東京都 石倉鮟鱇
隱棲十載飽清貧，酒店仙遊挂帳頻。世態炎涼催感慨，錢包輕重損詩人。
花容白眼嫌窮老，月下紅箋無口唇。醉歩蹣跚往家走，胯間禿筆帶餘温。
七律・秋 東京都 石倉鮟鱇
月照光頭帶酒醇，枕肱瞑目且游魂。夢中磨墨如青黛，筆下生花搖絳唇。
巧弄甘言誑老骨，哀吟苦海害精神。詩魔憐憫彈琴處，多少華辞佯守眞。
竹枝・杯 東京都 石倉鮟鱇
人逢山鬼（竹枝）賣花杯（女児），誰對花容（竹枝）不忘歸（女児）。
十六字令・杯 東京都 石倉鮟鱇
杯，堪飲花容展柳眉。白頭醉，夢裡對星妃。
十六字令・歸 雲 東京都 石倉鮟鱇
雲，堪仰峰巓帶雨痕。懷巫女，昨夢舞紅裙。
回波樂・對飲與嫦娥 東京都 石倉鮟鱇
閑人夢中抱樽，悲秋醉境游魂。嫦娥廣寒宮裡，含笑侑酒芳醇。
西江月・秋天春夢 東京都 石倉鮟鱇
月照白頭飲酒，風拂朱臉游魂。廣寒宮裡抱金樽，孀婦能排愁悶？
蝶夢高飛碧落，老殘笑對朱唇。花言妖蠱講青春，何不雲牀共枕？
少年游・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
青天銀兎，黄昏緑酒，白首抱金樽。詩魔有意，花容献媚，纖手撫瑤琴。
仙娥暮夜斟丹液，霞洞舞紅裙。晨鷄破夢鳴何處？醒香夢、掃餘醺。
南郷子・心上秋 東京都 石倉鮟鱇
蛩雨繞幽魂，白首金秋抱酒樽。回憶生涯無譽聞，醺醺，仰看嫦娥照艾人。
山隱間塵心，醉枕詩書試口吟。天遣睡魔生好夢，昏昏，泉下荊妻誘討春。
折桂令・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
月荒涼，壺酒芳醇。天下金秋，眼底朱唇。巧弄花言，濃塗緑黛，誑我吟魂。
詩魔笑，霞漿解悶。醉陽台，香夢酣春。游目櫻雲，得句飛聲，厭舊憐新。
夏雲峰・夏天故事 東京都 石倉鮟鱇
見火雲，衝天宇，青娥緊握紅裙。雷帝喘鳴峰頂，電閃千尋。落杯驚愕，白首抱，玉女銷魂。急雨洗、涼陰午睡，破夢傾盆。
正如脱兎穿林，到祠堂、暫時逃難安心。眼底牛頭木像，靜黙山根。坐禪瞑目，排妄念、觀想全眞。得一句、揮毫壁上，厭舊憐新。
［双調］七弟兄・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
散人，抱樽，坐黄昏，歡迎天女將酣飲。嫦娥清照促吟唇，詩魔私下教風韵。
［越調］天淨沙・秋 愁 東京都 石倉鮟鱇
白頭回憶青春，朱顏笑抱金樽。翠黛愁傷紫槿，醉得排悶，紅裙舞蹈黄昏。
［正宮］脱布衫・秋 吟 東京都 石倉鮟鱇
有青娥、巧點朱唇，誘白頭、醉抱金樽。伴詩魔、愁人浩飲，向墓穴、髑髏歩韵。
短詩
偲歌・郎才女貌 東京都 石倉鮟鱇
郎才白面，女貌朱唇。花間携手擅青春。
偲歌・淑質英才 東京都 石倉鮟鱇
鳳雛淑質，麟子英才。共耽韻事不生財。
偲歌・隱姓埋名 東京都 石倉鮟鱇
花街隱姓，柳巷埋名，東奔西走擅風情。
漢俳・魂飛魄越 東京都 石倉鮟鱇
毒婦醉舒服。酒客魂飛緊錢袋，魄越化蝙蝠。
灣俳・愛才如命 東京都 石倉鮟鱇
彩鳳出家，愛才如命附黑鴉。
七言俳句・彩鳳隨鴉 東京都 石倉鮟鱇
彩鳳隨鴉割大麻。 彩鳳が鴉とともに刈る大麻
寓意偶題
詩詞
七絶・法師蝉 新韻十一庚 神奈川県 萩原艸禾
林間覗蔭十年童, 樹上振身一寸僧。羅網転旋先已罷,
這哥這個法師声。
七絶・詠物 牽牛花 埼玉県 松本杏花
籬落薄紅易感秋，颯然風起洗昏眸。日日纏繞兩三蔓，爽気玲瓏如蝶游。
七絶・驚朝蝉啼 千葉県 今田莵庵
脱殻朝蝉呈一声，地中七歳怨心盛。高楼林立驚欺世，再見如何次代睛。
短詩
曄歌・蟲 三題 千葉県 髙橋香雪
蟻王妃。天空交尾，一度飛。
蜜蜂飛。一妻多夫，恋芳菲。
噪残蝉。短命哀憐，是宿縁。
漢俳・立石寺伽藍門前的松尾芭蕉石像 埼玉県 松本杏花
峰嶮白雲懸。緬想聴蝉詠俳句，俳聖正似仙。
山川覽勝
詩詞
七絶・花時懐総州山武郡長光寺 千葉県 今田莵庵
櫻樹越牆垂朶誇，門前行客謝嘆嗟。夭秧曾得長光寺，回首閑庭満地葩。
七絶・旧鮮魚街道 千葉県 今田莵庵
二百年前的"江戸"，百万人口是世界最大的城市。順利供給生鮮食品的事，是要緊地事情。被"銚子漁港"卸貨的魚，立刻遡"利根川"，這次，被"布佐岸"卸貨的，更加用馬通過"鮮魚街道"被"江戸日本橋"送了。我住的"常磐平"，現在也這箇舊地道路存在，與汽車道路成。
江都鱗介可如何，徹夜急搬難事多。瞑目忽聞人馬噪，一声驚我杜鵑過。
七絶・在"鹿野山"頂望"九十九谷" 埼玉県 秋葉暁風
杉林五彩勝千章，九十九渓不壇場。多感誰憐才学薄，晴嵐緑緑簡編香。
七絶・遊覧中国□州市世界遺産"土楼群" 埼玉県 松本杏花 □＝さんずい＋章
其 一
夏深奇峰白雲生，山麓蒼蒼有野情。歳月悠悠天下勝，方圓楼塔半窗明。
其 二
爺爺酌酒笑斯生，煎茶婆婆一寸誠。代代連綿人若問，雲流何処老鶯鳴。
連続江戸名所 古詩新韵 東京都 池田耕堂
富岡八幡宮 （江東区富岡）
門前肆店毎繁昌，辰巳"佳人"意気揚。濃緑瑤林情致好，真紅社殿興懐長。
横綱碑石稀天下，鎮守神輿冠十方。祭礼巡行真盛況，高名水挂極軒昂。
深川不動尊 （江東区富岡）
岩頭童子賞心傾，緑屋古堂殊有情。憤怒明王鎮壇上，慈悲菩薩満房中。
"桂昌"勧請成開帳，"団十"喧伝啓信崇。参詣行人常雑踏，世尊功徳偏無窮。
桂昌：五代将軍綱吉の母桂昌院。団十：初代市川団十郎。
光明寺 （大田区鵜の木）
高台清境緑成陰，壮大祇林隔世塵。"善導"伽藍真静穏，弥陀古殿自威神。
黒池霊水賞嘆久，白木祠堂感動新。時代推移風物改，斉欣民衆信心深。
善導：中国の大師。浄土宗の祖
波除稲荷神社 （中央区築地）
騒然"魚市"不相関，緑陰境内真静閑。獅頭瞋目慴来客，古色社殿幽興牽。
海浜埋立極難渋，神像鎮浪工事完。波除尊称厚崇敬，霊威顕著商賈繁。
宇治平等院 （京都府宇治市）
古都"宇治"好風光，"平安"貴族創別荘。祇林壮麗想極楽，仏堂開展如鳳凰。
桜花絢爛映池美，埀藤紫帳摩地長。"王朝"物語此終息，夢幻浪漫今尚芳。
王朝：源氏物語
新譜・納涼烟花大会 埼玉県 芋川冬扇
好天深処，高空礼花。青糸赤柱黄玉。鯨音心耳竦，晃蕩眼中華。
声絶焔花消，人去夜寥寥。風螢影，月輪斜。
盛夏遊横浜三渓園 神奈川県 高橋子沖
一 一望園里
大池水静映高楼，緑樹丘陵仏塔浮。起伏三渓園裏整。佳人不絶恣閑遊。
二 與原三渓三渓園
美濃生誕帝都遊，入籍原家実業修。貿易製糸成巨富，促振経済考無休。
美術関心日夜浮，閣房移築意常周。文人墨客招名士，園里公開訪客稠。
関東地震万人惆，投入私財救助謀。復旧支援消歳月，誰知独坐抱深憂。
戦火悲哀涕泗流，荒廃苑里幾春秋。再生管理公私協，蘇活遺財往古優。
江湖佳客楽清幽，四季多情任去留。先覚偉才重回想，玉楼苑池画中収。
(注) 三渓園是日本国名勝指定公園
三 園内古建築
七絶・鶴翔閣
草頂畳間鶴翔閣，迎賓屋里極丹誠。東都美術英才集，推察論談心自清。
(注) 鶴翔閣是横浜市指定有形文化財
五絶・移築茶室春草蘆
草庵庭院寂，簡素是仙家。主客論交好，茶湯敬亦加。
同 五言律詩
雲影思秋色，蝉声愛日長。清泉周草院，奇石受斜陽。
緑樹清無暑，新茶潤有香。佳人佇入夢，老少掬遺芳。
(注) 茶室春草庵是日本重要文化財
五古・移築合掌家屋
蝉声和蕩風，茅屋画図中。広厦全無暑，参観老少充。
曾在白川郷，文明活気昂。人離麗色空，移築蘇良岡。
切妻三角美，牛馬一隅収。階下愉生活，蚕桑人不休。
永続大家族，生涯互助尊。悠揚生歴史，回想自無言。
(注) 合掌家屋是世界遺産。白川郷是地名，在飛騨国白川郷
漢詩詞創作講座 叙事法
中山逍雀
漢詩詞楹聯を作るにあたり、これだけは守らなければならない！或いは守る事に依って、より早く、より的確に佳作に近づける。漢詩詞は漢民族の詩歌で有る！依って現代中国漢民族の詩法に依る事を前提とし、論拠は現代の漢民族の詩家と現代漢民族の国文学教授に求めた。解説する叙事法の項目は以下の如くである。
01-創作の基本要件 02-句の構成法 03-起承転合 04-紅匳體 05-詠史 06-集句
07-實景虚景 08-客観視 09-借物写情 10-詠題意 11-寄思題 12-問答 13-諧謔
14-画讃 15-題画 16-藏頭格 17-賦 18-比 19-興 20-轆轤体 21-連還體
22-柏梁體 23-宝塔詩 24-野馬臺 25-紀行連作 26-互文 27-互換 28-叙事連作
29-景物顕示 30-離合体 31-獨木橋体 32-変体詩 33-嵌字体 34-分咏体
35-合咏体 36-評林體 37-論詩 38-詠物
句の綴り方は漢語文法に則り、その基本構成は 主語＋述語＋客語 である。この構成を基本として、より簡潔な構成とすることが必要で有る。なお殆どの漢民族作品は、簡潔な構成で綴られている事を知る必要がある。
詩詞の一句は文字数が少ないので、この基本形を守れば、殆ど支障なく対応できる。 句の綴り方についてはWaveSight
http://741.jp/kouza04/kou-04C02.htm を参照して下さい。
複雑な構成と古漢語の多用は、漢民族と雖も難なく読める訳ではない。漢民族が通常使うのは、日常漢語で有るが、漢詩詞には、「古漢語」が多用され、日常的に使う漢語ばかりではない。なお、古漢語には、《古漢語虚詞詞典》《古漢語詞典》があり、現実には逐一字義の検索が行われている。
更に、日本の「漢和辞典」の字義と、漢民族の「古漢語詞典」の字義とを比較した場合、多くの文字に、僅かな相違があり、総てが同一字義とは限らない。また中国国内で有っても、一字一義とは限らないので、不安のあるときは、多音多義を《破音字典》《同音易混詞語辨析詞典》《多音多義字辨析字典》で調べることを薦める。
これらの現実を勘案すれば、日本側と漢民族側とで、出来る限り解釈の相違を縮小するには、簡単な構文で！簡潔に述べること！が有効な手段であり、この二点を疎かにしてはならない。
なお、日本人の知らぬ語法が多々有るので、構文が複雑になればなるほど、間違いを犯し易い。更に、漢民族と雖も、語法に適って居さえすれば、如何に複雑な構文でも、綴った者の意図を正確に読み取って呉れるとは限らない。
言葉は共通の認識が得られることが前提で、複雑な構成は、間違いを犯し易く、共通の認識が得られなければ、既に言葉ではなくなる。
漢詩詞は国際通用することが前提であるから、自国民には理解できても、外国人に理解できるとは限らない。
更に笑えない現実がある。日本語を漢字で綴っても漢語には成らない。漢語でもなく、日本語でもない綴りは、創作の意義を為さない。
作品の構成は、趣旨が初句から末句まで一貫して、順次読み進めば読み取れる。次に、句の配置順序には拘らないが、起承転合の要件は具備すること。この基本は三句の曄歌から三百七十五句の離騒まで適応する。
定型の極めて少ない詩では、差ほど読み違いの原因には成らないが、詞では、標點の脱落が読み違いの大きな原因となるので、逗点・句点・韵點を疎かにしてはならない。日本人は標點を疎かにしているが、これらの標點は作品の重要な要素である。標點を疎かにした場合には、創作上の間違いとなる。
なお句点は、横書きに用いられる符号と謂う人もいるが、現在では縦書きの詩集でも句点は無論として、；も：も用いられている。
論旨は独り言であってはならない。必ず、読者という相手が居ることを前提とする。独り言は、個人の内面的な事柄で、日本人でも異国人でも、正確に理解してくれるとは限らない。詩詞創作は自己の意思を伝える手段であり、独り言はあくまで独り言に過ぎない。自己閉塞で有ってはならない。
論旨の拠り所は、暑い・寒い・美しい・悲しい・怒る、などの自己の感覚に頼ってはならない。漢詩詞創作の意図は、自己の考えを他者に伝える事に有り、その拠り所は、自己の考えに依らなければならない。考えを持たずに綴った作品は、当然として読者にも意味不明である。
起承転合とは屡々漢詩詞で謂われるが、漢詩詞に限った事ではない。起承轉合は、文や詩詞、或いは説話を構成する基本要素である。
日本の漢詩壇では「起承転結」と言うが、中華詩詞壇では「起承転合」と言う。中華詩詞壇では、起承転結と起承転合とは、明確に区別されている。漢詩詞は「起承転合」を採用する。
句は初句を出句と謂い、続く句を落句と謂い、出句と落句で二句一意一章を為す。日本では起承転結と謂うが、漢民族は起承転合と謂い、合句とは、結論を導き出す糸口を与える句で、結論を述べる句ではない。
起句は出だしの句であって、軽妙に陳べることを肝要とし、主題の位置を陳べる。起句は承句より大きくてはならない。
承句は起句を受け継ぎ発展させる句である。起句から離れてはならないが、重なりすぎてはならない。承句は起句より小さくなってはならない。
承句と転句は繋がってはならない。むろん重なってはならない。承句は起句の延長と言っても、起句と同じ傾向の事柄を述べたのでは、承句の存在意義はない。起句を基点として起句とは違う見方を述べるのである。
起句の延長で有れば単なる「線」に過ぎないが、基点を同じくするが異なった方向を述べるならば、それは広がりを持った「面」となるのである。
転句は主題とは異なる視点の句である。起句や承句と重なったところが有ってはならない。起句や承句と重なれば、最早、転句ではない。承句の延長となる。
承句と離れる度合いは、表面上は離れているが視点の異なる情に於いて、一縷の繋がりを肝要とする。承句との離れ度合いは、合句に於いて、集束可能を限度とする。転句は起句とも承句とも基点を異にする句であり、「厚み」を構成する爲の句である。
合句は承句と転句を繋ぐ句で有る。合句は承句と一縷の繋がりを持ち乍ら、転句とも一縷の繋がりを持つことを肝要とする。合句が承句と重なり過ぎれば、合句ではなく承句の延長と成り、合句の存在意図をなくす。
合句が転句と重なりすぎれば、転句の延長となる。合句は、承句と転句との双方に繋がりを持ち、起承轉の結びの句として位置づけられ、「結びを引き出す為の句」であって、結びの句ではない。
即ち結句とは異なり、余情或いは余白、未完を肝要とする。
漢詩は二句一意一章である。首尾一貫は基本原則である。この原則を弁えて句を綴らないと、趣旨不明の作品となります。起承転合をバラバラに作っては、纏まりのない作品になる。
例えば出句の構成を 主語＋述語＋客語 として落句で 述語＋客語 にすると、省略された落句の主語は、出句の趣旨と言うこととなる。この統一性を欠くと、意味不明に陥る。
漢詩詞作品には、何の何処を、どう捉えて、どう詠うか、と云う三っの要件がある。七題と七抒と二十六風格である。
詩経（一名毛詩とも言う）は四部に分けられ、国風・大雅・小雅・頌があり、国風は大部分が人民の中で詠われていた歌で、他の大雅・小雅・頌は王室関係の歌で、宮廷内の知識人によって作られ、周王朝創業を述べる英雄叙事詩である。
国風の殆どは叙情詩で、純朴な内容である。内容によって大別すれば、風・雅・頌の三っに大別され、これらの合計は三百十五篇である。
猶、これらの修辞法は、賦・比・興の三っに分類され、風・雅・頌・賦・比・興の六っを合わせて、詩の六義と言われている。作詞の詩法としては、修辞法の、賦・比・興の三っが対象となる。
賦とは、対象を真っ直ぐに述べる詩法である。修辞法としては最も一般的な方法なので、探せば幾らでもある。詩詞の本義は、景を借りて情を写す。情を借りて情を写す。の二通りであるから、純然と景を述べて居ると見える作品でも、突き詰めれば情を述べているのであって、興の範疇に入る。そこで一歩手前で止めて、賦と言う。観光案内でもない限り、景だけを述べている作品は見あたらない。
（賦）登滕王閣口占 中山逍雀
登登疑酔夢，仰仰駭神奇。西見悠悠景，東聞躍躍槌。
高楼頻逐政，陋巷恰如曦。緬憶千秋業，應窺半世姿。
比とは、比喩による修辞である。
（比）罌粟（ケシ）中山逍雀
薄薄玉蕊属西施，淡白微紅絶世姿。
可識隠瞞青史裏，妖葩傾國勝楊妃。
注：楊妃；楊貴妃；玄宗皇帝の愛人
注：西施；春秋時代呉王夫差の愛妃；古代中国の美人の代表的存在
解：罌粟を原料として作る阿片は身を滅ぼし国家をも滅ぼす。外見的には罌粟も楊貴妃も美しいという点は同じだが、国家をも滅ぼすと言う点も亦同じである。
興とは、対象を他の物事に置き換えて表現する比喩である。
（興）我家之花猫 中山逍雀
花猫吃飽一何安， 三毛猫は腹一杯になると、其れで充分
天下太平似去官。 天下太平で、仕事を怠ける
只恐偽装猾老鼠， 只恐ろしいのは、よい子面したずるい鼠
貧家米櫃保粮難。 米櫃を食い散らかされそう
猫；腹一杯になると仕事もしないが、それ以上の欲は出さない。
鼠；幾ら食べても際限がない。
解：十分な待遇があると、怠け者になる。目を離すと盗み食いをするものまで現れる。
（興）蟻軍襲青虫 東京 石倉鮟鱇
童心殘酷抓青虫，投与蟻軍前進中。
一命可憐翻滾處，紫陽花發晝無風。
童心殘酷抓青虫，生死を弁えぬ残酷な童心。即ち「力は正義なり」が罷り通る現代の国際情勢を謂う
投与蟻軍前進中。青虫を蟻の群れに放り出す。敢えて危険な目に遭わせても、頓着しない。
一命可憐翻滾處，命がけでもがき苦しむ。
紫陽花發晝無風。 目の前に、こんなにも残虐なことが行われているのに、周囲は無関心。
解：この作品は、童子の何気ない行いを通して、現在の国際情勢を的確に炙り出している。
漢詩詞には観賞する行為と、創作する行為がある。創作者は鑑賞眼を具備するが、鑑賞者は創作技能具備するとは限らない。
何れの場合も、それぞれの枝葉に力を注ぐ傾向が見受けられるが、最も大切なことは、作品の根本要件を見極める能力である。
漢詩詞作品には、概ね三っの要件がある。創作の対象七項目と、着眼点七項目と、作品の風格美の二十六項目である。
鑑賞でも創作でも何れに拘わらず、漢詩詞を講ずる者は、作品に対して、この要件1247項目を分別出来る能力開発に努めなければならない。此が見極められて、やっと作品の様態が明らかにされるのである。