漢詩詞海天吟鴻 再編集転載 文化交流漢詩詞結社葛飾吟社 TopPage

 

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12-03/08
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回文曄歌:回雁飛      東京   石倉鮟鱇
曄 歌:回雁飛。眠不黒波,煙月陪。
......回.......
.....陪.雁......
....月...飛.....
....煙...眠.....
.....波.不......
......黒.......
回 雁 飛 眠 不,..回雁、飛びながら眠るや?
黒 波 煙 月 陪。..黒波、煙月陪す。
陪 月 煙 波 黒,..月に陪するも煙波は黒く
不 眠 飛 雁 回。..眠らずに飛雁、回(かえ)る。
回文坤歌:醺然浩飲       東京  石倉鮟鱇 
坤 歌:我愛君。醺然浩飲,喜談論。
......醺.......
.....君.然......
....愛...浩.....
....我...飲.....
.....論.喜......
......談.......
醺然浩飲喜談論,..醺然と浩飲して談論を喜び
飲喜談論我愛君。..飲んで談論を喜んで我は君を愛す。
君愛我論談喜飲,..君、我が論を愛して談じて飲むを喜べば
論談喜飲浩然醺。..論談、飲むを喜んで浩然として醺たり。
曄歌・坤歌と回文詩:3首    東京   石倉鮟鱇
1.人天
坤歌:善養神。人天処厚,徳安民。
(訳)神(心)をよく養うべし。人の道、天の道に真心を尽くせば、
徳は民を安んじる。
回文詩:
......人.......
.....神.天......
....養...処.....
....善...厚.....
.....民.徳......
......安.......
人天処厚徳安民,..人天、処厚なれば徳、民を安んじ
厚徳安民善養神。..厚き徳、民を安んじてよく神(心)を養う
神養善民安徳厚,..神、善民を養いて徳を安んずること厚く
民安徳厚処天人。..民安んじて徳厚き天に処るの人よ

2.看山紅葉
曄歌:晩照残,丹霞勝景,好山看。
(訳)晩照の残る赤い霞の勝景、よき山に看る
回文詩:
......丹.......
.....残.霞......
....照...勝.....
....晩...景.....
.....看.好......
......山.......
丹霞勝景好山看,..丹霞の勝景、好山に看て
景好山看晩照残。..景よく山に晩照の残るを看る
残照晩看山好景,..残照、晩に看れば山は好景
看山好景勝霞丹。..山を看れば好景、霞の丹きに勝る

3.佳人酔態嬌
坤歌:媚態嬌。妖姿酔喜,指麾招。
(訳)媚態嬌なり、妖しい姿で酔って喜び指はさしまねく
 回文詩:
......妖.......
.....嬌.姿......
....態...酔.....
....媚...喜.....
.....招.指......
......麾.......
妖姿酔喜指麾招、..妖姿、酔って喜べば指はさし招き
喜指麾招媚態嬌。..喜ぶ指のさし招けば媚態、嬌なり。
嬌態媚招麾指喜、..嬌態媚びて招けば、さしまねく指も喜び
招麾指喜酔姿妖。..さしまねく指喜べば酔姿妖し。

回文坤歌:歡觴向夢    東京   石倉鮟鱇
坤歌:仙飲安。歡觴向夢,酔顔丹。
(訳)仙人飲んで安らかなり、さかずきを歓び夢に向かって酔顔あかし
......歡.......
.....安.觴......
....飲...向.....
....仙...夢.....
.....丹.酔......
......顔.......
歡 觴 向 夢 酔 顔 丹,
夢 酔 顔 丹 仙 飲 安。
安 飲 仙 丹 顔 酔 夢,
丹 顔 酔 夢 向 觴 歡。
(訳)
 觴(サカヅキ)を歡んで夢に向かえば酔顔あかく
 夢に酔えば顔丹あかく、仙、飲んで安らかなり
 安らかに仙丹を飲めば顔、酔って夢み
 あかき顔、酔って夢み、さかずきに向かうを歡ぶ

曄歌与回文詩:明星逐月      東京   石倉鮟鱇
 曄歌回文詩:明星逐月
曄歌:已酒醒。清秋素月,逐星明
 ......清.......
.....醒.秋......
....酒...素.....
....已...月.....
.....明.逐......
......星.......
清 秋 素 月 逐 星 明
月 逐 星 明 已 酒 醒
醒 酒 已 明 星 逐 月
明 星 逐 月 素 秋 清
(訳)
 清秋、素月(白い月)星の明るきを逐い
 月、星を逐って明るくすでに酒醒む
 酒を醒ませばすでに明るく星、月を逐い
 明星、月を逐う素秋、清し

曄歌三首     東京  石倉鮟鱇 
古書市 良寛一幅 起爽風
良寛の一幅涼し古書の市

蝉声噪 蝉声断時 身辺寥
蝉時雨とだえ身ほとり虚ろなる

閃電映 霓虹灯街 崩影子
稲妻やネオンの街の影くづる
坤歌  ??? 千葉  今田菟庵
炎昼渉
放送電波
巨産業
巨産業 炎昼へ電波 編み放つ
昼又宵
倦看虚実
遮光鏡
昼夜なき 虚実に倦めり サングラス
昼人顔
晒黒交錯
夜人顔
昼の顔灼け 夜の顔と 交錯す
指衛星
電波航路
雷雲嶺
衛星の 電波の道や 雲の嶺
向蝉街
IDカード
垂頸骸
蝉の街へ IDカード 頸に下げ
蝉稠夥
電視応詩
有没有
詩に応う メデイアありや 蝉しぐれ 
曄歌      東京   福冨女士
新月爽
秋意満窗
寫封信
文つづる 新月の窓の 夜の秋
遠焔火
上西天人
唖劇慎
天上の パントマイムや 遠花火
蛾舞窓
不容易寫
客中信
火蛾の窓 旅の一筆 とどこほる
12-6/15

坤歌     東京  石倉鮟鱇
酔郷人。浅酌低吟,語最真。
与君親。莫猜総是,前世因。
苦吟身。休憩一服,紫煙辛。
暴君唇。言愚追放,股肱臣。
守愚人。悠悠自適,已生仁。
応酬頻。詩在雲箋,巻復伸。
集貴紳。祝賀嘉慶,酒千巡。
筆通神。鳳舞龍飛,翰墨珍。
綺語陳。何得堅持,詠懐純?
漢承秦。欧州連合,到今均。
西子顰。月隠断雲,嘆軽身。
西子顰。片言隻句,出紅唇。
読書人。身在寒斎,思無垠。
正葛巾。独坐寒斎,未全貧。
垂釣緡。吾輩俄然,一逸民。
不嫌貧。互相扶助,習俗淳。
旨酒醇。胡姫帶来,羽觴陳。
旨酒醇。誰責酔狂,挙杯頻。
旨酒醇。先飲后聞,聖賢倫。

曄歌     東京  石倉鮟鱇
月光新。雨留露滴,耀苔茵。
細雨頻。蛩声断続,夜聯晨。
拾枯薪。露営湖畔,月為隣。
月中津。遙向故郷,発良辰。
鳥伝神。下令開花,天下春。
午過申。胡蝶夢飛,白雲賓。
浪鱗鱗。晒太陽人,遍海濱。
画麒麟。君揮神筆,祝新春。
雨後新。草原千里,緑無塵。
雨泛蘋。群蛙乱鳴,也惜春。
月開輪。雪後全山,万朶銀。
送君津。浮舟向日,漾清淪。
秋上旬。天挂眉娥,蛩語隣。
結良姻。春天玉女,発佳辰。
白雲伸。涼風起処,已秋旻。
百花嬪。渋谷駅前,卒業春。
月開輪。残蛩誘人,入叢榛。
牧童淳。一吹横笛,鳥来馴。
鳥声新。江柳風揺,燕子臻。
11-10/10
東京 福冨清子
接秋天 越“甲斐峰” 伴双蝶
峠越え 秋蝶ふたつ 添いにけり
11-10/10
東京 坂口日月
牽牛花 万古不易 倦左斜  朝顔の 左に巻くも 不易也
酔芙蓉 秋季感応 残暑中  
天人慵 当午睡夢 酔芙蓉  天人の 午睡の夢や 酔芙蓉
11-9/28転載
11-9/1
はじめまして。十数年前に中国から来ました、趙と申します。漢詩はたまに作ってみたりもしますが、まだまだ下手です。
この度、東京の石倉氏のご紹介で、先生のホームページを知り、先生をはじめ、皆様の傑作を拝見させていただきました。
日中間の詩人たちはネット上で斯くも盛んに交流されている場面に接し、大変感激いたしました。詩を通じて、日中交流のために尽力しておられる先生に敬意を表します。
先生ご提唱の曄歌は非常に素晴らしい詩のスタイルと感心し、早速幾つか作ってみま
した。ルール違反のところも多々あると思います。是非ご指導願いたいと思います。
趙/横浜
日当空,屋如桑浴,急需風。   (桑拿浴:サウナ。)
熱未収,金蝉鳴罷,又已秋。
江之島,坐鎮湘南,景最好。
富士山,安然穏坐,五湖間。
鳥啾啾,鼬川林下,径通幽。
歳月催,青春如夢,去不回。
渡他州,一言難尽,是郷愁。
問心頭,千糸万縷,是離愁。
回文詩:風顛舞  東京 石倉鮟鱇
...風顛....
..窮..舞...
.興....酔..
..酣..翁...
...歌浩....
翁 酔 舞 顛 風,...翁酔って顛風に舞い
浩 歌 酣 興 窮。...浩歌すれば酣興窮まる。
窮 興 酣 歌 浩,...興を窮めれば酣歌おおいなり
風 顛 舞 酔 翁。...風顛、酔翁舞う。
回文曄歌:辺色焼天   東京 石倉鮟鱇
曄歌:辺色寒。残霞彩暮,欲焼山。
.....残.......
....寒.霞......
...色...彩.....
...辺...暮.....
....山.欲......
.....焼.......
残霞彩暮欲焼山,..残霞、薄暮に山を焼かんと欲し
暮欲焼山辺色寒。..暮れて山を焼かんと辺色寒し
寒色辺山焼欲暮,..寒色辺山(辺境の山)焼けて暮れんとし
山焼欲暮辺色寒。..山焼けて暮れんとすれば辺色寒し
12-01/22 掲示板より転記
回文坤歌:鳳求凰    東京  石倉鮟鱇
....求....
...鳳.凰...
..舞...養..
..踏...気..
...歌.祥...
....長....
 坤 歌:養気祥。長歌踏舞,鳳求凰。
 回文詩: 
  長歌踏舞鳳求凰,...長歌踏舞して鳳は凰を求め
  舞鳳求凰養気祥。...舞って鳳、凰を求めれば、養気めでたし
  祥気養凰求鳳,、...祥気、凰を養って鳳の舞うを求め
  凰求鳳舞踏歌長。...凰は求む、鳳舞って踏歌の長きを
12-03/08
以上で従前の投稿頁の転載は完了しました。
趙/横浜
日当空,屋如桑浴,急需風。   (桑拿浴:サウナ。)
熱未収,金蝉鳴罷,又已秋。
江之島,坐鎮湘南,景最好。
富士山,安然穏坐,五湖間。
鳥啾啾,鼬川林下,径通幽。
歳月催,青春如夢,去不回。
渡他州,一言難尽,是郷愁。
問心頭,千糸万縷,是離愁。

 

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12-03/08
掲示板改修の為に投稿記事を転載しました。
次陶濳飲酒其二十之韻   岸本冑山
寒夜暫過時,恐疑我説真。此語太荒唐,非負君情淳。
山居夜已半,地白舗霜新。遇有叩戸者,自謂逃暴秦。
歴宙兼跨宇,到此避風塵。閊霞煉丹砂,服薬養仙勤。
少感此言奇,仄席歓酔親。晤語最深趣,相得喜津津。
及去駕風馭,惶遽整冠巾。初知彼老父,羽衣著屐人。

次陶濳飲酒其十九之韻   岸本冑山
冗子持固窮,有優無術仕。黽勉倦世途,棲遅聊縱己。
親故憫迂拙,迂拙未為恥。寛褐復帶索,秧歌聞田里。
此地淳風多,美俗秉人紀。此身分樗散,謝斧能知止。
願言楽天命,固窮聊衿持。
●有優無術仕 優は裕でひま 学而優則仕 論語子張編 ●冗子 世の中の無駄な人間詩人自身●黽勉つとめはげむ 黽勉同心 詩・谷風 ●知止 踏みとどまる所をわきまえる老子四十四章

次陶濳飲酒其十九之韻   岸本胄山
冗子持固窮,有優無術仕。黽勉倦世途,棲遅聊縱己。
親故憫迂拙,迂拙未為恥。寛褐復帶索,秧歌聞田里。
此地淳風多,美俗秉人紀。此身分樗散,謝斧能知止。
願言楽天命,固窮聊衿持。
●有優無術仕 優は裕でひま 学而優則仕 論語子張編 ●冗子 世の中の無駄な人間 詩人自身●黽勉つとめはげむ 黽勉同心 詩・谷風 ●知止 踏みとどまる所をわきまえる老子四十四章

五古 次陶濳飲酒其十八之韻   岸本冑山
余齢過四十、便知三十九之非, 而今尚惓道途走 戀寸廩、
偶見坡公詩、 感慨不少, 因次陶潜飲酒詩之韵、而継其志。
陶子知頭顱,初知齋喪得。拙哉冑山子,眷眷未不惑。
濁酒聊遣意,胸中仍不塞。撫己愍疎狂,紛紛老郷国。
詠言難為辭,信命故淵默。
●陶子知頭顱 蘇東坡詩四十豈不知頭顱 可知頭顱 如早去 陶宏景 ●疎狂 世事に疎くわきまえがない●疎狂属年少 疎狂託聖明●信命 運命に任す● 詠言 おもいをうたう 詠言著斯章 阮嗣宗

回文五絶:秋 色   鮟鱇 
紅日残霞落,碧山乱鴉鳴。風如笛吹夕,空嵌半窓明。
(訳)
 紅日、残霞に落ち
 碧山に乱鴉鳴く
 風、笛のごとくに吹く夕べ
 空は半窓に嵌まって明るし
上記詩は、終わりから読めば次のとおりとなります。
明窓半嵌空,夕吹笛如風。鳴鴉乱山碧,落霞残日紅。
(訳)
  明るい窓になかば嵌まった空
  夕べに吹けば笛、風のごとし
  鳴鴉、山の碧たるに乱れ
  落霞、日の紅きを残す

画幅之鷹  詠物   松戸市 川上 
金眸利爪翼如弓,逸気蒼鷹翔大空。却惜英姿収画幅,只留書院褫豪勇。

恭次韻秋山先生「江戸諷詠散歩」閑庭茅屋之詩   千葉県  小畑旭翠
北里秉燭一何痴,南畝狂吟意自奇。燈火懐君滅年月,新蛩共諷古人詩。
同人 梨果
往日酣酣比雪花,秋来歴々玉無瑕。剥皮甘口爽滋味,君賜新涼透歯牙。

隕石      河東
石従天降打通房,倉促看時熱未涼。先找専家求鑑定,生成何処問牛郎。
注釈:1)小生の友人の石倉先生のお名前を用いた蔵頭詩です。
    2)隕石は最近神戸の民家に落下した物を指します。
訳:
石は天から落ちて、部屋を打ち抜いた。
慌てて見に行ったら、熱がまだ冷めていない。
まず専門家をさがして、鑑定を求めたところ、
どこで出来たかは彦星に聞こうと。
11-10/10
趙樹胆先生高雅
趙宋詩人如列星、黄河東畔放吟情。樹顛聴不鳴天籟、胆力招呼蘇陸声。
(注)小生の友人趙樹胆氏から詩をいただいたお礼に、お名前を拝借して作った
頭蔵詩です。
黄河東畔は氏の出身地と雅号(河東先生)を意識しています。
(訳)
趙氏の宋朝は詩人が星をつらねるがことく
黄河は東のほとりに吟情を放つ
樹のいtだきに、天籟の鳴るのが聞こえませんか
胆力で蘇軾、陸游の声を呼び寄せましょう。

はじめまして。十数年前に中国から来ました、趙と申します。漢詩はたまに作ってみたりもしますが、まだまだ下手です。
この度、東京の石倉氏のご紹介で、先生のホームページを知り、先生をはじめ、皆様の傑作を拝見させていただきました。
日中間の詩人たちはネット上で斯くも盛んに交流されている場面に接し、大変感激いたしました。詩を通じて、日中交流のために尽力しておられる先生に敬意を表します。
先生ご提唱の曄歌は非常に素晴らしい詩のスタイルと感心し、早速幾つか作ってみま
した。ルール違反のところも多々あると思います。是非ご指導願いたいと思います。

横浜  河東
七絶 東京喜遇故人
海北天南各一方,思君毎欲断愁腸。年経二十誰曽料,又可相逢在異郷。
末筆ながらご健勝をお祈りいたします。

七絶:賛新短詩   石倉秀樹 
三十三年糊口哀,終于詠意茲帰来。曄坤歌好瀛偲妙,誰不得吟七歩才。

五古次陶濳飲酒其九之韻     岸本胄山
新霜衆草瘁,残雪菊尚開。痩躯耐凍冱,卻似抱高懷。
亦似獨往人,頑與世人乖。脱然謝羈束,離群避俗栖。
名役與物役,相較如淤泥。倦飛宜翔去,散才多所諧。
可憫妄庸子,因循謀食迷。坎軻勿悲咤,白駒去不囘。
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五古次陶濳飲酒其八之韻   岸本冑山
東籬過九日,清絶在氷姿。淒凛新著霜,折残采一枝。
澹粧與幽香,含露白葩奇。草木已黄落,痩躯獨何為。
此意知何似,濯纓厭塵羈。
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次陶濳飲酒其七之韻   岸本冑山
清秋美氷姿,緑酒泛其英。七子游世外,戰詩見交情。
四座得句疾,一韻一杯傾。叉手金雀子,忘歌竟不鳴。
長揖七歩客,勿瞋輕此生。
●叉手 句を捜す時の形容 温庭均は八度手を叉む間に詩を作った 七歩客 曹植は7歩歩む間に詩を作った
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五古次陶濳飲酒其六之韻   岸本胄山 
道樞得環中,方生彼與是。淵明無弦曲,兩行成與毀。
斎物聞天籟,不入非人爾。夫子休天鈞,何須從黄綺。
●道樞得環中 道樞 とぼそ 回転扉 樞が環の中心にはめられることにより はじめて 無限の方向(彼の方向にも 是の方向にも 万物斎同の境地)におうじて 是彼の対立矛盾を超剋する ●斎物聞天籟 風には 音もなく形もなく(無)風の音というのは 例えば 穴と風がふれることに寄り音が発生する(地籟)然し風(無)が吹かないと穴から風の音はず聞こえてこないと同じように あらゆる現象には風のごときものが現象としてなりたたせている(天 道 真宰)人間の喜怒哀楽の情もその真宰に支配さるれる 故にすべてのいま在ものをいま在ものとして受け入れてゆく(地籟を地籟として人籟を人籟として) ●淵明無弦曲一つの音を奏でることにより無限の音が毀される 成は毀となる ●爾 然り
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五古次陶濳飲酒其五之韻   【投稿者】 岸本胄山 
頑拙難可意,俯首避世喧。世路風波悪,天公似情偏。
鷄鶩擬孤鴻,栖栖戀故山。傷禽逃樊籠,斂羽復何還。
倦飛啄凍草,哀聲誰寄言。

五古次陶濳飲酒其四之韻   岸本冑山 
宛雛離群時,蒼旻欲高飛。老去相知少,矜潔声正悲。
北林梧桐枯,斂翅獨無依。厭就前塗窄,棲棲故林帰。
練實與靈泉,啄此些扶衰。閑居得天全,志意亦罔違。
●矜潔 ●北林 翔鳥鳴北林 阮嗣宗 御苑の北部 後宮に近い林 ●梧桐枯 夫宛雛発於南海而飛於北海非悟桐不止非練實不食非靈泉不飮 荘子 秋水編
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次陶濳飲酒其三之韻   岸本冑山 
先生臥閭里,染翰舒閑情。雅趣遺餘芳,卻嫌傳詩名。
道喪素節悲,事外寄此生。夙志孤介貴,高歌俗情驚。
長揖對陶子,承風一編成。
●先生 陶淵明  閑情 淵明の閑情の賦
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五古次陶濳飲酒其一之韻   冑山 
富貴如浮雲,魯叟夙説之。如我戀寸廩,未解歸去時。
餬口不掩脛,世事拙如茲。半生服鹽車,頑愚復何疑。
天授樗櫟才,謝斧強自持。
●富貴如浮雲 論語 魯叟 孔子 寸廩 給料 服鹽車 鹽車憾 弔屈原賦 賈誼
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七古             冑山  
次陶濳飲酒其二之韻
頑質懶折腰,失群老冑山。貧苦為詩人,縱適聊詠言。
苦厭取自容,卻得終天年。寄語彼秋菊,孤芳向誰傳。

五古次陶濳飲酒其十七之韻    岸本冑山 
愚哉一散人,守拙田舎風。去向冑山下,曳尾泥塗中。
坐忘游方外,楽貧蔑窮通。世事袖手観,猶然分蔵弓。

五古 次陶濳飲酒其十六之韻   岸本胄山 
野遊娯野酌,春融好所經。静聞瀉湍沙,坐石晝睡成。
睡覚亦信歩,暗喜節物更。遇逢植杖翁,笑語招閑庭。
圃畦菜花黄,空際雲雀鳴。詩人冩春容,天地自多情。

五古 次陶濳飲酒其十五之韻  岸本冑山 
我行就窄時,悄然還安宅。武水與冑山,懐舊尋往迹。
陶詩敦宿好,詩不盈二百。携此老田里,時駛鬢已白。
尋思十年事,我生不自惜。
●安宅 夫仁 天之尊爵也 人之安宅  孟子 公孫丑 身の安らかな置き場所

五古 次陶濳飲酒其十四之韻   岸本冑山
山行苔蘚滑,幽禽驚人至。傾耳聽溪聲,把盞石澗酔。
瀑布架彩橋,飛漱洗胸次。碧岑擧目眺,掀天如自貴。
清絶心神融,魯叟亦忘味。
●魯叟 孔子 忘味 子在斉 聞韶 三月不知肉味 述而篇

五古次陶濳飲酒其十三之韻   岸本冑山
衆人雖尚同,迂愚自異境。好風曝背坐,微醉如未醒。
散策舒我懐,流憩春容領。狂馳世間子,区区誰能頴。
我生不繋舟,甘心従所秉。
●好風 気持ちのよい風 微雨従東來 好風與之倶 ●流憩 歩きまわって その間出休憩する 策扶老以流憩 時矯首而遐観 ●頴 すぐれる 頴賢 ●甘心 満足する ●従所秉 平生の自分の懐う所

五古次陶濳飲酒其十二之韻   岸本冑山
衆鵜不濡朱,尚妬蜉蝣時。清池沒荊棘,尸鳩枯桑辭。
屡空啄凍草,苦寒毎如茲。斂翅懷微志,委分復何疑。
世間惡正聲,頑質幸不欺。波流與弟靡,知命従所之。

●尚妬蜉蝣時 詩経曹風 蜉蝣之羽衣裳楚楚 国俗が奢侈に流れて国の危亡を憂う ●衆鵜不濡口+朱 詩経曹風 候人 維鵜在梁 不濡其口+朱 有能の士は退けられ 無能の者が重く用いられる ●尸+鳥鳩枯桑辭 詩経曹風 尸+鳥鳩在枯桑 古の明君がよく均一に民を治(ここでは逆説)
●屡空 論語 先進 回也其庶乎屡空 食糧等が欠乏する

五古次陶濳飲酒其十一之韻   岸本冑山 
世間軽薄士,謀食不謀道。飾非衿口舌,獪猾侮父老。
衣繍耽淫蕩,紅顏竟枯槁。初知衛遽嘆,酸于軽所好。
寄語衒辭者,抛擲無価寳。慎勿将空言,故出人意表。
●衛遽嘆 遽は遽+艸 名は伯玉 五十で四九の非を知る

五古次陶濳飲酒其十之韻   岸本冑山
滾滾武水流,冑山屹海隅。郷里土風清,欲曳尾泥塗。
淵明飲酒詩,深趣我心駆。我亦尋旧跡,得句思有餘。
承風継高韻,脱然返舊居。
●欲曳尾泥塗 吾聞楚有神亀 死已三先歳矣 王巾笥而蔵之廟堂之上 此龜者 寧其死為留 骨而貴乎 寧生而曳尾於塗中乎 (荘子 秋水篇)
12-6/12
12-6/15
時事 一韻到底格 十二侵 岸本冑山
看眼時事憂当今,冗子呑涙如呑鍼。雖足衣食無礼節,礼節不重無仁心。
世間頑父争功急,不省庭訓育獣禽。便知其児背人理,胸懷褊狭姦才深。
身懐鬼胎楽苛虐,脅得朋友抄千金。或拐少女囚陋室,強狂色欲要姦淫。
愚母恐児被殴打,拱手噤口無由尋。少年凶行不可解,疑是心裡妖魔侵。
唯言為嘗殺人味,世人疑耳聞難禁。

釣磯   東京  三耕
終日釣磯只海音、波頭波底復浮沈。
世人倦世帰何処、空水青青相不侵。
 http://user2.allnet.ne.jp/nisino/
 東京都東久留米市 姓:西野 筆名:三耕

朝鮮人民多俊傑,夙学尼聖重礼節。本知民心希光復,久遭戦禍呑涙血。
日本不義侵朝鮮,冦盗国家濟多年。故惡日本亦宜乎,収戈未逃坐鍼氈。
俄美分国南北地,謀得利権弄狡智。嗟甘脅嚇誤樞機,從此窺覦多怪事。
北地寒冷少田疇,人民厭貧凍餒憂。南地土沃産業盛,亦名韓国敷政優。
朝鮮首領何為者,拉致少女何益也。政府欲問事真偽,雄弁高官如聾唖。
首領為人如豺狼,容色凡庸豈尋常。不識時務尺沢鯢,狗尾続貂罪材良。
仄聞国策無信義,嫌猜韓国苦畏忌。窃将爆裂殺要人,糞土抗弁多虚偽。
近隣諸国絶交通,国儲無備糧資窮。偽造美金充国費,羝羊触藩国是空。
剩遭天殃亡田圃,喰尽草根飢腸苦。看児餓死酸嘶頻,路傍不葬満臭腐。
如此惨状意如何,不感痛痒故看過。及身初解轍鮒急,復脅近隣姦策多。
骨肉憂慮無消息,為愬心情送糧食。如何未入飢児口,群蟻付羶虐政極。
哀哉兄弟已老身,生別南北同苦辛。或試亡命罹禍蘿,眼前臨死一慘神。
諸子読此嗤悪癖,徒弄言辞如無責。不然一歌謝旧悪,空吐衷心報怨嘖。

【語句の説明】●尼聖 孔子 ●光復 以前の立派な状態を回復する 
●冦盗集団をなして他国を攻めて物を奪うここでは国家そのものを奪う
●坐鍼氈 不安で寸時も居たたまれないこと 後置針著錫常坐処所氈中 [晋書杜錫伝]
●樞機 物事の肝要な所 [易経繋辞]●窺覦すきをうかがう
●不識時務 当世の急務を知らない[後漢書張覇伝]
●尺沢鯢 見聞の狭いたとえ [宋玉対楚王問]
●狗尾続貂 つまらない者が高官に列す 貂不足狗尾続 [晋書趙王倫伝]
●糞土 糞土言道理にそむいた卑しい言 [左伝襄公一四年] 
●交通 行き交う 交際する 諸所交通無非豪傑大侠 [史記灌夫伝]
●国儲 国の貯え●美金 アメリカドル
●羝羊触藩 勇気にはやりむやみに猛進するとかえって窮地に陥り進退窮まること[易経大壮]
●轍鮒急差し迫った困窮 [荘子外物編]
●群蟻付羶 利益のあるところ所に人が群がりの集まる[荘子徐無鬼編]
●亡命 命は名 逃亡すれば名は削られる[史記張耳伝 杜甫詩前出塞詩]

詠野鶴  東京 岸本冑山
野鶴収陰羽   啄苔棲九皐
蒼天知有耳   風唳一声高

野鶴陰羽を収め、苔を啄みて九皐に棲む。
蒼天知んぬ 耳有るを、風に唳いて一声高し。
●鶴鳴于九皐、声聞于天。鶴鳴 詩経 小雅
野鶴が翼をおさめて、苔を啄みて奥深い沢に棲んでいます
蒼天も耳が有るのであれば、風に鳴く鶴の鳴く声を聞いていることでしょう
(恵まれない境遇にあって、世の中にうずもれている人でも 才能がありさえすれば、
自ずからその評判は伝わってくることでしょう)


拙哉冑山行   岸本冑山   
投老世味薄,草草辞塵寰。世人従流俗,不容我愚頑。
事事與心違,棲遲残生慳。挟持陸游集,騎驢過郷関。
獨対舊山河,欲訴行路艱。冑山屹不群,聳峙翆雲鬟。
武水流滾滾,清韻亦潺湲。到家母已逝,展墓涙潸潸。
多喪舊相識,存者霜髪斑。茅屋但四壁,久已戸不関。
門外羅可設,起居方丈間。晴即負耒耜,雨便把詩刪。
狂吟撃唾壷,酣醉撫刀鐶。野趣誘引我,出門野徑彎。
穩歩風日恬,行歌野興閑。踏草復渡溪,担酒石蘿攀。
峨峨三面峰,可愛緑廻環。目斷瞰城市,烟舟漂碧灣。
藉草暫塔然,放情聞綿蠻。層雲掩山動,暮禽下谷還。
聊恨無相伴,野酌酒色殷。酔裏轉懷旧,一笑半生間。
馳逐恨蹇劣,世網嘗辛艱。斗米不折腰,厭見無愧顔。
残生楽天全,拙哉老冑山。

蒿里曲    岸本冑山
徒余子,知何者。恐在五雲閣,應知遭酒禍。
罪得降世間,地上酒仙也。性豪嫌甜酒,長醉耽嗜夥。
雖不軽細行,豁達俗念寡。游芸愛風流,博学兼文雅。
結交多文林,竭力創吟社。身投翰墨場,筆力如大厦。
天帝憐其才,恕罪賜仙果。使君還瑤京,白鶴下郊野。
告別朋友集,坐中涕洟堕。想起去年春,酌酒桜花下。
年年亦歳歳,如旧花嫋娜。今日還逢春,春遊歡未可。
春帰人不帰,花下低眉坐。酌酒不能醉,卻恨残葩妥。
君逝誰提将,綵霞余哀惹。情至悼往事,呑涙如聾唖。
詠言為相弔,命也奈何我。

註 傚北郭先生之体

嘯嘯会のホームページです。出来れば作品に就いてご教示を賜りますよう希望しております
http://www1.ocn.ne.jp./~tyuzan/

少年行     岸本冑山
近頃数聴凶行多,無乃少年憑妖魔。勿笑老人易為感,看眼時事奈憤何。
荀卿説道人性悪,不教義方道理錯。何異猛虎放城市,少年多是性凶虐。
脅得朋友奪金銭,拉致衆人心平然。或作狸奴狗児看,徒好殺戮不畏天。
無奈先生教育拙,当事袖手遂蹉跌。縱遇苛虐無由逃,平生唯思生命絶。
●荀卿 荀子 性悪説を主張
●義方 家庭内の徳義の教訓
●道理 人のふみ行うべき正しい道 其行道理也勇 荀子 修身 
●先生 老人で学問を教える人 転じて日本語の教師と同じ
●教育 教えて立派な人物に育てあげる 得天下英才而教育之 孟子 尽心 
●袖手 何もしないでいる 手を拱く


義民行    岸本冑山
亰師西下武水頭,卜居中洲水害憂。連日潦雨堤防潰,清流化龍呑田疇。
不雨常畏水枯渇,良田欲荒厄旱魃。新秧不育土不膏,平生農民亊死活。
傳聞天正十九年,瓦林村民心決然。綢繆堤防治暴水,應處旱潦自萬全。
不意。
爲変水路卻甞苦,武田尾辺遭潦雨。奔流抜木削山根,剰運砂礫除此數。
武水分流砂礫來,埋没水底新作災。枝水水路難成用,竊掘暗渠是權哉。
良田無水枯秧稲,無奈田疇生雑草。家在妻帑坐飢餓,如何拱手徒苦惱。
手把耒耨毀堤防,瀉水暗渠無術妨。瓦林村民聞此早,鬪來北郷多死傷。
亊畢負責前就縛,強庇父老自有約。二十餘名赴華城,應曵刑場惜命薄。
遂復水路志気雄,多謝感此長傳功。両村元来無私怨,吐露丹心情誼通。
物換星移平成代,田疇變有比屋在。溶溶武水獨依然,可嘆村民淺交態。
君知。
浄願寺裡義民碑,詩人讀此心苦悲。為賦長歌弔英霊,至今欲傳有誰知。
●是権哉 権利ではなく 事情が事情だけに仕方のない 臨機の処置 孟子 
離婁 天正十九年瓦林村民と鳴尾村民の間で水争いがおこりました。その時
のことを 事実にもとずいて叙述しました

詠李卓吾     岸本冑山
迎福寺西李贄墓,庭裏已無白楊樹。焦氏刻銘伝千載,日東志士長欽慕。
夙学陽明覚精神,卻為異端不違仁。麻城龍湖芝仏院,流寓客子寄此身。
狂狷夫子自削髮,非僧非儒奇風骨。藏焚二書人難解,時論不可分賞罰。
童心心初是眞心,絶仮純真哲理深。效顰學歩遽失此,矮人看戯古人箴。
安養生民社稷重,惇厚清謹不足用。強奬馮道李斯輩,儒官顰眉無留訟。
左道惑衆事尤危,非聖無法世人欺。尚釀中夏衣冠禍,老躯被劾獄牢羈。
強項狂儒不屈膝,憤慨空知事已畢。獄裏自刎辞今生,賭将一死亦何述。
●李卓吾 李贄 字若しくは号は卓吾 陽明学者 
●庭裏已無白楊樹 埋葬時馬経綸が周辺に百余株の白楊の樹を植える墓碑は焦竡が書す ●異端 聖人の道でない別の学説 攻乎異端 斯害也已 ●風骨 すがた風采 
●流寓客子 句贅疣也 流寓なればその地に縛られるので客子とつずける 
●狂狷 狂は、むやみに理想に走って実行がともなわない 
狷は、悪いことをしないように意志堅固なこと 
狂も狷も中庸に合わないが態度の方向が一定している 
論語子路 子曰 不得中行而与之必也狂狷乎 ●藏焚二書 藏書と焚書 李卓吾の著作 ●賞罰毀誉褒貶 ●童心 童心とは仮とは無縁にして純粋に真なるもの(絶仮純真)
最初一念の本心である(心初)観念的な理念にはしり人間の真情から遊離したところで
道を求めてもそれは真の道ではない世間の情理のなかにこそ道の情理はある 
心の本体は無善無悪 ●安養生民社稷重 
●矮人看戯 自分の見識を持たず 付和雷同すること  朱子語類 
●惇厚清謹不足用 人情が厚く深いてつつしみ深い士であっても国家緩急の時には
必ずしも役には立たない ●馮道 五代の人 字可道 四朝十人に仕える 
宰相の地位にあること二十年に及ぶ 
●李斯 秦の丞相 始皇帝を助けて焚書抗儒により思想統一する 始皇帝死後趙高に欺かれ刑死する ●顰眉 憂えて楽しまない 眉にしわをよせる
●左道 道をたがう ●中夏衣冠禍 中華民族の道徳文明の禍 
●強項 首すじの意 性格が強くて正しく容易に頭を下げて下らない 後漢 楊震傳 
●憤慨 いきどうりなげく


画幅之鷹  詠物  ??? 千葉  川上庄山 
金眸利爪翼如弓,逸気蒼鷹翔大空。
却惜英姿収画幅,只留書院褫豪勇。
七絶:作詩偶感  東京 石倉鮟鱇
魚勤産卵我吟歌,貝善銜珠人拾何?
千石堆堆難得玉,但思文運夢中過。
12-6/13 掲載を整理完了

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12-03/08
掲示板改修のために記事を転載しました。
? ?? ????
人已老,花還復,両心傾。往時不省,氷肌孤潔却虚名。
飾偽忠勤臣事,暗闘追求功利,猶欲得英声。妍醜共垂白,霜髪破冠生。
(訳)
 俗念いつに了(おわ)らんか? 命を知るもいまだ晴をなさず。
 早梅,院落に鮮やかに発(ひら)き,枝上に雪は縦横たり。
 屈幹,寒を凌いで堅忍し,骨に刻んで神を凝らし満を持し
 拂暁に香の清きを放つ。
 翼翼として寒色を彩どり,楚楚として高情を促す。
 人は冬に老い,花はまた復し,ふたつながらに心は傾く。
 往時は顧みず,氷肌(梅の花)は孤潔にして虚名を却けるを。
 飾偽(ショクギ:うわべを繕う)して臣事に忠勤し
 暗闘して功利を追求し,なお英声を得んと欲す。
 妍醜(美醜)、ともに垂白(白髪の頭になりそう)
 霜髪、冠を破りて生ず。


感恩多:画中娘     東京  石倉鮟鱇
玉容能却老,艶笑秋波悩。
何催愁緒長,保華粧?
三十年来昵懇,画中娘,画中娘。
我独華頭,寒斎傾一觴。
(訳)
 玉容よく老いを却け、艶笑秋波悩まし。
 なぜに愁緒の長きを催さんか?華粧を保つも。
 三十年来の昵懇、画中の娘,画中の娘よ。
 我ひとり華頭となりて、寒斎に一觴を傾く。


八声甘州:惜君還俗    東京  石倉鮟鱇 
対佳人不忍勧離觴,但願寄留長。
似中秋明月,豊頬栄燿,臨照僧坊。
莫忘団団剃髪,整整礼空王。
昨夢君清楚,幻不施粧。
可惜開春還俗,爰明眸皓歯,且競年芳。
想蜜多花蕊,虫喜潤枯腸。
嘆老躯,垂涎空過,数有機,未敢拂羅裳。
山門暁,送行孤影趣向朝陽。
(訳)
 佳人に対し離れの觴を勧めるに忍びず
 ただ願う、寄留の長きを。
 中秋の明月に似て、豊頬の栄燿、僧坊に臨照す。
 忘るなかれ、団団として剃髪し
 整整として空王(仏)に礼せしを。
 昨夢に君は清楚にして、幻は粧いを施さず。
 惜しむべし、開春の還俗
 ここに明眸皓歯、まさに年芳と競わんとす。
 想うは蜜多き花蕊に、虫の喜んで枯腸を潤すこと。
 嘆くは老躯、垂涎むなしく過ごし
 しばしば機あるも、いまだあえて羅裳を拂わず。
 山門の暁に、行を送るは孤影の朝陽に趣向するを。
楊柳枝:贈酒豪女士     東京   石倉鮟鱇 
花貌頬紅放酒香,四方芳,
論難国政劇談荒,玉壺傍。
知否酔中吾暗想,春風爽,
同君携手去江郷,世塵忘。
(訳)
 花貌、頬紅く酒香を放てば四方に芳しく、
 国政を論難して劇談荒れるは玉壺の傍(かたわら)。
 知るや否や、酔中に我ひそかに想うは、春風の爽かに、
 君と手を携えて江郷に去れば、世塵忘れんこと。


満庭芳:三十年来同夢    東京  石倉鮟鱇
与君浮舟,湖中風爽,四囲将向昏黄。
清漣瀲瀲,舷側映余光。
水面花容揺蕩,似回憶,褶皺相忘。
已知命,不應有恨,何敢嘆無常?
蒼蒼蒼昊浩,明眸誇示,初試紅粧。
拙姿媚,含羞艷耀驕陽。
三十年来同夢,共懐旧,但楽安康。
将歸櫂,俄驚水鳥,飛去影雙雙。
(訳)
 君とともに舟を浮かべれば、湖中に風は爽やかに
 四囲はまさに黄昏に向かわんとす。
 清らかなさざ波はきらきらと、船べりに余光映ず。
 水面に花のかんばせ揺れ動けば
 思い出に似て、しわを忘れ。
 すでに五十、恨みはあるべきにあらず
 どうして敢えて無常を嘆こうか。
 蒼蒼たる青空は浩く、
 美しい瞳は誇示す、初めて試みたお化粧。
 姿媚(しな)つたなきも
 羞らいを含んで艶やかに耀けば驕る太陽。
 三十年来の同夢
 ともに昔を懐かしみ、ただに楽しむ、安康たるを。
 まさに櫂をめぐらせば、俄かに驚く水鳥
 飛び去って影は雙雙たり


水調歌頭:“巴黎”夜多奇    東京  石倉鮟鱇
我是如何者?把酒問胡姫。佳人来自南美,会解日文稀。
蓬島猿玩仙術,容易相通心息,“巴黎”夜多奇。碧眼催情調,黄手弄氷肌。
髪披散,腰揺蕩,不知疲。夢中蛇舞,蜿蜒嬌態欲成痴。
感極雷声天吼,幻化浪花飛濺,事後学無為。喜見紅霞暁,仙女点軽脂。
天浄沙:秋 愁    東京  石倉鮟鱇 
月光皎皎将寒,
虫声切切猶残。
酔境愁多夢短,
未能排悶
壺漿已尽顔丹。
(訳)
月光、皎皎としてまさに寒からんとし
虫声、切切としてなお残る。
酔境、愁多く夢短かく
いまだよく排悶(気晴らし)せざるも
壺漿(壺の酒)すでに尽きて顔丹(あか)し

太平時:四時有酒     東京  石倉鮟鱇 
春日吹風花競妍,
酒旗翻。
夏雲澆雨客消閑,
酒家喧。
秋月照村帰夢裏,
酒仙眠。
冬峰冠雪落暉辺,
酒痕鮮。
 (訳)
  春の日、風吹けば花は妍を競い
  酒旗、翻る。
  夏の雲、雨そそげば客は消閑して
  酒家、喧し。
  秋の月、村を照らせば帰夢のうち
  酒仙、眠る。
  冬の峰、雪を冠ぶるは落暉のあたり
  酒痕、鮮やかなり。



浣溪沙:秋打秋千     東京  石倉鮟鱇
回到童心自在天,
空中揺蕩似飛仙。
千秋可以打秋千。
君莫嘲嗤閑人舞,
光陰不久送残蝉。
二毛未倦在塵縁。
(訳)
童心に戻れば自在の天,
空中に揺蕩して飛仙に似る。
千秋(千年)秋千(ブランコ)に乗るもよし。
君、嘲嗤するなかれ、閑人の舞,
光陰、久しからずして残蝉を送る。
二毛、いまだ倦かず、塵縁にあり。
水調歌頭:自 嘲   東京 石倉鮟鱇
時問我何者,精魄裂東西? 
翠濤千里連海,美国四時宜。
欲説英文流利,恋慕欧風精髄,金髪麗人肌。
蓬島猿多感,寐語夢魂飛。
勤西学,通漢字,歎支離。
幸生日本,相隣中国怠相思。
自古華風軽払,到処叢花芳発,繚乱百家詩。
空過光陰快,有恨半生痴。
(訳)
時に問う、われは何者ぞ?精魄、東西に裂けり。
翠濤千里、海に連なって、米国は四時に宜し。
英語を流暢に話さんと欲し、
恋慕するは欧風の精髄、金髪の麗人の肌。
蓬島に猿は多感にして、寐語(寝言)して夢魂飛ぶ。
洋学に勤め、漢字に通じ、支離を歎く。
幸いにも日本に生まれ、
中国にあい隣してあい思うを怠たれり。
いにしえより華風、軽く払えば、
到るところ叢花芳しく開き、繚乱たり、百家の詩。
空しく過ごせり、光陰、はやくして、
恨みあり、半生の痴なるに。
水仙子:誰呑銀漢  東京 石倉鮟鱇
秋風颯起月光寒,猶聴虫声切切残。
三更帰路疎灯淡,醺醺酔境寛,酒肺還欲将乾。
誰呑銀漢?
星難耐看,只有金環。
(訳)
秋風、颯として起きて月光寒く、なお聴く、虫声の切切として残るを。
三更、帰路に疎灯淡く、醺醺として酔境寛たるも、酒肺、またまさに乾かんとす。
だれが銀漢(銀河)を呑んだのか?
星は看るに耐えずして、ただ金環(月)のあるのみ。
十六字令 蛙声  千葉  川上庄山
譁。
窓外声声喚雨蛙。
吾欲睡,
何事競相誇。
やかましい。窓の外には雨を喚ぶ蛙の声が
私は眠ろうとしているのに、何でそんなに争って・・・
11-10/10
松戸 小畑節朗
宿台北欧華旅店耽読gong自珍「巳亥雑詩」寄調擣練子
庸福願,労塵縁。
客裏秋心亦可憐。
灯火自親甘吾分,二更牀上與詩仙。
シャワーを浴びる    千葉県 今田菟庵
淋浴
淋浴
去鬱醒神流毒
遙思南国数年
映瞳細腰嬌妍
郷曲
郷曲
秋声纏綿離俗
 水調歌頭:老 酔   東京 石倉鮟鱇
  形 影 正 相 似
我 与 鏡 中 君。
假 牙 清 耀 容 貌
疑 是 少 年 唇?
往 昔 衿 夸 風 度
調 戯 明 眸 皓 歯
街 巷 楽 青 春。
現 在 知 衰 老
回 憶 只 千 巡。
日 車 転
年 紀 大
智 能 伸。
常 愉 酔 境
  残 喘 魂 魄 欲 忘 身。
霜 髪 如 仙 紛 乱
亀 手 猶 蛇 狙 候
壺 満 酒 芳 醇。
夢 裏 觴 斟 海
月 照 浪 鱗 鱗。
 夢江南:酔後難受  東京 石倉鮟鱇
  誰 人 老?
只 有 鏡 中 眞。
骨 酔 頭 疼 霜 鬢 染
眼 花 鼻 液 欠 伸 頻。
放 屁 苦 吟 身。
  疑 春 夢
独 坐 思 千 巡。
廁 所 花 清 輝 絢 爛
余 醺 猶 有 未 全 貧。
銭 酒 水 魚 親。
11-11/28日転載
少年遊:冬天飲酒   東京  石倉鮟鱇
  紛紛落葉北風号,銀月振霜刀。
天涯孤独,今宵何処,酔裡夢滔滔。
  豊頬商女知憐憫,陪酒不辞労。
客散三更,猶流燭涙,還酌一壺醪。


春光好:花天飲酒     東京 石倉鮟鱇
  賞桜好,忘賢愚,酔郷豪。
午飲花天是楽郊,積雲梢。
  美味綿綿樽俎,清香郁郁壺醪。
花散紛紛飛到処,喜風騒。
江南好:飲 酒   東京 石倉鮟鱇
醇酒好,
鯨飲令人豪。
酔境前途通蝶夢,
桃源後夜到花朝。
一任爽風飄。

満庭芳:論詩偶作     東京  石倉鮟鱇
  師道声高,留心風格,莫徒玩弄花招。
堅持詩格,当慎酒争豪。
古色蒼然最好,憶唐宋,蝶夢陶陶。
走街巷,汽車擁擠,塵土解香包。
  風騒,応進歩,佳人現代,露不繊腰?
楽今世,宜嘗日日珍肴。
喫剰令人煩躁,還掃興,酔境将消。
黄泉裡,細論新譜,李杜嘆低潮。
琴調相思引:残 菊   東京  石倉鮟鱇
  月照頽垣夜寂寥,秋風吹処菊花揺。
雪姿清艶,馥馥暗香飄。
  落葉敷筵環独秀,佳人却老淡粧嬌。
凌寒含露,濺涙万紅凋。

点絳脣五首     東京 石倉鮟鱇
点絳脣:春日願
春日遅遅,英華爛漫紛披苑。挿花揺吻,丱女声清婉。
老去空閑,但楽身躯健。雛孫問,阿翁何願,応答花期穏。
 点絳脣:深山暁色
点点晨星,山湖寂漠煙波渺。茂林環遶,残月消隈澳。
旭日煌煌,輻射驚棲鳥、鳴多少。又聴猿嘯,幽谷填蝉噪。
 点絳脣:草原游
空碧雲飛,春光爛漫花芬郁。草原游牧,夜泊青山麓。
耿耿銀河,未厭観星宿。愉天禄,仰瞻窮目,思自清斉粛。
 点絳脣:山中夢
幽探迷途,飄飄胡蝶誘空谷。廓然張目,飛水生虹瀑。
枝上懸裙,一女愉薫沐。暗香馥,疑天人独,隣夢桃源曝。
 点絳脣:除 夜
除夜参禅,灯明揺蕩風蕭瑟。一年飄疾,猶未知愉逸。
静聴鐘声,遺響催斉慄。慎祈仏,煩悩難消,持六波羅蜜。
少年遊:伏撃佳人   東京 石倉鮟鱇
  偽装賞景夕陽橋,軽袖任風飄。
等待佳人,傍辺通過,寂寞聴寒蜩。
  毎天欲叫難申述,迷惘慕情焦。
山月団団,江流瀲瀲,鴻洞夜迢迢。
(訳)
 風景を眺めるふりをして夕陽の橋に
 軽く袖は風のひるがえすにまかせ。
 待ちうけるは佳人
 傍らを通過して
 寂寞としてヒグラシを聴き。
 毎日、声をかけようとするも言いがたく
 途方に暮れて慕情焦る
 山の月は団団として
 川の流れは瀲瀲
 際限もなく夜は更けて。
12-6/15

畫堂春:酩 酊   東京  石倉鮟鱇
  秋愁自促夜遅眠,酔人何断塵縁?
変成紅葉帯風烟,暗落誰辺?
  重入酒家佳興,三更誰敢論銭?
頭疼酩酊静如禪,耳聴鳴蝉。
(訳)
 秋の愁いは自ずから夜遅くに眠るを促し
 酔人、いかに塵縁を断とうか?
 紅葉、風烟を帯びれば
 暗に誰のあたりに落ちるのか?
 重ねて酒家の佳興に入れば
 真夜中にだれが敢えて金の話をしようか?
 頭疼く酩酊、禪の如く静かなるも
 耳は鳴蝉を聴く。   

謁金門・五首   東京  石倉鮟鱇
 謁金門:清 秋
秋影昶,夕照暮山舒放。湖畔逍遙思自広,遙看昇月亮。
細浪砕光揺蕩,清夜微風澄爽。又有蛩声如谷響,参星輝耀強。
 謁金門:経 水
幽泉湧,滾滾無休霞洞。夏冷風吹煙霧動,冬温流不凍。
新緑叢叢蓑隴,落葉蕭蕭埋塚。経水四時環賞弄,光陰天所統。
 謁金門:紅 梅
梅有志,痩骨凌寒矜恃。隠忍厳冬持鋭気,迎春舒雅意。
光景催花出世,瞠目紅英威勢。屈幹化龍嘘火喜,陽暄風自止。
 謁金門:会津若松城址所懐
天籟歔,凛冽会津城址。冠雪峰巒囲繞地,冬猶悽百載。
男子何畏殉義,老少即戎祈誓。揮剣搶風悲壮死,相伝誠直志。
 謁金門:衛 戍
雲靉靆,欲暮西山霞彩。辺境又瞻帰雁北,三春過絶塞。
衛戍何時緩帯,月照徒然鎖鎧。京兆賞花人侈汰,胡関遅見蕾。

江城子:年頭祈祷   東京 石倉鮟鱇 
  千禧年際自思多,奈愁何,去来波。
回顧百年,兵火傲修羅。
到処難民迷赤土,才存命,涙滂沱。
  上天看不両心過?人争辯,鳥相和。
唯願前途,不再聴悲歌。
詩客應吟王道好,宜祈祷,禿毫呵。
(訳)
 千年紀には自ずから思うこと多く
 愁いをいかんせん、去来の波。
 百年を回顧すれば、兵火、修羅におごる。
 いたるところ難民、赤土に迷い
 わずかに命を保ち、涙滂沱たり。
 天は看ずや、ふたつながらに心の過ぎゆくを?
 人は争い、鳥はあい和す。
 ただ願う、前途にふたたび悲歌を聴かずを。
 詩客はまさに王道のよきを吟ずべくして
 よろしく祈り、禿毫を呵すべし。
12/07
醜奴兒:公孫樹下入冬   東京 石倉鮟鱇
  公孫樹下黄金蓆,天籟蕭蕭。
冬景寥寥,富嶽銀輝倒扇豪。
  含愁暮色伸孤影,枯葉凋凋。
有恨迢迢,遙看彩霞天地焼。
12/7
彩雲歸:辺寨冬色     東京 石倉鮟鱇
  清光凛凛振霜刀,砕零星,明月天高。
冬夜長酒熱宜酣酔,如一飲,忘不心労?
聴天籟,仰看雲外,想佳人迥遼。
寂寞廣寒宮裡,向鏡誰嬌?
  亡聊。
離君馬上,倦征途身任風飄。
壯心落魄辺土,相憫保砦同袍。
欲善終無為最好,從軍博士詼嘲。
煽烽火,誰報恐恐,夷狄驚騒?
12/7
六州歌頭:婚外恋愛歌   東京 石倉鮟鱇
  倚窗眺島,天霽展花朝。
桜雲遶,流嚶鳥,海蒼濤,上春潮。
閨怨如何叫?滅煩悩,過単調,持節孝,加齢貌,悔霜毛?
無語操高,宜楽今生好,悦風騒。
淑人猶酣睡,善散無聊。
白手如招,促營巣。
  解顔微笑,放襟抱,将誘導,艶姿嬌。
開腿早,披珍宝,燭心焦,夜迢迢。
可恨吾身老,薬無効,怯通宵。
勤鼓棹,前程渺,不辞労。
君似龍舟,破浪蜿蜒冒,動蕩纖腰。
未醒游夢裡,喜不復神交,感涙鳴号?
12-01/22 掲示板より転記
八声甘州:上青楼   東京 石倉鮟鱇
  上青楼有礼在仙郷,開脚鞠躬嘉。
看胯間揺曳,帰雲焼尽,富嶽倒残霞。
五十年来耽溺,但喜剥香葩。期望遊君麗,先食新瓜。
  皓歯明眸巧笑,問龜胸赤裸,本是誰家?
答“盲龜浮木”,姫喜且披花。
脱綺羅,揺腰散髪,颯爽騎,孰馬敢長嗟。
駆天路,夕陽接吻,海愛横斜。
*1 龜胸   :高く突き出た胸。鳩胸
*2 盲龜の浮木:眼の見えない亀が百年に一回水面に出て海上にただよう
浮木に出会い、たまたま浮木にあった一つの穴にはいったということ。出
会うことの容易でないたとえ。(涅槃経)
(訳)
 青楼に上れば礼は仙郷に在り、脚を開いて丁寧にお辞儀をするのがよい。
 胯間にゆらゆらと帰雲もえ尽きて、富士山が残霞にさかさまに見える。
 五十年来の耽溺、ただ喜ぶは香葩(芳しい花)を剥ぐこと。
 遊君の麗しきを期望して、まず新しい瓜を食う。
 皓歯明眸、巧笑して、問うに龜胸*1の赤裸たるは、本来これ誰れが家ぞと。
 「盲龜の浮木*2」と答えれば、姫は喜びまさに花を披かんとす。
 綺羅を脱ぎ、腰をふり髪を乱し、颯爽と馬に乗れば、
 いずれの馬ぞ敢えて長嗟せん?
 天路を駆ければ、夕陽接吻して、海は横斜を愛す。
小重山:年頭迷夢   東京 石倉鮟鱇
  夢裡胡姫舞袖斜,紅唇巧笑麗,吐春霞。
夕迷帰路忘吾家,青楼酔,酔対有情花。
  仙女養蜂窩,吾人因螫毒,挙頭蛇。
腰揺髪散眼旋渦,勤済事,事後一杯茶。
(訳)
 夢に胡姫の舞う袖は斜めにして
 紅い唇の巧笑うるわしく、春の霞を吐く。
 夕べに帰り道に迷ってわが家を忘れ
 青楼に酔い,酔って有情の花に対す。
 仙女は蜂の窩(巣、穴)を養い
 われは螫毒によりて、頭をもたげる蛇。
 腰は揺れ髪は乱れ眼は渦をめぐらし
 ことをなすに勤めて,事後には一杯の茶。

六州歌頭:春 蝶   東京 石倉鮟鱇
  月明更夜,肥蛹欲掻爬,催羽化,粧艶冶,思無邪,吻無牙。
胡蝶婚期屆,装瀟洒,多多謝,将遠嫁,金烏駕,照朝霞。
怪愕鳴鴉,樹頂裁趨捨,決断誰遮?
紫穹飛翔爽,白日誘天涯,縵舞光華,受風斜。
  瞰浮雲下,廣原野,嘶草馬,踏新芽。
春定覇,宏閑暇,満林花,競相誇。
黄鳥鳴清雅,在藤架,見人家。
聞慢罵,當猜訝,伺窗紗,裸袒姑娘,放任蒼頭跨,鼓励萎蛇。
偶思人世躁,朝暮似蜂衙,逸興難加。
(訳)
 月明るき夜更け、肥えた蛹は痒きをかかんと欲し
 羽化を催し、艶冶に粧い、
 思いに邪なく、口さきに牙なし。
 胡蝶、婚期にいたり、瀟洒に装い、
 多いに謝し、まさに遠く嫁がんとすれば、
 金烏(キンウ:太陽)おなりになり、朝霞を照らす。
 鳴くカラスに怪しみ驚き、
 樹頂に趨捨(スウシャ: 進むことと止まること)を裁けば
 決断、だれかさえぎらん?
 空の飛翔は爽やかに、 白日は天涯に誘い、
 美しい光にゆるやかに舞えば
 風を受けて斜めなり。
 浮雲の下を見下ろせば原野ひろがり
 いななく草馬、新芽を踏む。
 春は覇を定め,閑暇をひろげ
 満林の花,競ってあい誇る。
 ウグイス鳴いて清雅に、藤だなにあり、人家見ゆ。
 慢罵が聞こえ、まさにいぶかるべく、窓のカーテンに伺えば、
 はだぬぎたる娘、 下男の跨ぐがままにまかせ、
 萎えたる蛇を励ませり。
 たまたま思う、人の世は躁がしく、
 朝暮に蜂衙(ホウガ:蜂の巣の出入り)に似て、
 逸興(イッキュウ:俗世間を越えた風流)加え難し。

12-03/08
本日掲示板の記事を転載完了しました。
蝉三首   寄調十六字令   千葉  川上 

地下営々弄七年
漸出地吸露破閑眠

攀樹更衣欲闘妍
高詠好清韻断還連

終日盈盈樹底鳴
無厭飽一霎楽浮生
花二題       千葉 川上 

武人雖魂是疑誠
花散節
昔日憶長征
椿
花散時遍色近真
吾又欲
臨死酔紅菌
十六字令 蛙声    千葉 川上庄山 
譁。
窓外声声喚雨蛙。
吾欲睡,
何事競相誇。
やかましい。窓の外には雨を喚ぶ蛙の声が
私は眠ろうとしているのに、何でそんなに争って・・・

12-6/15   本日掲示板より転載しました。  編集子 ???
西江月:情 交 東京  石倉鮟鱇
艷冶佳人巧笑,清澄美酒消憂。酔生夢死又悠悠,當想櫟樗天寿。
先飲向君擧爵,後横勧我乗舟。同床異夢是誰尤? 搖蕩胯間獸吼。

憶王孫:一螢流      東京 石倉鮟鱇
月光尋處水牽愁,澗響淙淙夜不留。
酔人醒酒坐清秋,一螢流,明滅飄飄任風幽。

太平時:山湖暮蝉   東京 石倉鮟鱇
湖上新晴樂泛舟,素風柔。好看山水両悠悠,緑油油。
対岸満林鳴粛粛,暮蝉稠,相思薄命幾天游,自牽愁。

桂殿秋:笑入娼家  東京  石倉鮟鱇
人有悶,酒無尤,胯間壺満子孫憂。胡姫誘引身軽不? 笑入娼家似特牛。

南歌子:雨聽鳴鳩  東京 石倉鮟鱇
煙雨花含涙,春池客曵愁。園亭臨水緑油油,策杖無言閑歩,聽鳴鳩。

酔太平:春 酔  東京 石倉鮟鱇
山櫻似雲,乗風舞柔。池溏鏡水如油,映飛花景幽。
閑閑欲醺,人爲酔侯。逍遙曵影悠悠,向春宵爽喉。

風入松:別後思君  東京  石倉鮟鱇
暗風颯颯去難留,恰似牽愁。月光皓皓穿簾透,照孤枕,環遶床流,夜半無眠酒醒,又思君有明眸。
三年戀慕一年酬,離別初秋。無言暁起長堤坐,満紅霞,旭日天浮,臨海煌煌如怒,焼殘回憶愆尤。

柳梢青:春 愁  東京  石倉鮟鱇
雨聽鳴鳩,濛濛烟罩,花徑幽幽。人踏香塵,縱容漫歩,暗曵軽愁。
橋邊渺渺江流,柳梢下,漂搖舫舟。可惜春情,成群北雁,飛影無留。

人月円:夢 醒    東京 石倉鮟鱇
酔郷鼾睡夢魂浮,目下百花稠。軽軽胡蝶,飄飄天舞,偏愛風柔。
南窗夜明月光流,寂寞枕邊幽。夢醒魂魄,帰来茫昧,未入心頭。

12-10/05
浣溪沙:夏夕孤愁????? 東京   鮟鱇
湖水油油山影侵,火雲灼灼夕陽沈。倚欄游子只孤斟。
酔境帯愁吾習癖,煙霞痼疾発哀音。月光清照寂寥心。
望海潮:梅雨催愁     東京   鮟鱇
幽斎抛巻,疏窗聽雨,聯聯点滴清音。梅熟已黄,花誇正紫,八仙花下苔侵,花上露爲琳。見軽烟籠處,樹影陰陰。欲暮蕭然,閑人無語對淫霖。

簷頭獨坐孤斟,想雲中玉鏡,天外氷心。高遁世塵,清游夢境,鮮暉千里沈沈,未覚鬱陶襟。怨久留迷界,愁訴猶深。衒耀風流,酔郷將発雨中吟。
宋詞5首
中山逍雀先生へ
先生から伺った隔句対を拡大解釈して、双調の詞牌の前段と後段を対聯に
することを試みてみました。前後段の平仄は同じですので、対聯の平仄は詩の
ようには裏返りませんが、対句作りの面白さはあえて詩の規則だけに限定され
るべきではないという感じがします。

1. 雙調南郷子:白蓮芳

  鏡水白蓮芳,楚楚艷姿誇淡粧。善却炎威孤影凜,驕陽,未禁氷魂送爽涼。
  間徑緑陰長,歩歩老翁思盛唐。正得風流佳韵妙,余光,今鼓詩腸吐古香。     

2. 雙調江城子:夏天夢

  夢酣壁怪畫中娘,勧霞觴,誘閨房。多少含羞,媚笑勝濃粧。花解人情催艷意,蒙調戲,褪衣裳。 
  酒醒月透枕頭霜,舗山莊,似仙郷。何處殘痕? 嗅覚失清香。蝶去形骸飛苦界,堪炎熱,對驕陽。

3.烏夜啼:墨空芳

  夕暮紅霞劃嶺,金烏誇示華粧。樹頂殘蝉催懶意,晩節感頻傷。
  子夜青天似海,銀蟾濳入詩嚢。枕上愁情探雅韵,曉習墨空芳。

4.少年遊:交 情

  美姫嬉笑勝華粧,開口酒吹香。艷態如蛇,醉眸含焔,任爾月荒涼。
  老翁淫志拂羅裳,耽色汗如漿。肥蛹搖腰,登仙鼓羽,感到夜高翔。

5.翻香令:酔青樓

 白頭痛飲酒狂酣,垂涎瀝瀝雪髯沾。錢無尽,人將老,酔青樓,且耐晩霜厳。
 紅唇扮飾粉香含,凝眸艷艷瞼波添。花未謝,天多恵,儲金閨,方喜曉風甘。

石倉先生に拍手     千葉県   中山逍雀
宋詞5首について
 先生の探求心に大いに啓発されました。
 漢詩の創作を志す者の多くが、多くの規制に辟易しているのが現状です。この規制が多くの有志の足を引っ張っている元凶なのです。
 本来文化などに規制はないのが当然でしょう。規制というならば、読者の反応だけだと思います。
 今後も多くの研究を期待します。

表題ページへ
12-3/8
詩詞談話室
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[6] 画幅之鷹 を読んで 投稿者:岸本胄山 投稿日:2000/05/06(Sat) 02:06

画幅之鷹  詠物    

金眸利爪翼如弓,逸気蒼鷹翔大空。
却惜英姿収画幅,只留書院褫豪勇。

貴hpを利用させて頂き乍ら、先生の作品を見落としていました。詩全句は詠物体に適い、誠に良い作品だと感心して鑑賞させて頂きました。措辞も生硬な詩句はなく、内容も平板ではなく、鷹の性分を的確に捉えて、佳作だと思います。作者の川上先生は可なり経験のある方なのでしょうか、投稿作品が少ないのが残念です。老婆心乍ら余計な事を言うかも知れませんが、結句は少し苦しまれたのではないのでは、特に下の3字がやや熟さない感じもします。興味が有りますので教えて下さい
此れは個人のもつ好みですが、画幅よりは一幅の方を私ははえらびますが。いずれにしても良い作品だと思います。



[5] 韵府一隅の所在について 投稿者:中山逍雀 投稿日:2000/04/10(Mon) 16:24

 ご案内が妥当かどうか多少の懸念が残りますが、東京神保町の松雲堂書店で見かけたことがあります。
 本屋の番頭では有りませんが、
東京都千代田区神田神保町3−1松雲堂書店
電話 03−261−6498
 ただ愚言を申し上げれば、当該書籍は過去のもので、現状では中国語辞典の方が余程役に立ちます。
http://www.rihaku.com



[4] 「韻府一隅」について 投稿者:エレファント 投稿日:2000/04/08(Sat) 16:17

はじめまして突然なんですが僕の祖父は漢詩をよく書いています。この前「韻府一隅」という本をさがしていると言っていました。僕はその本をプレゼントしようと思ったのですがどこを探してもないのです。どなたか譲ってはいただけないでしょうか? 何か情報がありましたらメールお願いします。
12-6/15 



[2] はじめまして。 投稿者:中塚亮 投稿日:2000/03/17(Fri) 17:50

金沢大学で中国文学を勉強している中塚といいます。今回、葛飾吟社さまのHPとリンクを張らせていただきました。
よろしければ当研究室のHPにも遊びに来て下さい。
それでは、よろしくお願いします。
http://web.kanazawa-u.ac.jp/~chinese/chubun.html



差し支えがございませんでしたら、嘯嘯会に就いて説明させて下さい
嘯嘯会が出来て、20年近くになります。会員諸氏には仙化された方も居
り、勉強会も淋しくなっております。現在では多い場合でも8名位で行っ
ています。年齢は50才位から80才位の方達の集まりです。
【場所】阪急電鉄の西宮北口駅徒歩5分 西宮合同協会内3階
【時間】午後の2時から5時迄
神戸及び大阪にお住まいの漢詩に興味のお持ちの方、是非ご参加下さい。
作詩経験のない方には作詩方法を御教授いたします。
費用は会場使用料がどうしても必要なので、年間3000円です(作詩方
法を御教授中の方は無料ですが、コピー代は有料 一枚4円)
勉強会内容は、会員諸氏の詩を会員諸氏が感想を述べ合います。会員諸氏
は経験も豊富で親切です。議論は活発に行って居ます。未だ習作の会員に
対しては希望があれば批侫もいたします。
詳しくはメールを頂きたく存じます
hp     http://www1.ocn.ne.jp/~tyuzan/






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bbs-04.htm? 表題ページへ
12-03/08
投稿ページの改修に伴い記事を転載致しました
ご高説拝読させていただきました。これからもいろいろとご教示を賜りますようお願いいたします。
 先生の云われますように、7字の場合は4字と3字に区切られるのであれば、確かに問題は無いかとぞんじます。
 以前にリズムの美学 副題「日中詩歌論」松浦友久先生著を読んだことがあります。松浦先生の説によると
 千/里鴬/啼/緑/映紅/のように
1音節+2音節+1音節+1音節+2音節とは決して読まないそうです(詩的リズム論における基礎ポイント)
必ず 千里/鴬啼/緑映/紅☆(☆は休符で半拍子で紅は2音節なる)と読むそうです
(余計な話ですが、平字は2音節が連続して用いる必要があり、これを怠ると孤平になります。その為脚韻は平字にして2音節で読むと聞き及んでいます。仄字の場合は2音節で詠むのに無理があるのでしょうか、その為、仄韻詩は折腰体になっています。いい加減なことを云うようですが許して下さい)
日本詩は4音節で1拍であるのに対して、中国詩では2音節1拍と説明されています。7字の場合は最後の1字は1音節ですが、休符がありますので、8音節4拍になると解説されています。
 ただ床前見月光は床前/見月/光☆と読むことがあり、意味のリズムとの間にシンコペーション的な偏差がうまれ表現の重層的な効果を生む場合があり、また床前/見☆/月光と読んでは、意味のリズムが優先される場合もあると解説されていました
 余りにも勉強不足で申し訳ありませんが、前回の投稿後に同書を再読しましたら、如/鴻毛/在風や百歳/無/多時/壮健の例がありました。ただ先生は、リズムの名手たる白居易の作品だから意図的な試みだと断言しています。
蘇東坡の場合も、特別な意図があったのか、意味を重視したのか、中山先生の云われるように4字と3字に分かれるので問題がないのか、よくわかりません。




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岸本先生の質問について   【投稿者】 中山逍雀 【投稿日】2000/01/25/(火) 午後12:45:21 
投稿拝見しました。
 小生の意見を述べさせていただきます。
 先ず詩歌の発達の経過を見ますと、詩経の作品は初めは2字句、次には4字句と成ります。次にメロデイの転換性を持たせて3字句が現れました。次に2字句と3字句を組み合わせた五言詩が現れました。次に4字句と3字句を組み合わせた七言詩が現れました。
 詩詞の文字配置は概ね次のようになっております。
2字句  2
3字句  2+1  1+2
4字句  1+3  2+2   3+1
5字句  2+3(2+1又は1+2)
6字句  2+2+2 (3+3ではない)
7字句  4+3 (4字と3字の各組み合わせを翻用)
 偶数字句は2字若しくは4字を最小単位とします。
奇数字句は3字+偶数字句とします。
 詩の場合は、5字か7字かの何れかですが、詞の場合は字数も雑多ですから、上述の決まりは重要です。
 以上述べましたように7言句は4字+3字の組み合わせですから、ご呈示の作品について別段の検討は不要と思います。


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小論文 2字2字3字と分かれていない詩の件で   【投稿者】 岸本胄山 【投稿日】2000/01/24/(月) 午後05:30:05 
私は蘇東坡が好きで、自分自身の詩も蘇東坡の詩風を真似て、好んで蘇東坡が使いそうな詩語を使っています。そこで、皆様方の意見を聞きたいのですが
蘇東坡詩集(小川環樹/山本和義先生共著)第3冊の中209頁(蘇東坡巻十一)に7言絶句が掲載されていました
 題 銭道人有詩云直須認取主人翁作両絶戯之
   首断故応無断者
   冰消那復有冰知
   主人若苦令儂認
   認主人人竟是誰
 読みは
 首断って 故より応に断つ者無かるべし
 冰消えて那ぞ 復た冰の知る有らん
 主人若し苦ろに儂をして認めしめば
 主人を認める人 竟に是れ誰ぞ
(主人は主人翁のことで、こころ 儂のこと)
かなり内容が哲学的な詩なので、例にだすのは不適切かもしれません、此の詩の結句以外に7字中の2字目と3字目がつながっている詩は見たことがありません。もし、普通に読むと「主を認める人人 竟に是れ誰ぞ」と読みますと。蘇東坡の言わんとしている事とは違ってきます。
主人は主人翁のことで、こころ、認識の主体をさすとあります。
 大概の詩は 7字の中2字/2字/3字とはなっていますが、此の詩に限っては、なっていないようにおもいます。どうでしょうか、また此のような2字/2字/3字と
分かれていない詩があれば教えて下さい。中国の方では、こう言った詩を送られた場合は、その内容はどう理解するのでしょうか
11-09/28 転載
11-9/9 東方時報寄稿記事
本報特約作者 婦人(筆名)
98年転眼即逝,這一年裏做主婦的我帯了一些漢語迷,嘗試了旅日雑談的雑文,随筆,和中山栄造先生発明了新詩体−−以漢字写俳句,還重温了自己以叙懐方式−−詩歌,似乎収穫不小,可也許自己畢竟個没出息的人,最向往的,也就是1999年願望是:1.日語暢通無阻;2.快楽多痛少的理想的女人。  再次謝謝所関心我的朋友,也祝所有在日華人心想事成。
 
11-12/13
 文心 武道 苔岑を異にす
・・シンガポールの詩人・張濟川先生に逢う
              今 田  述
 一夜、シンガポール在住三年に達し食の筋も玄人はだしになって来た娘の提 案で、中華街のローカルな薬膳スープ・レストランへ行く。タンジュン・パガ ール通りの今では貴重になった旧中華街の家並みを通ってサウス・ブリッジ通 りへ向かう。突き当たり左側の三角地に立つコロニアルスタイルの二階建建築 はマレー鉄道の旧停車場跡であることが分かった。現在のターミナルからここ まで列車が路面を走っていたらしい。そういえばサウスブリッジ通りはここか らシティーホールへと通じているから、これがメインストリートだったのであ ろう。現在では中心がオーチャード方面へ移ってしまったが、今世紀当初この 停車場付近の中華街こそ中心だったのである。
 薬膳スープはスッポンなどを使ったもので、裸電球の下で食べる雰囲気は南 国特有のものである。店を出て二階がせり出し廊下状になったスミス通りの歩 道を歩いていたら乾物屋や電気屋の間に「新声詩社」という看板を見付けた。 新は新加坡の新だ。商売一点張りのこの町にも詩社があるのに驚かされた。
 旧停車場と道を隔てた広場では小屋掛けの京劇に沢山の人が集まっていた。 「三皇五帝千秋」と横幕が張ってあるのは出し物の名前であろう。半月が空に かかって、いかにも中華街らしい。帰宅してからこんな詩を作った。
露中京劇客満筵  露中の京劇 客 筵に満ち
半月依依涼在天  半月依々として 涼 天に在り
再訪星都更殷賑  再訪の星都 更に殷賑
高楼林立並尖肩  高楼林立し 尖肩を並ぶ
 翌日、この旧停車場をスケッチしに行った。昨夜の詩と電話番号を記し、私 は中国詩を少々齧っている日本人であると英語で殴り書きして「新声詩社」の 郵便受けに放りこんで置いた。反応は早かった。その日私が帰宅する前にドク ター・ローなる人から電話があり、十二月四日オーチャードのドラゴン・パー ル・レストラン(龍珠軒酒家)で昼食を共にしたいとのことだった。
 モルディブとミャンマーを訪ね、帰国前の十二月四日私たち夫婦と長女と孫 二人でオーチャードへ行く。すると新声詩社長の張濟川先生に迎えられた。他 に国家芸術理事会執行理事長の朱添寿先生ら数名、それにもう一人の遠来の中 国の詩人で武漢の大学の王教授夫妻とご子息。それから武漢のテレビ新聞の女 流記者である菫艶琴女史。レストランの女性オーナー林芳鳳さんも加わって計 十四人で乾杯。張先生が葛飾吟社のパンフレットに載っていた私の律詩を中国 語で朗詠して呉れた。葛飾吟社が提唱している俳句風の十字詩を説明する。張 先生は英語が分からないので朱先生が私の説明を中国語に通訳してくれる。大 変興味深く聞いてくれ、中国からの投稿作品を見ていると旧知の詩人が沢山い るらしい。この人の名前は間違っているなどと訂正される場面もあった。
 当地の詩人は七十人ほどだという。シンガポールは経済だけではこれ以上の 繁栄は望めないと文化政策に重点傾斜し始めた。朱添寿氏のような政府要人が 同席するのはそのためで張先生は呉作棟首相とも親しいという。日本で言えば ペンクラブ会長というところだろう。帰国してから分かったが張先生は元南洋 大学教授で七十三才くらいである。席上張先生から見事な律詩を頂いた。
贈日本詩友今田述先生 日本詩友今田述先生に贈る  新加坡 張 濟川
中日詩情誼已深  中日 詩情 誼み已に深く
文心武道異苔岑  文心 武道 苔岑を異にす
従知百載干戈禍  従より知る 百載 干戈の禍
始識千秋葯石筬  始より識る 千秋 葯石の箴
同種同文留史蹟  同種 同文 史蹟を留め
一心一徳結知音  一心 一徳 知音を結ぶ
鶺鴒原上宜相顧  鶺鴒 原上 宜しく相ひ顧み
応有广光耀古今  応に光を广りて 古今に耀くあり
 中国人にとって日本から受けた戦争の傷は誠に大きい。ことにシンガポールは市民が日本軍によって大量虐殺された歴史を持つ。しかし文の心は、武の道と は歴史を異にするという。葯石は薬石すなわち漢薬と鍼のことである。東洋医 学は再び大いに見直されている。中日の人は同じ字で歴史を綴り同じ感情で知 音(友人)の契りを結ぶ。鶺鴒は原っぱで相い見て羽を動かし合うが、その光 を互いに護って昔から生きてきたという趣旨である。
 中国の古典詩には次韻というエチケットがある。詩を頂いた者は同じ脚韻を 使って返詩をする。帰国後早速作詩にかかった。各行の脚韻は、深、岑、禍、 筬、蹟、音、顧、今の八字。これをはめ込んで作って行く。
次韻張濟川先生詩 張濟川先生の詩に次韻す   日 本  今田 述
殷賑驚吾韻致深  殷賑 吾を驚かす 韻致深きに
高楼改観似群岑  高楼 改めて観れば 群岑に似たり
秘恟商舶残潮禍  秘かに恟る 商舶 潮を残ふ禍
静想邦銭乱脈筬  静かに想ふ 邦銭 脈を乱す筬
温故一心尋北蹟  温故一心 北蹟を尋ね
知新萬里索南音  知新万里 南音を索む
星都篤学恕相顧  星都の篤学 相顧みるを恕し
超海交流期自今  海を超えての交流 自今に期す
 シンガポールは商売だけの町で詩が盛んなどと思ってもいなかったが、そうい えば林立するビルも群峰のように見えて来る。犇めく船に海は汚れてしまい、 アジア通貨の下落で市場は混乱した。中国古代の知恵を尋ねて北京や西安へも 行くが、新しい南の音にも接したいと遥々シンガポールへやって来たのだ。来 てみると意外や学の深い先生から詩を頂き詩の交遊を許された。海を超えた文 化交流は今後に期待しようではないかと言う意である。
 二時間半の昼食は実に楽しいものだった。その日の夕刻張先生の詩集や新声 詩社の刊行物を五キロも届けてくれ、帰りの荷物は一挙に重いものとなった。
                  (一九九九年十二月八日)
 
12-01/22 掲示板転載
  投稿文拝読しました。
 深い研究に感動しました。小生も当初太刀掛呂山師に師事していました(個人ページを見て下さい)。
 現在の中国では詩よりも詞の方が良く作られるようです。詞と詩はさほど垣根無く作られています。垣根を作っているのは日本人です。「りょうしゅう詩」等も詩と似ていますが詞の一類と理解しています。
 葛飾吟社に投稿される作品の大半は詞ですが、何せ文字数が多いので、つい字数が少なくて数が載せられる詩に偏りがちです。
          中山栄造
 冑山先生玉案下
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陽関詞   【投稿者】 岸本冑山 【投稿日】2000/01/19/(水) 午後05:26:07 
拙い文章にも拘わらずお目に留められてありがとうございます
 私は20年以上も前、拗体で挟み平の詩を山陽風雅に、陽関詞だといって投稿したことがあります。太刀掛呂山先生にひどくしかられたことをおぼえています。先生も陽関詞の説明はしてはくれませんでした。
 今回、古詩の平仄を調べていましたら。たまたま森槐南の書に出会いました。その書の中で、陽関詞の平仄の解説がありました。この事を或る詩会で発表しましたら、好評でしたので、投稿させていただきました。
 前回の投稿は森槐南先生の書の引用です。
 陽関詞の特長は、
 ●承句の5字目は仄声の上声を用いる
 ●転句の5字目は仄声の入声を用いる
 ●転句の7字目は仄声の上声を用いる
 ●結句の2字目は仄声の入声を用いる
 上記以外の仄声は規制がありません
 ●平仄は大抵は固定されているようです
 吟じ方は起承転句を1回吟じ、結句を3回吟じます
この事が陽関三畳曲といわれる所以です
 蘇東坡は陽関詞を3曲作っています。その1つを紹介します
 陽関詞三首其三 中秋月 蘇東坡
 暮雲収尽溢清寒
 銀漢無声転玉盤  転 上声
 此生此夜不長好  不 入声 好上声
 明月明年何処看  月 入声 
 銀は平ですが 王維の詩は客で仄になっていますが、良く分かりません
陽関詞は7言絶句の様な詩ではなく、詞だと考えています。平仄は厳格で、失声を助ける方法はありません。
ただ、承句の1字目だけが平仄どちらでもよいのかしれません
私の勝手な意見ですが、唐の頃には詞と詩の区別が無かった為、三体詩の中で7言絶句ということで取り上げられたと考えています。或いは間違っているかも知れません。ご存じの方がおりましたら教えて下さい。



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東京 山元先生のお話に   【投稿者】 中山栄造 【投稿日】2000/01/18/(火) 午後12:10:41 
ご投稿誠に有り難う御座います。
 詩詞を作る人を「詩家」と云い、唄う人を「吟詠家」と云います。
 詩家は、心の思いを「賦比興」の手法を用いて文字に表します。ですから、中身と着物とは同じとは限りません。チラッと見えるが中身は見えないのが良いのです。これは女性を見るときと同じでしょう。
 吟詠家や読者は、詩家とは反対の立場で、一枚ずつ着物を剥がし、中身を覗く事でしょう。これを鑑賞眼と云います。詩家は古典や歴史や哲学を研究し、より繙かれない様にします。詩家と読者の勝負です。
 字面の意味だけなら子供でも判ります。中身の深さ、厚薄は人それぞれと云う他はありません。吟詠テキストに間違いが多いのは、唱うための教本で読むためのテキストでは無いからでしょう。ですから、読みが間違っていても問題にすることではないのではないですか?
 師匠の説明に納得が行かない様でしたが、恐らく吟詠家用の解説書を読んで居られての説明だったのでしょう。吟詠家としては其れで十分と云う事なのです。もっと作品を極めたいのならば、作った人に聞くのが宜しいのですが、現存しませんから、精度の順から云えば「詩家」の書籍、次に「観賞家」の書籍、次が「吟詠家」の書籍の順になります。
 もう一つ、漢詩は外国語の詩歌ですから、日本語に訳せば幾通りもあるのです。読み下しを付けて仕舞いますと、其れ一通りになってしまいます。吟社のページには読み下しの無いのはその為です。又詩家にとっては、読み下しは煩わしいだけで、何の意味もないのです。又一般に、文学的教養については、西高東低と云われています。関東の吟詠指導者は唱うだけですが、関西の吟詠指導者は作詩家も兼ねています。
         中山栄造
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冑山先生の投稿に関わり   【投稿者】 中山栄造 【投稿日】2000/01/18/(火) 午後12:01:27 
冑山先生のご投稿に関わりて
 ご投稿誠に有り難う御座います。玉稿拝見しました。
 このページを見た方から質問がありました。
 平仄がどうなっているのですか?
類例の作品は、前半2句が平起式で後半2句が仄起式の配列です。途中平仄が混ざっている部分は、拗救と云う手法で整えられています。ですから破格ではないのです。
 ご質問が有れば、ドシドシお寄せ下さい。全部とは参りませんが、鋭意書かせていただきます。
          匆々
  新年に当たり、諸氏のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。
             吟社 主催 中山栄造
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吟詠家の漢詩理解   【投稿者】 東京 山元 【投稿日】2000/01/17/(月) 午後12:32:51 
吟詠家師匠の漢詩理解の不勉強に憤懣
 私は東京都内で詩吟の教室に通って、指導を受けている者です。35歳から習い始めて、もう15年以上になります。
 私が習っている所の師匠は、詩の心を読み取って、吟じなさい!と云われます。そしていつも懇切丁寧に作品の解釈をしてくれます。私もこれで満足していたのですが、正月休みに偶々、葛飾吟社のページを拝見し、一体今迄の説明は何だったのか?と疑問を持ちました。
 詩歌作品の理解は字面だけでは駄目で、中身は別の所にある事を知りました。改めて吟詠のテキストを見ましたら「,」や「。」が全く書かれて居ません。ですから当然ながら読み下し文も間違っていました。基本的なことが師匠にも判って居ないのだと気が付きました。
 新年初回の教室と言う事で、無礼講で質問を受けてくれる事となりました。私は早速、「,」や「。」の事、読み下し文の間違いの事、貫到や領字、の事などを質問してみましたが、お茶を濁されるだけで、納得いく説明が得られませんでした。
 もちろん作品の根底にあるもの、いつも師匠が云うところの「作者の心や詩の心」についてなど全く聞くだけ無駄でした。ただハッキリしたのは師匠の無能ぶりだけでした。
 よくもこんな無能な人が、多くの吟詠家の上に居られるのだと、ただ呆れました(師匠の下には又弟子師匠が居るのです)。
 詩吟には若い人が集まらない!時勢のせいだ!と云っていましたが、私は師匠の無能のせいだと思いました。
 葛飾吟社Webページを見せて貰った一箇人の感想ですが、出来れば、作詩家としての、ご意見を戴ければ嬉しいのですが。
 東京 吟詠熱中人  山元


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小論文 陽関詞   【投稿者】 冑山 【投稿日】1999/12/29/(水) 午後05:32:31 
王維のの平仄を調べました。この詩は宋の詞と違ってある所では、四声の制約もあります。また平仄も固定して入るとのことです。蘇東坡も好んで作っています。然し我々 日本人には、リズムやハーモニは理解出来ません。然し唐人は、陽関三疊としてよく詠われていたと聞き及んでいます 私が作った詩でもそれなりに、効果があるのかと興味があります。とくに中国の方にお尋ねしたいというのは私一人では無いとおもいます。陽関詞のことで詳しい
かたは是非ご教示下さい。
渭城朝雨 軽塵
●○○●●○◎
客舎青青柳色新
●●○○上●◎ 上 上声
君勧更尽一杯酒
●○●●入○上 入 入声
西出陽関無故人
○入○○○●◎


陽關詞 岸本冑山
舉杯相酌涙空垂 杯を舉げ相い酌めば涙空しく垂れ
●○○●●○◎
昔日清遊語一悲 昔日の清遊 語ること一に悲しき
●●○○上●◎
為君詠彼折楊柳 君が為に詠ぜんとす彼の折楊柳
●○●●入○上
休説明朝分手時 説を休めよ明朝 手を分かつの時
○入○○○●◎
平仄を気にし過ぎたので、新味がなく。公開するに堪えない、平板な詩になりました。内容についてはご容赦下さい。(内容は 今宵別れの宴では、君の為に別れの歌をうたいましょう。然し明朝別れる時の悲しさのことは、この宴では語らないで下さい) 


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桂林と妙義山   【投稿者】 nakayama 【投稿日】1999/11/12/(金) 午後01:44:06 
 若い頃中国桂林の絵を見てとても感銘を受けた。
実物を見たかったが貧乏な私にはとても叶わぬ夢であった。
 妙義山がとても似ている印象を受けたので早速見に行った。
 国道から県道、村道へと入り、その姿は、桂林の景と重なって、今でも脳裏に焼き付いている。つい先頃、所用で関越自動車道を通った。私の妙義山とは余り似ていない。その日はそのままやり過ごし、日を改めて過去の記憶に対面しに行った。
 妙義インターを出て、地図を頼りに村道まで車を進めた。砂利道はすっかり舗装され、住宅が並ぶ。小高い丘に登り、過去の印象を求めたが目にはいるのは建造物ばかり。
 懐の小銭をはたいて食べた定食屋は昔のまま。あのカツ丼の味も忘れられぬ。食堂に入りカツ丼を注文。私のイメージデーターは今でも妙義山の山並みと桂林は同じだ。
12-03/08
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12-6/15





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詩に古意を帯びるように
投稿日 6月9日(金)15時36分 投稿者 中山逍雀 [jnCliC-163-36.ppp.justnet.ne.jp] 削除


 専門的なご意見、有意義に拝見致しました。この様な専門的な事柄は、
日本詩壇で探るよりは、中国詩壇で探った方がより高度な情報が得られると思います。
 当方のリンクページは中国国内の詩壇へのリンクが張られていますので、是非ご活用下さい。
                           匆々
岸本先生 几下               



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詩に古意を帯びるように作詩するには
投稿日 5月29日(月)18時27分 投稿者 岸本冑山 [p21-dn01nisinomiya.hyogo.ocn.ne.jp] 削除


嘯嘯会では、今体詩以外にも、古体詩も投稿され、研究の対象としています。
7言古詩長編では、換韻格の場合は、粘律を避けるぐらいで、あまり注意をはらってはいません。ある人は、杜甫の玄都壇の例をとって、四仄五平でないといけないと主張します。これも1つの見識かとおもいます。当然のことながら、1韻到底格の場合は、四仄五平で作詩しています。
7言古詩 1韻到底格は、偏格でなので、あまり作りません。詩の内容次第だとおもいます。
(恐らくは、作ったにしても、技量が伴わないこととおもいます。)
貴hpに投稿した、“時事“は習作です。申し訳ありません。
(内容と詩体があっていない、好い見本だとおもいます こういった内容のものは7言古詩長編、換韻格で作るべきです。反面教師だと思って許して下さいです)
 
五古長編は、古体の雰囲気をださねばいけないということなので、仄韻の毎句韻か隅句韻で作詩しています。 平韻もしくは、換韻格では作ったことはありません。
特に五言の換韻格は、演歌に万葉首を朗詠するようなものだと考えています。
五古長編は、大変むずかしい詩体です。これは実感です。
私も、五古長編の作詩は多いのですが、措辞、内容とも気に入らないものばかりです。
 唐に五言古詩無しといいますが、よく理解できます。文選等で読む晋の陸士衡の作と、唐詩の五言古詩。たとえば陳子昂の詩を比較した場合、陳子昂の感遇等は、確かに好い作品には違いありませんが、趣が少し違うようなきがします。他の詩人についていえば、いわずもがです

詩に古体の雰囲気を醸し出さすということは、どうすればよいのでしょうかか、殊更に、文選で使用されている言葉を用いるのも、一つの方法でしょうか。大変むずかしいことです。


今体の七言絶句の仄韻詩は、七言独特(古詩にはそぐわない)のリズムと今体の流暢なハーモニがあると考えています、さらに、古体の風味を醸し出さなければならないので、難しいこととおもいます。

宋の范晞文が対床夜話(巻4)の中でいっているように、

“七言仄韻は尤も五言よりも難し”

といわれるのは無理からぬこととおもいます

いろいろな三体詩を読んだことがあります。最近は素隠(著久保天髄博士)のものを読みました
其の中で、七言仄韻について解説がありました。少し違うのではないかと思っています。
素隠曰く、仄韻詩は竒句を得たときに用いるぞ。
句中の声もいらぬぞ。唐詩にもあまり用いぬぞ とありました。
●あやまって、仄韻でできたとしても 都合がわるければ、推敲を重ねれば、
内容変える事なく、仄韻にこだわる必要なく作詩することは難しくありません。
●句中の声もいらぬは、確かに、拗句(二字目、五字目の孤平)はゆるされますが、
いらぬということではありません●唐詩にもあまり用いぬぞ 一種の面白い調子がでて、
案外力強い響きがあるので比較的愛好されているとのことです(斎藤荊園博士)
仄韻詩は出来てしまったではなく。或る種の効果をねらって作詩されたものと考えています




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詩詞の韵と平仄
投稿日 5月27日(土)11時49分 投稿者 中山逍雀 [jnCliC-163-32.ppp.justnet.ne.jp] 削除


中国詩詞の韻について
 中国語の辞書を開けばお解りのように、中国語の母音は16個有ります。韻とは母音の事ですから16韻有ると云えます。詩詞に適用する場合いは、母音の要件以外の要件を加えて次の3通りの韻分類が云われています。
1−平水韻 歴史的韻文類で、過去のものと成って居ます。そして平韻と仄韻では韻名称を異にし、全部で106韻有ります。
2−現代韻 中國上海古籍出版社が編輯発行している韻文類で、最近中華詩詞学会で正式使用と成り、18韻あります。平韻と仄韻の分類名称は同じですから、全部では18+18=36韻有ります。
3−中華新韻 中国語辞書の韻文類(母音)を其の侭用いた韻文類で16韻有ります。平韻と仄韻の分類名称は同じですから、全部では16+16=32韻有ります。

仄韻と平韻について
 平水韻については、過去のものですから、説明を省きます。
 現代韻と中華新韻は、中国語の四声を基本にしています。
 第一声調を陰平と云い第二声調を陽平と云います。共に平声です。
 第三声調と第四声調と軽音は仄声とします。

詩詞の格律に付いて
 当然の事ながら、平韻の詩詞も有れば仄韻の詩詞も有ります。詞の場合は、平韻か仄韻かに依って名称を異にする事は有りませんが、詩の場合は絶句に限って呼び名を異にします。(仄韻の律詩は有りません)そして平韻の絶句を律絶と云い、仄韻の絶句を古絶と云います。

平韻仄韻と叙事内容との関係
 先ず詞について云えば、詞譜により予め平韻か仄韻かは決まっておりますので、韻に依る叙事内容の傾向は有りません。傾向があるとすれば、其れは韻に依るものでは無く、詞譜そのものによるものです。
 次に詩に付いて云えば、矢張り平韻か仄韻かに依る叙事内容の傾向は有りません。傾向があるとすれば、其れは平韻仄韻に依るものではなく、格律によるものです。

仄韻絶句の叙事内容云々について
 先ず絶句の成り立ちから述べますと、律詩から派生した格律を中國では律絶と云い、日本では単に絶句と云います。
 次に仄韻の古詩から派生した格律を中國では古絶と云い、日本にはこの名称はなく、古詩のままか若しくは仄韻の絶句と云います。
 さて、仄韻平韻に依る叙事内容の傾向について、別段の違いはありません。ただ日本の論者が傾向云々を云うのは、古典の傾向に依って居るからではないでしょうか?敢えて擬古の作品を作る場合でなければ、論拠は現代中國の作品に準処すべきです。

平韻詩仄韻詩の難易に付いて
 別段の難易は有りません。ただ平韻のアンチョク(詩語表)は完備しているのに、仄韻のアンチョク(詩語表)が完備していないからでしょうか?詩韻含英など、仄韻を記載したものが有りますが、扱いにくいと云う欠点が有ります。でもこれ等の状況は日本人だけのもので、中国人には関係のない事柄です。
 中国語辞書を用いる場合は其の殆どが、子音から検索する編輯で、母音から検索する辞書を見かけたことがありません。ただ電子辞書は母音からでも検索できますから、これを用いる限り、不便さを感じません。電子辞書を用いる場合は中華新韻に依る事となります。その場合いは中華新韻と傍記すれば中國全土で通用します。
 もう一つの方法として、上海の古籍出版社発行の現代韻表を用いることです。此なら日本に普及している平水韻の韻表と同様の感覚で用いる事が出来ます。この場合いは現代韻と傍記するかしなくとも差し支え有りません。
 なお、小生の個人ページに、現代韻の韻表が有りますから、ダウンロードして用いる事をお奨めします。差し当たって充分に用が足ります。平字仄字の分類は古典でも現代でもさほどの違いは有りませんので、今迄のアンチョクが其の侭使えます。
                        記事 中山逍雀
 


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仄韻の七言絶句について
投稿日 5月14日(日)09時43分 投稿者 岸本冑山 [p25-dn02nisinomiya.hyogo.ocn.ne.jp] 削除


仄韻の七言絶句について話題になることがあります。我々の仲間でも、仄韻の七言絶句を
作る人はいてません。正確には作れる人ですが。
一般的に、仄韻の七言絶句は、五言絶句よりはるかに難しいとされています。規則的には、
七言絶句は、二字目、五字目の孤平は拗句となり、編全体(次ぎの句)などで助けますが、
仄韻の七言絶句の場合は概ね許されていますので、作りやすいと思われがちです。
 仄韻にすれば、古調を帯びます(森槐南先生等は一韻到底格の詩は仄韻自体が古体であるから
平仄は論じなくてもよいとおっしゃられています)
然も、今体の形式をとっていますので、調子は流暢になると理解しています。
こういった形式の詩に作詩を試みる場合は、恐らくは、内容も古調を帯びたように
作らなければならないと考えています、措辞も工夫をしなければならないとおもいます。
古詩の改韻格の様に意識的に粘律を避ける方がいのかも知れません。
以上が仄韻の七言絶句に関しての私の考えです。
仄韻の七言絶句で作詩される場合はどうされているかおしえて下さい






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曄歌制作の方法
投稿日 4月11日(火)16時55分 投稿者 今田菟庵 [jnCliC-163-35.ppp.justnet.ne.jp] 削除


曄歌制作の方法(研討会) 2000年2月19日 於中国五千年倶楽部

中山栄造 曄歌は日本の俳句に極めて近いということもあって、私が提唱した四種類の新短詩の中でも最も人気があります。もともと「曄」とは「かがやく」といった意味なのですが、「日」と「華」を組み合わせた字を用いたのは、日本人でも中国人でも出来る短詩となることを願ったわけで、中国人には大変人気があります。
これまでの両国の作品を見てくると、大きくいって三つの作り方があるように思います。第一は中国のこれまでの詩詞の作り方を踏襲したものです。つまり短いとは云え一種の中国詩として、伝統的な「起承転結」を持った作風と云えます。実は私自身が俳句や和歌を作った経験がありません。だからこういう方式で作るしか知らない。これに対して、第二の方法は日本の俳句的発想から出発した作り方です。さらにそのどっちでもない第三の方法もあります。この第二、第三の作り方は後に説明して頂きます。
まず第一の伝統的作品の例として、私の作品を例に引かせてもらいます。

燕双飛。紅落紫散,人未帰。 中山栄造

この曄歌は第一節「燕双飛」が起句と承句の役割をなしています。第二節「紅落紫散」は転句の役割を果たしています。そして第三節「人未帰」が結句をなしています。つまりこれは長い物語が律詩に描かれ、絶句に描かれ、さらに短い詩となっても手法としては変わらないことを意味しています。
つぎに第二の方法については、俳句制作に詳しい今田さんから話して頂きたいと思います。

今田 述 私が漢詩を作ってみようかと思ったのは今から五年前、会社勤務をリタイアしたとき「松戸市民新聞」という月刊地方紙に掲載された葛飾吟社の「漢詩欄」を目にしたことに始まります。そこには主に中国から投稿された勝れた作品が載っていました。明治時代の一流新聞にはみな漢詩欄があって、与謝野鉄幹や成島柳北が選者を勉めていました。のちに正岡子規らがこれを真似て「短詩欄」や「俳句欄」を作るようになりました。大正六年(1915)に漢詩欄は一斉に姿を消してしまいました。おそらく今日漢詩欄を持っている新聞は全国でもこの「松戸市民新聞」しかありますまい。
そのご縁で葛飾吟社の中山先生に接する機会を得、最初は絶句や律詩の作り方をご指導頂きました。そのころここにいる小畑旭翠先生なども参加して来られました。そのうち中山先生が新短詩を中国に提唱されました。私たちにも作れと云われたのですが、私も小畑先生も気乗りしないでいました。ところが中国ではえらい人気になり、到頭北京の詩詞学会で取り上げられ、林林、李芒、林岫ら諸先生のお招きで「中山新短詩研討会」が97年秋、北京で開かれることとなりました。当時は正直云って訳もわからず出掛けて行った感もあったのですが、会議を通じておおよそ次のことが解って来ました。
中国詩のなかで絶句や律詩は一部に過ぎないこと。それ以外に多くの「詞」と呼ばれる形態があること。そのなかには、十六字令のごとき短詩もあること。そして、1980年には日本から訪問した俳人団を迎えた宴席で趙朴初先生によって「漢俳」という短詩型(五・七・五)も編み出されたことなどです。
さらにお土産に頂いた「漢俳首選集」の作品を見ていくと、日本の俳句ないし俳諧への指向が強いことも解ってきました。それならば僕らが俳句を作るときに、同時に同じ詩的感懐を曄歌に詠んでもいいではないかと思ったのです。私の作品例でその制作課程をご紹介します。
一昨年秋、江沢民主席が来日された折り、東北大学で魯迅が学んだ教室を見学されたのを覚えておられるでしょうか。私はその直前偶然にもこの教室を見る機会を得ました。そのとき少なからず感懐をもち、こんな俳句を作りました。

魯迅医を棄てし教室秋のこゑ 今田 述

これはそのまま曄歌にすることができます。

秋風溢。魯迅棄医,旧教室。 今田 述

勿論この曄歌は先の中山先生の作品のように完成された論理性を備えているとは云えません。その背景を知らない人にとっては何のことかわからないと思います。しかし魯迅が医学を学ぶために遥々日本へ来て、殆ど中国語を理解する人もいない当時の仙台で苦労したこと、また日露戦争の幻灯写真を見て中国人のスパイが殺されるところを別の中国人が笑って見物している有様にショックを受けたこと、そして体のための医学よりも中国人の心をまづ鍛える必要を痛感し医学を捨てて作家を目指した経緯は、魯迅の短編「藤野先生」に描かれていますから中国の文学愛好者なら知っていると思います。つまりこの句はそういう経緯を前提として作られているのです。

こういう言外に万感を込める方法は俳句の常套手段であり、漢俳作家たちの多くは芭蕉や蕪村の作品を研究していますから、きっと解ってくれる筈です。私は俳句を作るときも曄歌を作るときも同じ感懐から出発するので、こうした課程をたどることが多いのです。
さらにもう一つ、こういう方式なら今日の日本の俳人たちが誰でも容易に中国詩の世界に入って行ける筈です。そういう凡例を示す必要があると思って実践しているのです。

中山 次に第三の方法について石倉さんに報告して頂きます。

石倉秀樹 私は宋詞を作りたいと思っています。宋詞は、定型詩ではありますが、長短句を織り交ぜるところが面白く、五言・七言の詩とはまた違った感興があります。曄歌を作ることは、その詞作りの訓練として最適であり、基本になものと考えています。宋詞の長短句は、四字句、三字句を基本にしています。そして曄歌は、三・四・三
です。
私は日本語には、「詩情」はあるが「詩」はないと思っています。韻を踏めないからです。学生時代にフランス文学を専攻し、詩ではボードレール、ベルレーヌ、ランボーなどの象徴主義の詩人に惹かれ、詩論ではヴァレリーに傾倒しました。ヴァレリーは詩を「システム」として考えました。西洋音楽には、聴く者にさまざま感興を呼び起こす音に、小節とか音階とか和声とかいうシステムがあり、そのシステムには数学的ともいえる明快な方法論があります。その音楽の富を、ヴァレリーは、詩に取り入れようとしたのです。詩についてのこのような考え方、方法は、わたしたちの日本語の世界では、残念ながら実現のしようがありません。
私が漢詩を学ぶようになって最初に驚いたのは、フランスが19世紀にようやく到達したこの「システム」としての詩に、中国の詩人はすでに1000年以上も前の唐の時代に気がついていたということです。韻があることは当然として、平仄についての精密な規則があり、対句などのさまざまな技法を駆使し、おまけに、宋詞もある。唐詩から宋詞への発展は、あたかもフランスで厳密な構成をめざす象徴主義の対極に、自動速記によるシュールレアリズムの自由詩が試みられたことにも比すべきものです。宋詞は、定型詩ではありますが、句の字数を一定としないところに、自由詩の響きがあります。
私はまだ曄歌を知るようになって半年ほどですが、600を超える曄歌を作っています。韻と平仄の勉強を兼ねていますので、かなりシステマティックな作り方をしています。
漢詩を作る人は古くから「詩語表」なるものを熱心に作ってきました。そこには、千年
を超える昔から詠まれた詩を分解して、韻律に従って二字単語と三字単語に抽出分類してあります。その中から三字単語を二つ選び出す。これで第一節と第三節を構成する。真ん中の第二節、すなわち四字だけは自分で考える。すると曄歌ができます。
今田 ハハアなるほど。つまりレトルト食品を使った料理みたいなもんですな。
石倉 はい。カレールーは出来合いのものを使います。詩人はもともと歌いたい詩情があって詩を作るものと考えれば、カレールーは自分で調合すべきでしょう。しかし、自分で調合したルーが自分の舌にあうとは限りません。読む人の舌にあうかどうかもわかりません。わたしのやりかたは非難もされるでしょうが、好きなルーを選ぶのは私ですし、混ぜ合わせる野菜をどう選ぶかも私ですから、出来上がった曄歌は、私の口には合います。偶然の面白さとでもいいましょうか、私が詠いたかったことは、こういうことだったのかということが、作ってみて初めてわかるという感興もあります。
中山 それではそういう石倉さんの作品例を挙げてみてください。
石倉 玉なく石ばかりで恐縮です。上平声十一眞韻の作例です。

月光新。雨留露滴,耀苔茵。   雨の露とどめて苔は月に映え
細雨頻。蛩声断続,夜聯晨。   こおろぎの鳴いて連なるあしたかな
拾枯薪。露営湖畔,月為隣。   湖の露営は月の隣なり
月中津。遙向故郷,発良辰。   月明かるき渡し場に発てば故郷あり
鳥伝神。下令開花,天下春。   神伝う鳥の下命に花開き
午過申。胡蝶夢飛,白雲賓。   申の刻過ぎて胡蝶は雲の客
浪鱗鱗。晒太陽人,遍海濱。   鱗つらね日光浴の人の浜
画麒麟。君揮神筆,祝新春。   新春を祝って画く麒麟かな
雨後新。草原千里,緑無塵。   雨降りて草原千里に塵はなく
雨泛蘋。群蛙乱鳴,也惜春。   雨降りて春を惜しんで鳴く蛙
月開輪。雪後全山,万朶銀。   月のぼり雪晴れ山は万朶の銀
送君津。浮舟向日,漾清淪。   君送る渡しの舟は陽に向かい
秋上旬。天挂眉娥,蛩語隣。   秋めいて天の三日月、虫の声
結良姻。春天玉女,発佳辰。   良き縁を結んで玉女は春に発ち
白雲伸。涼風起処,已秋旻。   白雲の伸びてすず風秋の空
百花嬪。渋谷駅前,卒業春。   卒業に渋谷駅前、花開き
月開輪。残蛩誘人,入叢榛。   鳴く虫に誘われていく月の森
牧童淳。一吹横笛,鳥来馴。   笛吹けば鳥牧童につどい来て
鳥声新。江柳風揺,燕子臻。   声新た川の柳に燕来て
酔郷人。浅酌低吟,語最真。   酔郷に歌えば言葉はまことなり
与君親。莫猜総是,前世因。   疑うな君となじむは前世の縁
苦吟身。休憩一服,紫煙辛。   苦吟の身、辛きタバコの煙かな
暴君唇。言愚追放,股肱臣。   暴君の唇寒し臣は去り
守愚人。悠悠自適,已生仁。   愚を守り悠悠自適の仁者あり
応酬頻。詩在雲箋,巻復伸。   君が書を巻いては伸ばす詩の応酬
集貴紳。祝賀嘉慶,酒千巡。   お偉方つどい祝えば酒千巡
筆通神。鳳舞龍飛,翰墨珍。   神筆に鳳舞龍飛の妙ありて
綺語陳。何得堅持,詠懐純?   綺語ならべ詠懐の純を保てるや
漢承秦。欧州連合,到今均。   秦漢に欧州連合いま到る
西子顰。月隠断雲,嘆軽身。   西子まね月は雲間に隠れたり
西子顰。片言隻句,出紅唇。   西子まね片言隻句を口にして
読書人。身在寒斎,思無垠。   書を読めば身は寒斎に思い無限
正葛巾。独坐寒斎,未全貧。   貧しくも書斎に坐れば貧ならず
垂釣緡。吾輩俄然,一逸民。   釣り糸を垂れてにわかに世捨て人
不嫌貧。互相扶助,習俗淳。   貧しさを厭わず互いに助け合い
旨酒醇。胡姫帶来,羽觴陳。   酒うまく胡姫の運ぶは羽觴なり
旨酒醇。誰責酔狂,挙杯頻。   うま酒をだれか責めんや杯あげん
旨酒醇。先飲后聞,聖賢倫。   うま酒を飲んで聞かんや聖賢の倫


将東遊題壁 
投稿日 6月8日(木)13時00分 投稿者 岸本冑山 [p40-dn02nisinomiya.hyogo.ocn.ne.jp] 削除


将東遊題壁 将に東遊せんとして壁に題す
 清狂 釈月性
男児立志出郷関 男児志を立てて 郷関を出づ
学若無成不復還 学若し成る無くんば 復た還らず
埋骨何期墳墓地 骨を埋むるに 何ぞ期せん墳墓の地  何期は一本に豈惟に作る
人間到處有青山 人間到る處 青山有り

墳墓地 故郷地  青山 墳墓


釈月性よりも、海防僧 清狂のほうが分かりやすいとおもいます。松陰先生の書簡集
に、僧 宇都宮默霖とともに、よくでてきます。 清狂が何時作ったかは、よく知り
ません。人口に膾炙されていますが、あまりよい作品ではないとおもいます。 



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気になることを教えて頂きたい。
投稿日 6月6日(火)16時04分 投稿者 契此 [wp003g.ecc.u-tokyo.ac.jp] 削除


突然ですが
「男子志を立て関を出ず。
 学成らざれば死すとも帰らじ。」
の詩の続きを教えていただきたくて書き込みをさせていただきました。
最後が「人間至る所・・・」だったように記憶してるのですが、
正確に思い出せません。

是非教えてください。
出来れば書き下し文と原文の両方をお願いします。
レスを待っています。


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時事 一韻到底格 十二侵
投稿日 5月27日(土)10時32分 投稿者 岸本冑山 [p38-dn01nisinomiya.hyogo.ocn.ne.jp] 削除


看眼時事憂当今.....眼に時事を看ては 当今を憂い       ×××●○○◎ 四仄三平
冗子呑涙如呑鍼.....冗子涙を呑むこと 鍼を呑むが如し     ×××●○○◎ 四仄三平
雖足衣食無礼節.....衣食足ると雖ども 礼節無く
礼節不重無仁心.....礼節を重んぜずば 仁心無し        ×××●○○◎ 四仄三平
世間頑父争功急.....世間の頑父 功を争うこと急に
不省庭訓育獣禽.....庭訓を省りみず 獣禽に育つ                  失声
便知其児背人理.....便わ知る其の児 人理に背くを 
胸懷褊狭姦才深.....胸懷は褊狭にして 姦才深し        ×××●○○◎ 四仄三平
身懐鬼胎楽苛虐.....身は鬼胎を懐いて 苛虐を楽しむ
脅得朋友抄千金.....朋友を脅かし得て 千金を抄める      ×××●○○◎ 四仄三平
或拐少女囚陋室.....或は 少女を拐かして 陋室に囚え
強狂色欲要姦淫.....強いて色欲に狂いて 姦淫を要む      ×××●○○◎ 四仄三平
愚母恐児被殴打.....愚母 児の殴打されるを恐れて
拱手噤口無由尋.....手を拱ねき 口を噤ぎては尋ねるに由し無し ×××●○○◎ 四仄三平
少年凶行不可解.....少年凶行す 解す可からず
疑是心裡妖魔侵.....疑うらくは是れ 心裡妖魔を侵すを     ×××●○○◎ 四仄三平
唯言為嘗殺人味.....唯だ言う 人を殺す味を嘗んが為なりと
世人疑耳聞難禁.....世人 耳を疑って 聞くに禁え難し    ×××●○○◎ 四仄三平
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